殿は今夜もご乱心

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サザエさん・あれこれ

2017年12月29日 09時07分34秒 | みりこんぐらし
私が子供の頃、『サザエさん』は

朝日新聞に4コマ漫画で連載されていて

字が読めるようになると毎朝見ていた。

そのうちテレビアニメが始まり、日曜の6時半が楽しみになった。


気がつくと、サザエさんのアニメは

火曜日の夜7時にも放送されるようになっていた。

よその地方のことはわからないけど、私の住む地方では

火曜と日曜の週2回、サザエさんを楽しむことができたのだ。


ただし火曜と日曜では、脇役や雰囲気が少々異なる。

火曜日のサザエさんはお隣の住民が

小説家のいささか先生ではなく、画家の浜さん。

いささか夫妻より浜夫妻の方が、こなれた感じで親しみがあった。

主役のサザエさんも火曜日の方がくだけていて

たまにお酒を飲んだり、他人と口喧嘩をする。

火曜日のマスオさんも、日曜日のように品行方正ではない。

酔っ払って帰宅したり、麻雀をすることもあったように記憶している。

日曜日の夕方は子供が見るので、羽目を外せないらしい。

火曜日の方が自然体で、私は好きだった。


やがていつの間にやら、サザエさんは日曜日だけの放送になった。

けれどもうちのテレビは、愛媛放送が奇跡的に映った。

愛媛では相変わらず、火曜日にサザエさんをやっていたのだ。

映りはあまり良くないものの、しぶとく見ていたが

いつしかそれも無くなり、完全に日曜日だけのサザエさんになる。


日曜日のサザエさんばかり見ているうち

彼女の狡さやしたたかさを感じるようになった。

サザエさんが悪いのではなく、ひとえに私のせい。

嫁いで以降も毎日帰って来て、実家を牛耳る義姉と

それを歓迎する義理親に辟易し始めたのが原因だ。


弟のことを何でも父親に言いつけ

雷を落としてもらうサザエさんの手口なんざ、義姉そのもの。

「カツオッ!ワカメッ!タラちゃ〜ん」

我が子だけをちゃん付けで、甘ったるく呼ぶところもそっくり。

サザエさんが義姉に、夫がカツオに見えるようになってしまった。


本来の後継者である弟を陥れることで

実家へ寄生する正当性を主張し、安泰を図る姿に

女の情念を感じずにはいられない。

口では立派なことを言いながら、娘と初孫かわいさで

他者の犠牲に気づこうとしない両親も鼻につく。


辛抱人の結婚相手、子宝、二世帯同居による安定した生活‥

理解ある親や近所に恵まれ、義理親と小姑はいない‥

昔の女が夢見た暮らしを手に入れた稀有な女性、それがサザエさん。

彼女の天真爛漫は、弟カツオの涙と

配偶者マスオさんの我慢によって成立している‥

そんな気がしてしまう私である。



ともあれ私にサザエさんを語らせたらキリが無いので

この辺にして、本題へ進もう。

(えっ?これから本題かよ)


年配の知人のお母さんが、福岡県の出身だった。

サザエさんの作者、長谷川町子さんも福岡で少女期を過ごした。

二人はご近所だったそうだ。


やがて長谷川さん一家は東京へ転居し

戦争疎開でまた福岡へ戻った。

その頃、福岡の地元紙でサザエさんの連載を始めたが

戦後になると再び東京へ出て、漫画家としての地位を築く。


昔は近所同士の付き合いが密接だったようで

長谷川さん一家が上京した後も、福岡の人々とは交流が続いていた。

やがて長谷川さんの近所だった人たちは

東京見物を兼ねて、順番に長谷川さんの自宅へお邪魔するようになった。

一生に一度のお伊勢参りのようなものだ。


長谷川さんは故郷の人々を優しく歓待し

帰りには必ずお小遣いを手渡したという。

帰りの汽車賃を払ってお釣りがきたというから

けっこうな金額だったらしい。

厚かましいのになると、帰りの汽車賃を持たずに上京したという。

いくら出世したからといって、なかなかそんなことはできない。

長谷川さんの知られざる一面をご紹介した。


さて、長谷川さんに会うため東京見物に出かける人の中には

長谷川家訪問に加え、もう一つの目的を持つ一行がいた。

親戚に、昭和天皇の侍従がいる人だ。

この話を聞かせてくれた知人のお母さんも、親戚の一人だった。


親類縁者はその人の案内で、昭和天皇のお住まいを見学できた。

身内に限り、年に一度か二度、そういうことが許されていたらしい。

それこそ洗濯物が干してある奥深くまで行けたそうだ。

今では考えられない大らかさである。


知人のお母さんは結婚して故郷を離れていたため

皇居にも長谷川さん宅にも行けなかった。

それが心残りだと話してくれた。

かく言うお母さん、身の回りの世話をする女中を2人連れて嫁いだ

バリバリのお嬢様。

侍従が出るくらいなので、ええとこの一族だったようだ。

けれども嫁ぎ先は、子だくさんのひなびた農家。

女中さんは早々にお暇を願い出て、福岡へ帰ってしまったそうだ。


「なんでこんなに遠い田舎の農家へ‥」

思わず口にした私に

「器量が悪かったからよ」

知人は耳打ちするのだった。


あわただしい年の瀬、こんな話でひと息ついていただければ幸いです。

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8 コメント

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やはり女は器量ですかぁ (いかどんぶり)
2017-12-29 14:10:06
早いもので 今年もあと少し 振り返れば 早かった。

私 前回の苦労人さんって ある意味 素直?彼なりに 自分の心に正直に生きてらっしゃるのかと
他の人の目線なんて気にせず。
私は 良い意味での素直 みりこんさんに教えていただいた事、 しっかり刻んでおります。

そして 娘さんのお言葉 良いなぁ ほっこりしました 。
明日から 又 旅に出るので 最後のご挨拶をと。

今年もブログ お疲れ様でした。
みりこんさんのブログに救われた1人として 本当に 感謝いたします。
又 来年も みりこん節で お腹抱えて笑わせて 下さいませ。
ありがとうございました。良い年を お迎え下さい。
お誕生日、おめでとうございます🌹🌹🌹 (モモ)
2017-12-29 15:39:25
いつも目からウロコの記事を有り難うございます♪
今年も無事にここまで過ごすことが出来ました。後、一息!
ハッ!年賀状が、まだだった…(--;)

くれぐれも、お身体ご自愛下さいませ。
良いお年をお迎え下さい(^^)
ほんと! (みりこん〜いかどんぶりさんへ)
2017-12-29 22:06:40
一年があっという間ですね!

人間、顔じゃないというけど、生まれた家の条件次第では
大きな影響があるかもしれません。
昔、そして深窓の令嬢、さらに姉妹が多い場合
売れ残りそうなのは、どこでもいいから
早めに片付けたいという親の意志が働くのかも。

良い意味での素直、心に刻んでいただけて光栄です。
とはいえ私も修行中。
元々持っていないものをマスターするのは
なかなか難しいものです。

旅!いいなあ!
私の代わりに自由を満喫してくださいね!
楽しい旅を祈ってます。

わざわざご挨拶をありがとうございます。
こちらこそ、お世話になりました。
いかどんぶりさんも良い年をお迎えください。
ありがとうございます! (みりこん〜モモさんへ)
2017-12-29 22:15:20
昨日、無事に58才になりました。
年賀状も書いた、大掃除も終わった
12月はほんと色々あってバタバタしたけど
何とか乗り切った‥
でもその分、仕事がたまってて必死の誕生日でした。
今頃は連休が長くなってるから
どこも年内に請求書くれ、くれと言うからさ。
元気だから、まあいいか。

モモさんも頑張ったね!
いつも応援してくださってありがとう。
身体に気をつけて、良い年をお迎えください。
うわーほんまや (しおや)
2017-12-29 22:24:29
なんでサザエさんは実家に住んどるんや?
そして天真爛漫思うがままに生きとりますね。
いつもカツオがずるや得をしようとする話が多いなあと思ってましたが、サザエのほうがラスボスですな。ほんまや全てを手に入れたおんな...
私大昔の、配給の話の頃のサザエさんはすごい好きです。絵柄も懐かしい。今のをやめて『昭和のサザエさん』ショートアニメやってほしい。

みりこんさん、今年初めてお邪魔して、たくさん話を聞いて頂いてありがとうございました。また親鸞様について、つい知ったかぶりで長々コメントしてすみませんでした。オタクと思ってお許し下さい笑。明日窓拭きます❗  
>ラスボス(爆) (みりこん〜しおやさんへ)
2017-12-30 07:17:14
ほんまじゃ(笑)

サザエさんが実家で暮らすようになった理由‥
私もしおやさんの親鸞おたくと同じく、サザエおたくなので
ついでに話させてください。

結婚して、別の家に間借りしていたサザエさん夫婦。
タラちゃんが生まれて間もなくのこと
風呂をわかす焚き物を探していたマスオさんが
大家さんの家の板塀を剥がして燃やしていたところを
見つかって怒られました。
サザエさんは実家へ行って、泣きながら
父親の波平に言いつけます。
サザエさんから詳しい経緯を聞かされてない波平は激怒し
大家さんの所へ文句を言いに行きますが
大家さんはサザエさんに殴られて怪我をしていました。
波平はそれを見て何も言えなくなり、娘一家を
自宅へ引き取ることになりました。

つまり大家さんに対する器物損壊と暴行が
実家暮らしの原因です。
この事情を知っている者にすれば
なぜ実家であんなに大きな顔ができるんだ?と
思ってしまうわけです。
ご存知だったらごめんなさい。

配給の頃のサザエさん、私も好きです。
生活のために家族で工夫したり、トンチンカンなことやったり
サザエさんに家庭が無い分、手放しで楽しめます。

こちらこそ、いらしてくださってありがとうございます。
親鸞聖人の話、興味深いですよ。
また教えてください。
良い年をお迎えくださいね。
陰ながら😅 (鴨パパ)
2017-12-31 13:01:56
いつの頃からか、更新無い日も毎日陰ながら拝読しております〜
新しい目線とゆ〜モアに感激であります、
来年もまた楽しませてくださいませ、良いお年を〜
ありがとうございます! (みりこん〜鴨パパさんへ)
2017-12-31 16:12:56
新しい目線とユーモア!
身に余るお言葉、光栄です。

来年も歪んだ心で真実を発見できるよう、頑張ります。
鴨パパさんも良い年をお迎えください。

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