西田一紀 『狂いてさぶらふ』

ある事ない事そんな事

猫も杓子も

2012年06月13日 22時04分51秒 | 日記
このところ少しばかり体調が悪いような気がする、というのも少しのお酒でヘロヘロになってしまうし、いくら寝ても日中眠気がつきまとってくるわけで。先日僕は22歳の誕生日を迎えたわけであるのだけれども、おおよそその日を境に、毎日こんな感じ。
かといってお酒は控えればすむし、眠気がくれば眠ればよいのだからこれといって支障はないのだけれどね。


三宮の街の外れに僕のお気に入りの猫の住む公園があるのだけれどね、僕はそこへ行っては猫たちと仲良くなろうと、ああだこうだと試みてみるんだけど、警戒心の強い彼(彼女?)らは、そうやすやすとは受け入れないよう。

この間も友愛の輪を広めにそこへふらりと訪れてみると、4匹の猫たちがだらりだらだらとそれぞれの夕暮れ時を堪能していたので、僕もその近くに腰をおろし、じっと丸まって、それはまるで地蔵にでもなったかのように、生気もろとも消し去って彼らの輪の中に溶け込んでみた。

僕の方から歩み寄っては、いつものように逃げられてしまうということをすっかり学習したので、今度は向こうの方からこちらに来るのを待つ作戦にでたわけである。

案の定彼らは僕に対して少しの警戒心を抱きながら、まじまじとこちらを見ている、僕はじっとしたままだ。
猫と目が合うと早く瞬きをすれば、それは仲間であることの合図であるという情報を事前に仕入れていたので、早速活用してみると、効果があったのか、彼らは少しずつくつろぎ始める。これは効果覿面だな、と心の中で小さくガッポーズをしてみる、僕はじっとしたままだ(後で知ったのだけれど、どうやら瞬きはゆっくりらしい)。

数分の沈黙を経ると、彼らの中の茶色いやつが僕につぶらな二対の瞳を投げかけてきたかと思うと、こちらへすたすたと歩いてくる。ようやく受け入れてくれたのかと、少しばかり高揚する僕をよそに、茶色の坊ちゃんは、そのまま横を通り過ぎてゆく。

そうか、まだ試されているのだ。

そうこうしているうちに、他のお友達もこちらを物欲しそうな顔で見ているではないか。

そうか、みんな僕と友達になりたいのだな。と彼らの気持ちに気づいた僕は、腰をそれまでよりぐっと下げて彼らの視線に高さを合わせてみた。心なしか彼らは照れているようだった。

さて、そろそろ近寄っても大丈夫かな、と思った矢先に、後方から4人の名前を呼ぶ女性が何やら食糧らしきものを携えてやってくるではないか。次の瞬間、4匹の友人はそれまでの僕の努力を一瞬にして水の泡にしてしまう勢いで、その女性の方へ一目散にかけ出してゆく。

すべてを悟るには時間など必要なかったよ。僕はもてあそばれていたのだ。

僕が友達だと思っていた彼らのあの愛らしい視線は、食べ物をねだる眼差しにほかならなかったのだ、僕は依然じっとしたままだ。

その女性はお皿に餌をとりわけ、猫たちに取り分けて与えてゆく。猫たちは餌を取り合う。その姿の無邪気なこと。

絶望と嫉妬にまみれてしまった僕は、女性に声をかけることもできず、猫にもすっかり忘れ去られて、ただその光景を呆然と眺めているだけの地蔵であったよう。

そしてようやく重い腰を持ち上げて、虚ろな気分を背中にしょって、そっとその場を後にしたのである。

わかりあうことは、なんて難しいことなのだ、としみじみと感じた夜更けに、僕の隣にいたのは、やはり地蔵であったよな。

電気戦争

2012年06月02日 16時45分21秒 | 日記
これだけコンピュータに囲まれた生活を送っていたら、そろそろ彼らも自我を持ち始めるんじゃないか、なんて想像してしまうのだけれども、もうすでに彼らの攻撃は始まっているような気がして、そわそわしてしまう。

パソコンがフリーズするだとか、テレビが勝手に消えたりするだとか、卵をレンジでチンしたら爆発するだとか、自動扉が反応しないだとかってのは、あれは全部コンピュータ連中の嫌がらせなのだよ、きっと。
携帯は人体に悪影響な電波を絶えず放出し続けていて、人間が弱りきったところで、一斉にクーデターを起こすに違いない。


大変だ、乗っ取られてしまう。


なんて事を書いてしまった僕は、やつらに消されてしまうのだろうかね。困ったな。

こうなったら徹底抗戦だ。家に帰ったらコンセントを全部抜いて、ご飯は冷やご飯のままいただくことにしよう。

でも僕の部屋には妖怪ピック隠しも住んでいるようだし、周りは敵ばかりだよ、まったく。