のんきに介護

母親と一緒の生活で、考えたこと書きます。

「華蓋」の星の下で

2011年01月01日 21時18分27秒 | Weblog
魯迅は、49歳のときに長子、

海嬰(かいえい)をもうけているのですな。

没年が1936年、56歳でした。

その彼が52歳、1932年秋頃に書いた詩を紹介させて頂きます。

1932年と言えば、「満州国」の成立した年です。

前年には柳条湖事件により満州事変が勃発し

友人の柔石等、青年作家24人が逮捕され、秘密裏に殺されています。

そういう時代背景も頭に入れ、

読んで見て下さい。

(参考文献:「漢詩を読む」〈宇野直人著〉NHKシリーズ)


・・・ ・・・ ・・・

「自嘲」

運交華蓋欲何求   運(うん)華蓋(かがい)に交りて 何をか求めんと欲する

未敢翻身已碰頭   未だ敢(あえ)て身を翻(ひるがへ)さざるに已(すで)に頭(かうべ)を碰(う)つ

破帽遮顔過鬧市   破帽(はぼう)顔(かんばせ)を遮(さえぎ)つて鬧市(どうし)を過ぎ

漏船戴酒泛中流   漏船 酒を戴せて中流に泛(うか)ぶ

横眉冷対千夫指   眉を横(よこた)へて冷(ひや)やかに対す千夫(せんぶ)の指(ゆび)

俯首甘為孺子牛   首(かうべ)を俯(ふ)して甘んじて為(な)る孺子(じゅし)の牛

躱進小楼成一統   小楼(しょうろう)に躱(のが)れ進みて一統(いっとう)を成(な)さん

管牠冬夏与春秋   牠(か)の冬夏(とうか)と春秋とに管(かん)せんや



現代語に訳しておきます――。


仏様でもあるまいに、華の蓋(ふた)に覆われて何を欲せばいいのか

決心もつかないままに挫折の波間・・・

破れた帽子を斜めにかぶり、繁華街をば通り抜け

水の浸み入る船に乗り込んで、酒を飲んでは川のど真ん中

眉毛は一文字、千人の敵でも屁ではない

だけど、子どもと遊ぶときゃ、四つん這いのお牛でござる

小さな家に引きこもって一つの宇宙を作るんだ

春も夏も、秋、冬もあるもんか


(以上、僕の拙訳です。

宇野直人先生の訳出したものを読みたいという方は、

参考文献に掲げた書物を参照して下さい)


※ 「華蓋」という言葉が分かり難いでしょうね。

星の名です。算命術で、人の運勢がこの星にあたると運気が悪くなるということです。

魯迅は、

「華蓋の運は、僧侶にとっては好運であり、頭上に華蓋を頂くことは、

言うまでもなく成仏し開祖となるきざしである。

しかし俗人はだめで、華蓋が上にあると封じ込められ、

障害にぶつかるしかない」(上記文献参照)と述べています。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
今の心境 (kayo)
2011-01-03 08:17:15
・・ですか?
忠太釈が傑作です!

まだまだ人生捨てたものじゃありませんよ

ゆっくり行きましょう~
☆kayoさんへ (忠太)
2011-01-03 11:42:00
決意を固めるって、渋柿から渋を抜くようなもんですね。腐ったらいけないわけですけど、それなりに時間は必要・・・ってこってすね。
じっくり考えます。ゆったり構えます。慌てず騒がず、面壁3年コースぐらいで決意を固めます。
長すぎ?
(これは。腐るぞ!!!)
と思ったら、叱咤激励、お願いします。

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