小名浜 / 鬼 track by I-DeA

ラップミュージックは人の心を打つ、という話をしましたよね

（→「みのもんたラップ」参照）。

そして、前記事において、「牛鬼」の民話を紹介しました。

それもこれも、下の曲をアップしたかったからです。

実のところを言うと、しかしそれならば、紹介すべき民話は「牛鬼」でなく、

「鬼の子『綱』」の方が適当だと思っていました。

ただ、こちらは、民話としてメジャーじゃない（紹介されるとしても、

「豆まきの由来」といった形に矮小化されている）ので、

よほど昔話に詳しい人でないと全体像を知らないと思いました。

そこで、「ゲゲゲの鬼太郎」にも登場する「牛鬼」選んだわけです。

「鬼の子『綱』」について、

さわりの部分だけお話ししますとね――。

鬼の子でありながら、

人間である母親を救うため、（父親に背き）仲間を裏切るというものです。

山場は、救った後にやってきます。

つまり、鬼の子の人間の世界に入ったその後の運命です。

結末は、衰弱死なんです・・・

とてもじゃないですけど、切なくて涙なしでは語れないです。

今日アップした曲は、

そんな民話を思い出さずにおかなかったです。

さて、前置きが長くなりました。

じっくりと聴いてやって下さい。

「鬼」というラッパーの歌う「小名浜」です。
　
EXILEとかいうヤンキーぶりっこ(笑）のグループが歌っている

クソな曲と比べると天と地ほどの違いがあります。

蛇足ながら、本物のヤンキーの名曲とは、こういうのを言うんだと思います。




歌詞は、ここをクリックして確認して下さい。

対照のため、以下に引用しておきます。

　――

育ち　団地の鍵っ子　駄菓子屋集合　近所のガキんちょ
ヤクザの倅か母子家庭　親父がいたのも七つの歳まで
二歳の妹がいようと死のうとするお袋に「帰ろうよ。僕が守るから大丈夫」
光るタンカー埠頭の解放区　目まぐるしく変わる生活 決して贅沢なく 御馳走の絵描く
お袋は包丁 妹は泣きっ面 馬の骨の罵声はサディスティックだ
水商売 母一人子二人　薄暗い部屋で眺めた小遣い
馬の暴力は虐待と化す　十三の八月　何かが始まる
中学卒業も更正院 数年後には準構成員
旅打ちはまるで小名浜のカモメ　行ったり来たりが歩幅なのかもね
くじけた背中を洗うソープ嬢　泡と流す殺気立つ毒を
小名浜港は油で濁す　必要悪があくまで美徳

汽笛鳴く港町の酒場で　朝まで飲み明かした仲間へ
懲りずにへらへら踊れてる　いまだ覚えてる 嫌な汗でベッドが濡れてる
クレイジーな姿　MEGUMI？ ＊＊＊＊？ 噂じゃ＊＊＊＊＊＊
なすがまま＊＊＊？　ギロチン？ 薬中の自爆？
事故扱い　事件性なし ポリ御帰宅
花畑 　テンパッた木っ端坊 ハルキの面砕けた　言葉も 出ない これが大人の放課後？どうなの？
答えの書いてない教科書　三崎に向かうY30セドリック まるでゴーカート感覚
15の夜バリに自爆レース　　ダイスケが死んだのも実家の近くです

懲役も満期でテンパイ　八郎の病死　オヤジ呟く面会
ナオの受信で知ったオリカサの他界　この塀は高い
独房が妙に暖かい　日差しも美と知る 落葉の赤落ちて
寂しさの中で寂しさが美しいと知る
秋の優しさと赤落ちはいる　昔見た地図 再び睨み
行き交うハスラーの中軸と信じ合う　下らんことでバカ笑い出来る仲間が今も此処にいる　それがリアル
続く此処から 江戸の小名浜　

渇かぬ鬼の赤い目に 愛が見えませんか？

小名浜の汽笛を 背に受け 港へ向かえ
小名浜の汽笛を 背に受け 都で歌え

小名浜の汽笛を 背に受け 港へ向かえ
小名浜の汽笛を 背に受け 都で歌え



※なお、赤落ちとは、未決囚が既決囚になるという意味の隠語です。（←本日出所参照）