ぬえの能楽通信blog

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『一粒萬倍』ロサンゼルス公演(その6)

2017-02-07 21:35:57 | 能楽の心と癒しプロジェクト
生け花が完成すると、華やかな衣裳を着たBaliasiさんたち(この人たち、何回衣裳を着替えているんだろう。。)と、幸代さんが率いる振袖を着た女性たちが現れて、俄然 舞台はにぎやかになります。振袖を着た女性たちはロサンゼルス在住の日系の方たちで「稲穂姫」と呼ばれていました。この役は一粒の稲穂が萬倍にも増えたことを祝う神々でもあろうし、それを享受する人間たちの喜びでもあるでしょう。











やがてBaliasiさんと「稲穂姫」のみなさんは舞台を降りて客席も巻き込んでのフィナーレへ。(画像は幸代さんのfacebookページから拝借しました) m(__)m



神から五穀を与えられた人間は、農業をはじめて萬倍の収穫を得、豊かな生活を送ることができるようになりました。この劇は日本では八百万の神々を通した自然への感謝と賛美の劇と捉えられますが、このように外国で上演するときには、人々が手を取り合って喜びを分かち合う姿をもって平和な世界の現出を意図することもできそう。。もっとも、食事が満ち足りれば世界は平和、なんて甘いメッセージは簡単には通用しませんけれど。しかし、童話のようなこの作品なら理想の世界をみんなで夢見ることは可能かも。

さて Baliasiさんと「稲穂姫」が客席から去ると、舞台にぽつんと取り残された生け花。静寂がやってきます。ようやく ぬえの出番だ~

本番の舞台ではここでちょっとしたアクシデントがあったのですけれども、チェロのメイちゃんがあわてず騒がず演奏を始めてくれて、ぬえも登場することができました。

静かに登場した「天の御心」さんは、満足げに生け花を見上げると、五穀の恵みが八嶋の内にあまねく施された事を喜び、治まる世を愛でて舞を奏します。



このあと(地謡はいないので)自分で謡いながら舞ってトメ拍子を踏んで終曲。登場こそチェロの演奏に乗って現れますが、それ以後は能の形式のままで舞っています。

大盛り上がりのフィナーレに引き続いて 急に寂しく能の場面が置かれることについて、昨年の能楽堂公演の際にも関係者の間で賛否が分かれたのだそうで、しかし作者の松浦さんが 最後は静寂で終わりたい、と強く主張してこのような構成になったとのこと。その時も松浦さんからは「ロサンゼルス公演のときはにぎやかなままで終わる方が良いかもしれない」とは聞かされていました。が、結局この度も能楽堂公演と同じように静寂で曲を終える形式になったようです。

しかし能楽堂公演と違うのは終曲のあとにカーテンコールが追加されることで、これは海外公演では必ずやることになりますね。再び音楽がアップテンポで響き渡るのですが、最後に能のシテが登場するところだけは、装束がついた状態で手を振るわけにもいかず、『翁』のように正先で拝をすることにしましたので、その間だけ音楽を止めてもらうことにしました。(画像はあくまでリハーサルのものです。カーテンコールの練習中~w)




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