つれズレ愚抄

ズレ：「そもそもが感動的な実話ベースだし言わずと知れたイーストウッド監督作品だし時あたかも冬季五輪でスポーツ気運が盛り上がってる最中だしと、どこをどう切っても奇を衒わない感動が金太郎飴のように現れて、苦みや渋みをオブラートに包んでスクラムトライに持ち込むストレートな力押しの展開だわな。
　南アフリカと言うと金やダイヤに恵まれてる分白人支配が強力で公式な人種差別政策最後の聖地だったところにさながらインドのガンジー師のようにマンデラ師が登場して人種融和を図ったてぇ教科書的な知識しかないけれど、この作品からその後の推移は窺い知れないものの未だに治安の悪さとかが取り沙汰されているところをみると一人の偉人を以てしてもそうそう問題を解消できるもんじゃないってことかもなぁ。
　奇しくもこの時はラグビーだったのが今度はサッカーのワールドカップが開催される運びとなり、さすがにサッカーじゃ南アチームが優勝するなんて奇跡は無理だとしても、これを契機により豊かで暮らしやすい国にならんことをとの南アフリカさんへの制作陣のエールになってるんじゃねぇか」

つれ：「調査捕鯨が妨害されたりで海洋食料調達が難しい一方、岡山理科大さんが海水を使わないクロマグロ養殖の研究を進めてるてな朗報もあったよねぇ」

ズレ：「海水の６０元素のうち魚の成長に必要な成分に真水を加えた好適環境水たぁ、何やらそれを掛けりゃ元気になる魔法のヤカンのようじゃねぇか」

つれ：「鯨に次いで鮪も漁獲規制が厳しくなってくる中で、内陸でもマグロ養殖が可能になりゃ自然保護と経済効果の一石二鳥じゃないかぃ」

ズレ：「マグロ養殖についちゃ水質以外にも難しい課題はあるんだろうけど、工業製品のように海水魚を生産できりゃ食糧安保にも資するわな」

つれ：「農産物も工業化が進んでるようだし、第二次産業に第一次産業を組み込んでくのがこれからの日本の生きる道かもねぇ」

ズレ：「天然ものを収奪するんでなく国内で作るなら他国の横槍も入ることなく、それこそ鯨だって養殖ものなら食っても文句は言われめぇ」

つれ：「奇跡の戦後復興を果たした製造業の魔法を以てすりゃ、日本が世界有数の食料供給国になるのもあながち夢じゃなさそうだよ」

ズレ：「世界中の食材を漁食してきたからには、食料の安定供給に貢献するのがスジってこったな・・」

つれ：「愛煙家のおじいちゃんが登場する絵本が販売中止・回収の憂き目にあったんだってさ」

ズレ：「子どもに喫煙を奨励してる訳でもないのに、そこまでやっちゃ言論封殺じゃねぇのか」

つれ：「禁煙や受動喫煙への配慮が欠けるとの指摘を受けた出版社側の自主判断のようだよ」

ズレ：「あからさまな讒謗律が罷り通る筈もない今の日本とすりゃ、むしろもっともらしい理屈に過剰反応しての自粛から結果的に思想統制につながる方がおそろしいってことよ」

つれ：「おじいちゃんが阿片を吸ってるならイザ知らず、煙草を燻らすおじいちゃんのいるお宅はまだ幾らもあるだろうしねぇ」

ズレ：「核家族の弊害も言われて久しい中じゃ、煙草を吸ってようと古老の知恵に接するメリットの方を強調したっていいくらいでぃ」

つれ：「受動喫煙より能動離散の方が先々更に深刻かもねぇ・・」

つれ：「お江戸の梅もほころんでようやく春の気配だねぇ」

ズレ：「暖冬と言われた割にゃ存外本格派の冬だったんじゃねぇか」

つれ：「首都が麻痺するほどではないものの、結構雪も降ったしねぇ」

ズレ：「季節の春が近づいたところで景気の方も春を迎えてほしいもんでぃ」

つれ：「大方が春到来を期待した民主党さんの景気浮揚策は高速無料化が社会実験でお茶を濁されしたり児童手当は満額支給が怪しくなったりで、まだまだ春遠しって感じだよ」

ズレ：「政治資金疑惑やらで足踏みしてるうちにはまた冬がきちまいそうだわな」

つれ：「お国が麻痺するような大雪は勘弁してもらいたいねぇ・・」

つれ：「いかにも民主党さんらしい行き当たりばったりてぇのか、ゴールデンウィークは地域によって週をズラすてな改正法案が出てくるみたいだよ」

ズレ：「併せて何の謂われだか分からなくなってるハッピーマンデーを元に戻すって方は民主党さんにしちゃ至極まっとうだけどよ」

つれ：「とにかく連休が固まると何かと不経済だから拡散しようてぇハラみたいだねぇ」

ズレ：「そういうことなら年末年始の休暇も地域によってズラすようなんじゃねぇか」

つれ：「なんぼ何でも元日が地域で違っちゃマズイだろうに」

ズレ：「休日拡散で経済効果を狙うんなら、いっそ毎週何かしらの祭日で週休３日にして実質賃金を上げたらどうでぇ」


つれ：「それじゃ割り増しのつかない平日に一層コキ使われるだけだょ・・」

つれ：「恐縮ながら原作を拝読してないので元のトーンがどうなのかは定かならねど、映画の予告編からは強力なサスペンスの香りが漂ってたのに対して本編を通して見るとむしろメルヘンとも言えるくらい人間愛に根差すほのぼのとしたエピソードやユーモアが強調されてる感じだねぇ。
　緊迫した展開にも関わらずどこかゆったりとした風情があるのはキャスティングの妙や仙台に特化したロケーションのご当地紀行的な空気感によるところも大きそうで、この辺りは文字だけでは伝わらない映画ならではの味わいかもしれないよ。
　いかにも大がかりな陰謀を単なる借景に使ってオズワルドやビートルズやカローラの時代色を滲ませながら個人レベルの感傷にもっていくてな運びは、見ようによっちゃ何かと物騒にはなってきてもまだまだパーソナルな心象を斟酌する余裕のある平和な日本だからこそ許される贅沢にも思えてくるんじゃないかぃ」

つれ：「齢を重ねるほどに一際円熟味が増してた藤田まこと先生のご逝去は何とも惜しまれるよねぇ」

ズレ：「てなもんや三度笠の軽妙なノリから必殺シリーズの重厚な渋みまでの幅広い芝居で、実に得難い役者さんだったからなぁ」

つれ：「夜の巷でも幅広く豪遊されてたそうで、それが芸の肥やしになったのかねぇ」

ズレ：「そういう意味じゃ近頃は往時のような豪儀な噂は聞こえてこないし、なかなかいい役者さんが現れにくくなってるんじゃねぇか」

つれ：「今はひたすら品行方正礼賛だから、迂闊に豪遊しようもんならたちどころにバッシングされて否応なく粒は小さくなっちまうのかもよ」

ズレ：「健全に豪遊できない分陰に籠もってアブナいクスリが蔓延してるようだし、芸能レポートは専ら豪遊を奨励する方向にすれば世の中も明るくなりそうだぜ」

つれ：「明朗に集金できない分陰に籠もってアブナい工作が蔓延してるからって、政治レポートで小沢さんや鳩山さんをヨイショしても世の中明るくなりゃしないよ・・」

つれ：「首相が省庁再編をブチ上げたのには、また官僚が戦々恐々としてるのかねぇ」

ズレ：「参院選後直ちにってぇなら色めきたつけど、今となっては帰趨の読めない参院選後に検討を始めるってんじゃどのみち大したことはあるまいとタカを括られてるだろうよ」

つれ：「少なくともマニフェストに絡んだ子ども家庭省だの歳入庁だのには手をつけるんじゃないのかぃ」

ズレ：「結局再編たって屋上屋を架す程度のことじゃかえって官僚機構を肥大化させるようなもんで、抜本的な見直しを謳うなら行政ジャンルごとの縦割りから地域ごとの横割りに改めるくらいのことをしないと官僚支配からは抜け出せないぜ」

つれ：「北海道省だ九州省だってことになりゃ民主党さんの地方重視の趣旨には適いそうだけど、それこそ官僚の頑強な抵抗にあって二進も三進もいきゃしないよ」

ズレ：「一気に道州政府の連邦制に移行するくらいのビジョンを打ち出しゃ、既存の体制でくすぶってる有為な良吏がロマンを求めて動き出す目もあるってもんよ」

つれ：「官界にも貴乃花親方のような志士がいるんだかどうだか・・」

つれ：「五輪開幕で平和の祭典ムードだけど、台湾さんへの武器売却を巡ってアメリカさんと中国さんが白熱したってのは収まったのかねぇ」

ズレ：「アメリカさんとすりゃ台湾さんに防御系武器を供与することで中国さんのプレゼンスを牽制する狙いもあるんだろうから、向後もくすぶり続けそうだぜ」

つれ：「中国さんもこれだけの大国になったからには、もう台湾さんにそう目くじらを立てなくともよさそうなもんだけどさ」

ズレ：「どっこい中国から大洋を窺うには台湾が大きな蓋になってるんで、これだけの大国となったからこそなおのこと台湾を吸収したいてぇ思惑が強まってるかもしれねぇやな」

つれ：「よもやアメリカさんへの強硬姿勢が勢い余ってそのまま戦端を開くなんてなことにはならないだろうねぇ」

ズレ：「中国さんのことだから目算がありゃ腕ずくで不言実行するところを、数の上じゃ大軍事力でもその運用能力に自信がないからこその口撃にとどまってるんじゃねぇか」

つれ：「昔はアメリカさんなら今は中国さんが張り子の虎だってのかぃ・・」