殿は今夜もご乱心

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まさかさま・海外篇

2016年10月17日 11時08分02秒 | みりこん童話のやかた
高貴な方々の住まわれる

森のお屋敷に嫁がれたまさか様。

心のご病気になられて、長い年月が経ちましたが

ご回復の兆しはありません。


「海外が好き」「海外へ行きたい」

まさか様はご結婚当初から、要望を述べておられました。

そして、それが叶えられないので

ご病気になられたと言われておりました。

「海外へなかなか行けないことに適応するのが難しい」

病名は、まさか様がおっしゃった

このご発言によって決まりました。


「そんなに海外がお好きなら

もっと頻繁に行かせてさしあげたらどうだ」

「海外旅行より男のお子様を生む方が先なんて

封建的過ぎる」

最初の頃、村人たちは憤慨し、まさか様に同情したものです。


しかし年月が経つにつれ

「なぜ海外へ行かせてさしあげられないか」

その理由が、何となくわかる村人が出てきました。

まず、ファッションに敏感でおしゃれな者です。

お屋敷の女性たちのファッションを楽しみに眺めるうち

お身内やお客様と同じ色のお洋服をお召しになり

ご満悦のまさか様に気づいて

強い違和感をおぼえるようになりました。


次は、上流階級のマナーに詳しい者が気づきました。

衣装かぶりは、仲良しごっこや

お茶目ないたずらでは片付けられないからです。


上流階級は身分がすべて。

たとえば真珠のネックレス一つをとっても

上の身分の方より大粒のものは付けられません。

上の方より豪華では失礼になるからであり

張り合うのは下賤のすることだからです。

お屋敷の女性たちは細心の注意を払い

厳格な身分の序列を守っているのです。


この環境で衣装ブッキングした場合、自動的に

位の低い方が礼を欠いたことになりますから

本来は位が高い方ほど気を遣うのがマナーです。

まさか様は跡取りの妻ですから

お屋敷の女性の中での身分は

お姑様の次に位置するナンバー2。

まさか様の行いは、身分を利用した意地悪としか

受け取りようがなく、マナーに詳しい者は

頭をひねるようになりました。


おしゃれとマナーは上流階級の必須アイテム。

これに問題があるとしたら

「一時が万事のザンネンさん」で間違いありません。

この決定に例外が無いことは

おしゃれとマナーの世界を知る者にとって常識です。


彼ら、彼女らは、それぞれに思いました。

「ひょっとして、海外へ行かせないのではなく

ザンネンを受け入れてくれる国が無いのではないか」


そう考える頃には、まさか様は海外で

食欲妻と揶揄されるようになっていました。

とてもよくお召し上がりになるからだそうです。

のどかな村にも外国語のわかる人が増え

庶民でも海外の話を訳せるように

なってきたのでした。

都合の悪いことは村人に隠蔽されますが

遠く離れた海外で、有色の外国人に向けられる目は

冷静で厳しいものなのです。


奥様がナンであっても

ご主人であるご長男がまともであれば

どうにか格好がつきますが、これがまたナンでした。

ご長男は元々、あまり見栄えのしない方ですが

それでも独身の頃は、気品や威厳のようなものが

備わっておられました。

しかしご結婚なさって以降は、恐妻家ひとすじ。


ご長男がナンであることは

海外にもすでに知れ渡っています。

ちょこまかと動き回られるお姿から

小エビと揶揄され、ご評判はかんばしくありません。

端正や優美といった視覚的長所を

持ち合わせておられないご長男は

その点、不利でした。


加えてご長男には、どこへ行かれても

ご趣味のカメラを手離さない困った癖がありました。

降ってもカメラ、照ってもカメラ。


ヨーロッパのある国では

王妃様のお顔をさえぎって、お手を伸ばし

無心に風景を撮影されました。

これは大変無礼な行為で、世が世であり

それを行なったのが庶民であるならば

打ち首になっても文句は言えないお振る舞いでした。


その国の民衆からは非難の声があがりましたが

森のお屋敷は海外においても格が高いため

直接クレームがつくことはありません。

また、真に高貴な方々は口が堅く慈悲深いので

失礼があっても怒ったり笑い者にはせず

温かく見守られます。

そのため、修正の可能性も無いのでした。


ご夫妻がいくら海外へお出かけになりたくても

行けば恥をかきますから

お屋敷の関係者は、出すに出せません。

その上、まさか様の衣装かぶりの問題があります。

まさか様はなぜか

ご自分の行きたい国の要人をターゲットになさるため

嫌われてお招きが無くなるからです。

残っているのは、まさか様が行きたくない国しか

ありません。


出すに出せないお屋敷。

行きたくても行く国が無いご夫妻。

これもマッチングと呼ぶのでしょうか。

どっとはらい。



この物語はフィクションであり

実在する団体や人物とは一切関係ありません。
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8 コメント

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とっておきの話 (しなもん)
2016-10-18 21:30:32
私の兄の高校時代の先生にご長男さまの同級生がいました。だからその先生、やんごとなき方々が通う学び舎のご出身です。
その先生が教えてくれたこと。
ご長男、本当にお勉強ができなかったそうです。
ご長男は、学び舎で先生に呼ばれるとき「宮様」って呼ばれるそうです。
あまりにもできが悪いから、学び舎の先生方も心得ていて、滅多に当てないけれど、まったく当てないのもダメらしく、学期に1度くらいは当てるらしいです。

学び舎の先生 「この問題、誰に解いてもらおうかなー、えーと、宮様ー」
宮様 「分かりませーん」

これの繰り返しで、1度も答えたことがないそうです。
だから兄の先生、ご長男がイギリス留学した際には「留学しても英語が話せるわけない」と一刀両断。
なによりもヨシエちゃんのコンサート見たさに、お忍び帰国しかねないと言っていたそうです。
常々兄の先生は、ご長男が天皇になったら日本は終わり、と言い続けていたので、兄はすっかりご長男嫌い。私は又聞きなのにご長男の逸話を思い出しては、次男にお屋敷を継いで欲しいです。

ケツ2 (みりこん〜しなもんさんへ)
2016-10-19 19:43:38
万年ビリから2番の「ケツ2」説ですね。
しなもんさんのとっておきのお話
ありがとうございます。

私ごとになりますが、うちには長男と次男がおり
零細極小会社ながら、おこがましくも一応は
後継者問題も念頭に入れて
零細極小なりの生活をしております。
あちら様と同じような‥とは到底言えませんが
何となく似通った心境のようなものは
感じる機会があります。

長男の不器用や次男の器用を
つぶさに見ているわけで
この場合の器用不器用は
「周りが何を求めているかを感じ取る感性」。
我が家に限らず、次男ってのは
幼い頃から長男を見て
その感性を磨くチャンスに恵まれており
それを実行に移せるマメさも持ち合わせて
いれば、他人様からウケが良いのは
次男の方です。

ウケの良さと後継は、また別問題で
単純に両者を比較して選ぶわけには
いかないというニュアンスは
何となく理解しているつもりですが
歴然とした嫁の差はどうしようもなく
それぞれのご主人の
研鑽と向上心の差であることは明白です。
たいていの希望は叶う地位とお金がありながら
初老になっても女房子供に手を焼くようでは
先が思いやられるのは当然ですね。

ヨシエちゃん(笑)
お好きだと公言され、お母上を伴って
コンサートにも行かれましたっけ。
あの後、ヨシエちゃんはヌード写真集を出し
お嫁さん候補を回避するためと
ささやかれましたが‥あの頃が華でしたね。
それは、ね (きょん)
2016-10-21 16:05:03
だ~れも言えない、言っちゃいけ~ない~♪
    (デビルマンでお願いします)

みんなが思っているであろうこと・・・ですね!

「はだかの王様」みたいに、いつか無邪気なコメンテーターが
「甘えてますね」と口走ってくれないかな
ヨシズミさんかカズシゲさんあたり
「甘えてますね」(爆) (みりこん〜きょんさんへ)
2016-10-22 09:59:40
ワハハ!
ほんと、これをしれっと言えるのは
二世の恩恵を存分に享受している
あの人たちしかいないかも(爆)
きょんさん、さすがの人選です!
Unknown (モモ)
2016-10-22 22:41:02
やっぱり、皆様、そう感じられていたのですね♪

現実をパッと見て、瞬間に感じた事を、イヤイヤそんなはずは…と、上方修正した遠い日々(笑)。

夫婦は似た者同士が寄り添う、と言いますよね。

あぁ…、私の波長もあの時は似たようなものだったか…と、反省したり感謝したりですが。

キコ様のスガスガしさを感じる微笑と、○子様の毒々しさを感じる微笑を見てると、夫婦の器というものを感じます。
その、器に盛られる花はどんな様相なんでしょうか?

んまあ! (みりこん〜モモさんへ)
2016-10-23 21:50:47
モモさん、早くから気づいてらしたのね!
私は「何か変、何かおかしい」と思っては
「いや、あのおうちに
そんなことがあるはずはない」と思い直す‥
その繰り返し時代が長かったです。

多分、社会に出て長く働いてきた人は
早い段階からわかったかも。
ああいう人、職場にいるから。
仕事はしないけど恩恵は率先してむさぼり
困ったら心の病気を持ち出す人。

器に盛られる花?
お印にちなんで、おたんこナスなんて
どうでしょうか。
知らなかった世界 (ねこ)
2016-10-25 16:50:38
お久しぶりです。

高貴な世界だから、私などではわからなかった世界があるんですね。
深い・・・

みりこんさん。
人生っていろいろありますね。
夫婦のやり直しをやってはきましたが、ここにきて、
夫が病気になりました。

あんまりよくない状態です。
所詮、夫婦なんて、離婚か死別でお別れなんですよね。
縁あってここまで一緒にいたので、悔いのないようにと思うのですが、その反面、夫がいなくなった後のことをつい考えてしまうんです。

例えば、ここにとどまるのか、故郷に帰るのか。
就職先はどこにするか(技術職なので就職先はどうにかなる)
そんなことを考えてしまうんですよ。
とどまるも地獄(義父母)。
子供は他県だし、お荷物にはなりたくない。
実家は静かに老夫婦で暮らしている中に、帰るのもね・・・。
相当真剣に冷静に考えてしまうんです。

みりこんさんならどうします?

でも、夫は闘病で頑張っているのに。
死後のことを考えるなんて。

自分の薄情さに驚く次第です。
誰にも言えず、みりこんさんになら、お叱りも含めて
よろしくお願いします。
以前 (みりこん〜ねこさんへ)
2016-10-26 00:00:17
ご主人のお加減が良くないと
話してくださいましたね。
やはり深刻なんですね。
どんなにか心配なことでしょう。
お見舞い申し上げます。

ほんと、人生って不思議。
こないだまで、ねこさんの苦しみのテーマは
ご主人の浮気の記憶と義理親さんの性格
それと仕事だったけど
一気にケリがつく所まで来ましたね。

ねこさんは冷たくないですよ。
ご主人の死後のことが心配になるのは当然です。
それも含めて病気であり、看病です。

いつまでも生きると思っていると
憎しみが湧きますが
もうすぐお別れとなると
全てが貴重な思い出になる。
思い出だけでなく、子供、遺族年金、生命保険
家も遺してくれる。
これでこそ、連れ添った甲斐があるというもの
なんて言ったら、私がねこさんに叱られそう。

最悪の事態を想定して心づもりをしておくのは
大切なことですし
これができなければ一人前の女房とは
言えないと思います。
ですが、結論はすぐには出ないと思います。

庭に木を植えたと言ってらしたから
持ち家でしょうけど、家賃がいらないメリットは
あるけど、古くなると女一人ではメンテナンスが
大変になるし、義理親の干渉は免れそうもない。

実家に帰ると、親御さんは足と家事手伝いが
得られて喜ぶかもしれないけど
大人になってから、再度親と生活するのは
予想外にきついもんよね。

どっちもどっちのことを
今、この状況下であれこれ考えても
実際に実行に移せる結論に至るかどうかは
わからない。
私がねこさんの立場だったら‥
もちろんご主人が長生きしてくださるのが
一番いいけど、それでも亡くなるとしたら‥
亡くなってから考えます。
お葬式や相続の作業その他
周りの人の言動を見ていたら
自然に方向性が浮かんでくるものです。

迷う時は動かない。
行動する時は、誰が止めたって
動きたくなるもんだから
あんまり心配しない方がいいと思うわ。

大変でしょうけど、身体に気をつけてね。
応援しています。

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