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朝日新聞:「人殺しは死ね」デマと闘った18年 スマイリーキクチ

2017年06月16日 04時38分27秒 | ネット
〔資料〕

「「人殺しは死ね」デマと闘った18年 スマイリーキクチ」

   朝日新聞(2017年6月15日15時47分)

☆ 記事URL:http://www.asahi.com/articles/ASK6H42X3K6HUEHF005.html

 18年もの間、ネット上の「デマ」と闘ってきた男性がいます。お笑い芸人のスマイリーキクチさん(45)です。フェイクニュースも問題化している今、全国各地の学校を飛び回り、子どもたちに自身の体験を伝えています。講演の主眼は、いかにして「デマを広める加害者にならないか」ということ。壮絶な闘いの末に得た教訓を、聞きました。

■なりすましが「許して」
 ――ネットでのデマや中傷は、なぜ始まったのですか。
 「突然です。1999年に、10年前の凶悪事件に私が関わっていたというデマが広まりました。巨大ネット掲示板『2ちゃんねる』に『人殺しは死ね』『白状して楽になれよ』などと書き込まれ、それが事務所の公式サイトの掲示板に広がりました。根拠は、私が事件のあった東京都足立区出身で、犯人たちと同じ世代ということだけです」
 ――拡散していくデマに、どのような思いでしたか。
 「最初は他人事でしたね。なんだこりゃと。全く僕じゃない、僕の人物像がネットの中に存在している。誹謗(ひぼう)中傷に対して、スマイリーキクチを名乗る何者かが『もう過去のことは許して下さい』『私にも人権があります』と書き込んですらいる。私や事務所が公式サイトで否定しても『火のないところに煙はたたない』『事件をもみ消そうとしている』と邪推される」
 「殺す、死ねといった脅迫的な書き込みや、『事件をライブでネタにしていた』といったデマも増え、やむなく事務所の掲示板を閉鎖すると、今度はCMスポンサーに『殺人犯を出すな』と苦情の電話が入るようになりました」

――冷静に考えれば、ありえない話です。
 「世間を揺るがす凶悪犯罪を起こした人間が、芸能事務所にいられるわけがない。事実ならすぐに週刊誌が書き立て、テレビなんて出られなくなる。もっと言うと、事務所がもみ消しに躍起になるほどの存在なら、俺はもっと売れているはずだと。そこになぜ気づかないんだろうと。デマを広める人は、すなわちデマにだまされやすい人です。邪推を重ね、否定する材料に目を向けない。デマを自分の頭で考え、批判的に見ることができないんです」
■本当に怖かったこと
 ――長年のネット中傷に、よく耐えられましたね。
 「もちろん当時、怖くて身の回りを警戒しました。しかし何より怖かったのは、脅迫や中傷自体ではないんです。助けを求めた警察に、相手にされないことの方がよほど怖かった」
 「当時は警察にも、ネットに詳しい人が少ない時代でした。相談しても『書き込みだけでは捜査できない。実際に殺されたら捜査しますよ』とか、『誰もあなたのことを殺人犯だなんて思ってませんよ』とあしらわれる。もう、絶望しかありませんでした。『あなた、ノイローゼなのよ』と言われるのもつらかった。誹謗中傷を受けている立場なのに、俺は正気なのかと自問自答しました」
 「真剣に捜査してくれる刑事さんに出会うまで、9年かかりました。しかもその刑事さんは、私がデマを流された凶悪事件の捜査にも関わっていた。被害を伝えると、すぐに『これはひどいな』と。僕はデマに巻き込まれて運が悪いと言われますが、周りに恵まれました。運がいい方だったんです」

■「正義感」の裏側には
 ――その後、特に悪質な書き込みをした19人を警察が特定し、検挙しました。最終的に起訴には至りませんでしたが、捜査に協力する中でどのようなことを感じられましたか。
 「19人の名前や出身地を聞いても、全く知らない人たちでした。年齢は17歳から46歳まで、職業もバラバラ。ただ大半の人に共通していたのは、デマを信じて『正義感からやった』と供述したことです。しかし本当に正義感のある人が集団で、匿名で、誰かを追い詰めるでしょうか。『社会のゴミキクチ』なんて書き込むのが、どこが正義なんだと」

 ――たしかに正義感に駆られることと、他人を「殺す」と脅すこととは、かなりの開きがあります。
 「実際、捜査が進んでいくと『離婚してツラかった』とか『妊娠して不安だった』といった本音の動機が出てきたと、刑事さんからは聞きました。ネットリンチをしたい気持ちに正義感の皮をかぶせて、自分を正当化している」
 「私は被害者なんだ、ネットにだまされたと言い出す人も多かった。2ちゃんねるの書き込みをコピーしただけだと主張した人もいました。なぜ犯罪なんだ、元の書き込みをしたヤツが悪いんだと。他人の言葉は徹底的に責任追及するのに、自分の言葉の責任はとらないのだなと恐ろしく感じました。検事さんからは起訴しなかった理由を『調書にはすぐ謝罪するとあった』と説明されましたが、そのとき、謝罪に来ていた人は1人もいませんでした」
 「ネット炎上防止の講演会などを聞きに行くと、参加者に『悪口を書いちゃダメ』と教えていることが多いんですね。しかし私を中傷した人たちは罪の意識が希薄で、そもそも悪いことをしている自覚が無かった。単に『悪口はダメ』と言って防止策になるのか、いつも疑問を感じています」

■怒り感じたら「寝かせて」
 ――キクチさんは、子どもたちへの講演会でどんなアドバイスをしているのですか。
 「ネットにはフェイクニュースや陰謀論など、人の怒りをあおって拡散を狙う情報があふれています。ネットの情報に怒りを感じたときほど、その情報を寝かせてくださいと伝えています。それが加害者にならない方法ですと。しかも今、その怒りはSNSなどで簡単に共有できる。共有すると、怒りは増幅します。みんな怒っている、だから俺は異常じゃ無いんだと安心できる。そうして罪の意識がないまま、他人を傷つける加害者になってしまう」
 「この事件は許せない!と思ったときこそ、すぐにツイッターなどで拡散しないでください。数日間、1週間と時間をおく。そのあいだに冷静になるでしょうし、ネットの情報もふるいにかけられて、情報の真偽が明らかになっている可能性があります」
 「そしてネットの情報を疑うこと。知名度の高いサービスでも、情報を書き込んでいるのは匿名の他人であることが多い。たとえばウィキペディアを辞書代わりに使う人も多いですが、ずっと私は自分の項目に『殺人事件に関与』したと書かれていました」

 ――デマを広められた被害者へのアドバイスはありますか。
 「自分は被害者で、デマを書き込む側が加害者だと明確にすることが大事です。デマを書き込まれて、それに多くの人は抵抗してしまう。何を書いてるんだばかやろうと。これでは街中の殴り合いと同じです。デマには絶対に丁寧な言葉で『そういった事実はありません』『やめてください』と対応することが大事だと思います。その姿勢を貫くことが、警察が万が一動いてくれたときにも大切になってきます」
■生きることが「仕返し」
 ――今年3月にもブログに殺害予告のコメントがあり、NHKでの生放送出演が中止となりました。
 「消えないデジタルタトゥーですね。凶悪事件をネット検索すると、僕の名前がいまだに出てしまう。それは僕の中であきらめているというか。しょうがないなと。ただ、デマであることが知られて、中傷の数は格段に減りました。家には脅迫のコメントなどを印刷したものが段ボール4箱分くらいありましたが、ほとんど捨てました。子どもが物心ついて、父ちゃんが人殺しと書かれたものを見るのは嫌だろうなと」

 「僕の経験は、いわばインターネットの『負のサンプル』です。講演をすると、子どもたちの反応で多いのが『私なら自殺してたと思う』というものですね。耐性のない子どもがネット中傷で命を落とすなんて、あってはならないことです」
 「だからこそ僕は、生きてデマと闘おうと思ってきました。生きて、自分が幸せになること。それがネット中傷を続けてきた人たちへの、最大の仕返しになると思っています」(信原一貴)
     ◇
〈スマイリーキクチ〉 1972年生まれ。93年にコンビ『ナイトシフト』結成。94年6月に解散し、以後はピン芸人として「ボキャブラ天国」(フジテレビ)や「爆笑オンエアバトル」(NHK)などに出演。ネット中傷被害の経験から、講演活動のほか、YouTubeに対処方法の解説動画も掲載している。
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3 コメント

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たまたま (こころ)
2017-06-16 09:29:06
3日ほど前にリテラの共謀罪関連の記事だったと思いますが読みました。
酷いなと一言では言えないものがあります。

顔の見えない者達の無責任な書き込みも、以前に閲覧した事もあり、それが18年も延々と続いていたと言う恐ろしさ。
こう言う書き込みこそに刑事介入して良いのでは?と思います。
警察は誰のプライバシーを守ろうとするのか疑問です。
警察にはハイテク犯罪課がありますが、直接的な身体的被害にならないと事件として扱わないようです。それでは遅いのですよね。

その背景にはネトウヨを検挙しなければならない、マズい事も少しは関係しているのかも知れませんね。
警官の中には一般個人を装って書込みしている人がいないとも限りませんし。

人の一生に多大な影響を及ぼす共謀罪、スマイリーさんのような犠牲者が益々増えてしまう気もします。しかも得てがってな権力者の一存で。
3日ほど前にリテラの共謀罪関連 (忠太)
2017-06-16 09:54:28
ネット空間って、もろ刃の剣のような面があります。検索機能のため、大昔のデマが蘇るなんて、ほんとぞっとしませんね。
Unknown (和室ファンド(99%庶民へ還元・無添加ハムサンド)む)
2017-06-16 13:30:39
煽動プロハガンダ機関のコメント、アルバイトなどは即スルーで間違いないですね。
また、世の中をどういう方向に洗脳したいのかがわかりますね。

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