池袋の永井格税理士事務所      ながい いたる の心の通う ブログです             

 池袋で事務所を開いて18年。経営者の皆様と心の通ったおつきあい。

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

「教育資金の一括贈与」、やりますか?②

2015年12月26日 13時33分54秒 | 仕事のこと

---「教育資金の一括贈与」、やりますか?① から続きます---

「孫かわいさ」と「相続税の節税」。この二つを

同時に満足させるのが「教育資金の一括贈与の

非課税制度」です。

 この非課税制度は、孫や子供の教育資金としてお金を

贈与しても1500万円までは贈与税がかからない、

という、とてもありがたい制度です。

 1500万円を普通に贈与すると約450万円の

贈与税がかかります。

 それなら、この際かわいい孫に教育目的限定で

1500万円までお金を贈与してあげましょう。

生前贈与しておけば将来その分には相続税は

かかりません。孫の教育と相続税の節税。

まさに一石二鳥です。

 おじいさんがこのままお金をもっていても、

お墓のなかまで持っていけるわけではありません。

それならいっそう孫の教育資金として贈与した方が

どれだけ良いかわかりません。

 でも、ちょっと待ってください。

かわいい孫が私立の中学に入学して100万円の

入学金がかかったとします。このお金をおじいさんが

出してくれたとして、この非課税制度を使わなかった場合

果たして孫に贈与税はかかるのでしょうか。

 答えは、NOです。

 入学金や毎年の学費、部活の費用などをその都度

孫に贈与してあげれば、贈与税は1円もかかりません。

 扶養義務者相互間の贈与は非課税、というきまりが

あるからです。親が健在であっても、おじいさんは

孫のりっぱな扶養義務者です。

 贈与税がかかるのは、教育資金を将来の分もまとめて

「一括」贈与した場合です。

 この場合にはこの非課税制度を使わないと贈与税が

まるまる課税されてしまいます。

 ということは、教育資金を一括で贈与しないで、

おじいさんが生きているうちに、教育費がかかる都度

孫に実費を贈与していけば、わざわざこの制度を

使わないでも、贈与税はかからないのです。

 つまり、この制度のキーワードは、「贈与」ではなく、

「一括」ということがいえるでしょう。

 おじいさんが長生きして、亡くなるまでの間に孫に

教育資金を必要な都度贈与していき、合計で

1500万円の贈与が行われたとしましょう。

 この場合、相続税の節税の点から考えると

非課税制度を利用したのと結果として同じことに

なってしまいます。

 この非課税制度が、相続税対策としていちばん

有効なケースは、おじいさんが非課税制度を利用して

お金を贈与した直後に相続が開始(おじいさんが

亡くなること)する場合ですが、世の中は

そううまく(?)はいきません。

 

 さらに、もう少し考えてみましょう。

 会社を経営なさっているい方はもちろんですが、

サラリーマンの方にとっても、いつでもどんな

時でも自由に使えるお金を持っていることは

とても大事なことです。

 経営者の方は、会社の運転資金がいつ足りなく

なるかわかりませんし、サラリーマンの方は

リストラでもされれば住宅ローンの返済が

できなくなってしまいます。

 家計から国家の財政まで、どんな場合でも

「資金の固定化」は人間の経済活動に弊害を

もたらします。

 この非課税制度によれば、贈与する教育資金を

信託銀行などに預けておいて、孫が30歳に

なるまでの間に、預けてある教育資金を徐々に

使っていきます。そして30歳になるまでに

使い切れなかったり、途中で教育以外の目的に

使った場合は、その段階で贈与税が課税されます。

 そうしますと、この制度を利用した場合、

孫が30歳になるまでお金が固定されることに

なってしまいます。

 そのような訳で、当事務所では、特に経営者の

皆様にはこの非課税制度はあまりお勧めして

いません。

 

 また、別の視点から見ますと、人間というのは

基本的に即物的にできているようで、何か具体的な

目的を叶えてもらったときでないと、感謝の気持ちを

持たないものです。

 例えば、現実にお腹がすいているときに食事を

与えられれば、与えてくれた人に感謝するでしょう。

 ところが、10年先までの食事代をもらっても、

その間、どの程度感謝の気持ちを持ち続けられるか

疑問です。

 

 もうひとつ別の角度から。親の権威の問題です。

この非課税制度は、30歳未満の人が直系尊属から

教育資金の贈与を受ける場合が対象になります。

 したがって、制度上は祖父母から孫への贈与

だけでなく親から子への贈与にも適用されますが、

実際には祖父母から孫への贈与を想定したものです。

 教育というのは、言ってみれば「人間を作る」行為

ですから、親が全力で当らなくてはなりません。

 その教育のための資金が、「親」からではなく

「祖父母」から出たということになると、少なくとも

資金的には、孫の教育は祖父母がやったということに

なります。

 これで、親は果たして子供の尊敬を得られるのか、

少し疑問です。

 

 また、孫が複数いる場合には、贈与が公平に

行われないと、おじいさんの折角の好意が

親を巻き込んだ争いのもとになってしまう

かもしれません。

 

 この制度を選択しますと、孫が30歳に

なるまでの間、長期にわたり適用を受けることに

なります。

 短絡的な節税ばかりでなく、家族全体の幸せを

十分考えて適用を検討しましょう。

 

 無料相談随時OK! 

ご相談やご質問は、ながい いたる税理士事務所

 

 

ジャンル:
独立開業起業
コメント   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 「教育資金の一括贈与」、や... | トップ | 「経理は私に任せてください... »

コメントを投稿

仕事のこと」カテゴリの最新記事

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 30日以上前の記事に対するトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • このブログへのリンクがない記事からのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。