映画の話でコーヒーブレイク

映画の話を中心に、TVドラマや旅行の話などを綴ります

闇の子供たち

2008-09-03 | 映画 や行
日本映画で、アイドル系宮崎あおいちゃんや妻夫木君を起用したこういう社会派は少ないのではないでしょうか?
日経の映画批評でなかなか取れないという高評価。
こりゃ見に行かなくっちゃ~
でも、きっと東京の小さな劇場でしかやってないんだろうなぁ・・・と思ったら、
何と!109シネマズMM横浜で上映中!


   ****************

         闇 の 子供 たち

   ****************


 < ストーリー >

タイ在住の新聞記者南部(江口洋介)は、本社記者つかんだ臓器密売についてのネタを調査。
日本人の子供がタイで臓器移植を受けるというものだ。
NGO職員の音羽(宮崎あおい)、フリーカメラマンの与田(妻夫木聡)と共に、
危険を犯しながらその真実を追う。



東南アジアへの売春ツアーなどという不名誉な事実がマスコミを賑わすことがある。
フィリッピンで日本人とのハーフと思しき肌の色・顔立ちの子供達が結構いるらしいという
TVドキュメントを見たこともある。
だが、この映画で描かれるのは、幼児、10歳にもならない子供達の人身売買で、
売春・臓器密売などの目的で、貧しい村から何も知らずに連れてこられた子供達だ。
格子の檻の中に入れられ、虐待され、病気になると生きたままごみ袋に入れられ捨てられる。
また、臓器提供のため、何もわからぬまま殺される。
非常にショッキングなことだが、こういうことが行われているのは事実だろう。


20年以上前だが、アメリカの牛乳パックのボディーに、顔写真付きで
「MISSING CHILD! 行方不明の子供 捜しています」という広告があったのを記憶している。
先進国アメリカで子供がいなくなるということもショックだが、
牛乳パックに捜索広告が出ていることも驚きで、
それ以上に身代金目当てでなく何の目的で子供がいなくなるか謎だった。
アメリカでは子供のできない人が養子縁組を望むも、なかなか順番がまわってこないとか
審査が厳しくてなかなか縁組できないということもあるようだ。
ミシェル・ファイファー主演の「ディープ・エンド・オブ・オーシャン」で
子供が誘拐された切ない家族の話もありました。
いまも牛乳やジュースのパックに子供捜索広告が出たりしているのでしょうか?

アカデミー賞外国語映画賞を取った1998年のブラジル映画「セントラルステーション」で、
ストリートチルドレンの主人公がお菓子か何につられていった先は
臓器移植のために子供達を集める組織で、「なんと恐ろしい所やなぁ」と思ったもんです。
「イースタンプロミス」は東欧の少女達が騙されてロシアンマフィアの売春組織に売られていました。

映画に描かれるってことは現実はもっとひどいってことでしょうね。


需要があるから供給するのか、売る人がいるから買う人がでてくるのか?
子供を売らなければやっていけないほどの貧困と、
子供を使って金儲けをする大人、欲望を満たそうとする先進国の大人たち。

「遠い国の話ではなく、地図の上ではたったの20cmの距離」


臓器移植で、助からなかった命が助かるということはありがたいことです。
でも日本では法律で15歳以下の子供は移植を受けることができず、海外で手術を受けることになる。
莫大な費用と時間がかかるし、
手術を行う国にも移植を待っている子供たちが沢山いるのに・・・という批判を受けることにもなる。

この映画では、一人の日本人の子供を助ける為に健康なタイの子供が売春をさせられた挙句、
麻酔をかけられ生きたまま臓器の提供者にされる。
生きたまま心臓を摘出され、殺されるということだ。

時として、科学の進歩は罪なことをする。
助かる術がなければ諦めもつくが、
移植をすれば助かると聞き、
残された時間はあとわずかで欧米での移植を待つ時間が無いとなれば、
タイでならすぐにでも移植が可能と聞けば、
どういう提供者か知りつつ罪悪感を感じながらも、心は乱れるだろう。
なまじお金があったら、決断するだけとなったら、行って移植を受ける人もいるだろう。
他人事なら正義を振りかざして批判もできるが、自分の子供がそういう状況になったらと考えると・・・
お金があるかどうかは別にしても、果たしてキッパリ断れるかと聞かれたら・・・自信ないなぁ。
まさに「悪魔のささやき」だよなぁ。

そこで儲けているのは医者と仲介者や犯罪組織で、提供者たる子供は命を奪われるだけだ。
こういうことが昔のことではなく、今現在進行形であるということにショックを受けると共に、
胸が痛く力が抜けました。

アメリカでは法的に問題が無くても、お金が無ければ移植は受けられない。
これまた親として非常に辛いことです。
デンゼル・ワシントン主演の「ジョンQ」は、貧しくて移植を断られた父が
病院を占拠し医者を脅して自分の臓器を息子に移植して欲しいという話でした。

「お金で命は買えない」なんて言われるけれど、今や命はお金で買えるんだな~。

ショックではあるけれど、こういうことが現在行われているということを知ることが、
まず第一歩でしょうか。



*****  ネタばれ あります   *****

  

           

結末は意外な展開。えぇ~!
はっきりとではないが、この一件を追っていた南部も実は幼児性愛者だったということ、
そして彼は自殺をする。
この展開はどうなんでしょう?

幼児買春が特殊なことでなく、
そういう人はあなたの身近にいるかもしれないという監督のメッセージなのでしょうが、
告発しようとする者が同じように性的目的のために幼児を買った過去があり、
罪の意識に苛まれているというのはちょっと納得でけへんよ。
罪の意識があるからこそ、罪を恥じ、命がけで告発してるんじゃないか
という考え方もあるかの知れないけれど、性的嗜好は簡単に変わるもんじゃないというしねぇ。

帰りに本屋さんによって、梁石日氏の原作を立ち読み(すみませ~ん)して確かめてみました。
やはりこの結末は原作には無く、監督の創作でした。
この結末で私は一気に醒めてしまいました。残念です。

こういう映画を見ると、どうしてもタイの国に対し偏見を持ってしまいますが、
タイは政府は日本よりずっと先進的な人身売買対策を行っており、
タイはアジアで唯一エイズ感染者数を減らしている国だそうです。
(逆に、日本は先進国の中で唯一エイズ感染者数を増やしているとか・・・)


監督は、
「この映画はかわいそうな子供たちの話でない。日本を含む先進国の児童買春者と、
それらを創り出す社会を告発する社会的な映画だ」
とおっしゃっているそうです。

供給側(売る側)だけの問題ではなく、
需要側(買う側)を厳しく取り締まり、その2つを取り持つ構造を断ち切ることが必要なのでしょうね。
難しいなぁ。



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12 コメント

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こちらは…。 (mori2)
2008-09-05 01:15:09
こちらでも、TBいただきました。
コレは大変な映画でした。吾輩未だに心の中に、
尾を引いております。
知らないで済むなら、知りたくなかった事実ですね。
猛烈に、憤ってます。
こんにちは! (mori2さんへ(ryoko))
2008-09-07 18:35:57
知りたくはないことですが、一人でも多くの人に知らせることが大切なのかなと思います。
思い切った重いテーマに人気俳優さんたちが参加されたことで認知度が高まると思います。

妻夫木クンって、イケメンってだけでなくさりげなくうまいなぁ~と注目しています。
TB,コメントありがとう (fujisan)
2008-10-05 11:54:00
ryokoさんTBとコメントありがとうございます。
大変重たい内容で、よくここまでつくったなと思いました。そして今現地では上映できなくなっていますね。
ryoukoさんのおっしゃるようにどうして最後あの曲なんでしょう?ミスマッチに思えて仕方ありませんでした。結末のフラッシュバックも・・そこへ持っていくかという感じでしたね。今までの正義感をチャラにするような・・
また素敵な映画を紹介してください。
こちらにも、ありがとうございます。 (fujisanへ(ryoko))
2008-10-10 01:00:15
タイに対して悪いイメージを植え付ける可能性があるということで、やはりタイ側としては受け入れがたい内容でしょうね。
強引なエンディングとテーマ曲で、あらら・・でしたね。
本屋さんにダッシュして、原作の結末を確認してしまいました。
こちらこそ、ヨロシクお願いしま~す。
心の闇よりも 貧困 ()
2008-10-22 07:49:55
こんにちは。
Ryokoさんが、私のブログからリンクを経由していろいろなブログに行って頂いているようですね。
みなさんから感謝されて嬉しい限りです。
こうやって、輪が広がって欲しいと思ってます。

私もこの作品を観ました。
人間の心の闇を観た気がしましたが、本当の問題は、その原因だと思います。
心の闇も原因のひとつだと思ってるのですが、個人的には、貧困だと思います。
世の東西を問わず、我が子を売るなんてことを好んでする人なんていません。
貧困であるが故に、家族が明日生き抜くために、最終的な手段だとしか思えないんですよ。

長文、すいませんでした。
これからもよろしくお願いします。
コメント、ありがとうございま~す! (亮さんへ(ryoko))
2008-10-22 10:55:53
こちらこそ、読み応えのあるブログを教えていただきありがとうございます。
映画好きの輪に入れてくださいね。

ブログ、拝見しました。「原因は貧困」そうですね。
日本でも遠い昔のことではなく、戦前は子供を労動力にしていましたよね。貧困から間引いたり、奉公に出したり、泣く泣く娘を遊郭に売ったり。
ただ、子供を売るような貧困は無くなり豊かになった日本では「援助交際」などという自らの意志でお金のために身を売る少女達が出没し、外国へ行って買春をする人達がいる。
貧困がなくなっても供給は無くならないし、供給地を求めて海外へ行く。
需要も供給もなくなることはないようです。
日本は豊かさと引き換えに、もっと大事な何かを失っている気がします。

タイには行ったことはないのですが、この映画でタイに対して誤った認識が定着するのではないかとちょっと危惧します。
今後とも宜しくお願いいたします。






こんばんは★ (dai)
2008-12-29 00:01:22
コメントありがとうございました☆

いや~あ、見応えのある問題作でした。
やはりあのラストはオリジナルと異なるんですね。
あのラストは諸刃の剣であり、衝撃を与える反面、
一気に観客を冷めさせてしまうのも事実だと思い
ます。


こんばんは~! (daiさんへ(ryoko))
2008-12-30 23:25:44

重い社会派映画でしたね。
ラストの展開があまりに唐突だったので、「えっ?どういうこと?」「まさか?」で理解するまで時間がかかってしまいました。
諸刃の剣、私は冷めた派です。
TBありがとうございました (シムウナ)
2009-06-16 18:11:42
TB有難うございました。
鑑賞後、しばらく放心状態になりました。
フィクションなのに、ドキュメンタリかなと
感じるほどでした。真実と虚構の境界線が
なくなるほど衝撃度がありました。

今度、訪れた際には、
【評価ポイント】~と
ブログの記事の最後に、☆5つがあり
クリックすることで5段階評価ができます。
もし、見た映画があったらぽちっとお願いします!!
Unknown (シムウナさんへ(ryoko))
2009-06-23 00:16:19
かなりキツイ社会派映画ですが、最後がちょっと・・・。南部にそんな性癖がってところで???
いくらなんでも、そんな展開?で、原作本を本屋で立ち読みして確認し納得した次第です。
商業的に厳しい映画を敢えて作った監督・出演者に拍手ですね。
面白いけど (トシ)
2010-10-14 23:48:06
映画としては面白いんだけど、①生きた子からの臓器移植はありえない②幼児買春は事実、ってのが混同して、①もタイならあるんかなあ、と思い込む人もいるでしょうね。

よく分からない点としては、音羽恵子がアラヤンを助けた後、NGOスタッフからケガの手当てを受けますね。そのときスタッフの首に生々しい傷が映し出されるわけですが、なんか意味あるのかな?
彼女も昔は同様の虐待を受けていた、ってことかと思ったけど、それにしちゃあ傷口が新鮮すぎる・・・
コメントありがとうございます。 (トシさんへ(ryoko))
2010-10-26 11:10:03
コメントをいただいたのに反応が遅くてすみません。
映像って訴える力が強くて、フィクションでも真実と誤解をうむことが多いですね。
気をつけなくてはと思っています。

この映画を見たのは随分前なので記憶が定かではないですが・・・子供を斡旋している男性も元被害者だったし、救っている側も被害者だったということでしょうか?
古傷にしたら益々気が付かないかも?

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