徒然なか話

誰も聞いてくれないおやじのしょうもない話

蓮台寺 ~檜垣のあとどころ~

2017-05-25 21:22:15 | 文芸
宗不旱の歌集「茘支」より「蓮台寺」

 蓮台寺は熊本市近郊の古寺。
 後撰集、大和物語などに伝ふる檜垣のあとどころなり。暮春の一夕たまたまここに遊ぶ。

くれかかる霞ぐもりを橋銭出だし蓮台寺橋ふみならしゆく
寺の縁に腰かけゐつつ見あげたる霞曇りの松の暗しや
蝋の燭のてらすに見ればあなゑまし檜垣嫗は立膝したり
立膝の姿にはあれど面影になまめく媚をつくるにあらず
立膝のあらはなる見ればいにしへも女は老いて退屈しけむ
人の息かかりゐるとは思はねどまづ心触る口もとと見む
芝庭にちらばりゐるを春越しの楢のふる葉と座敷より見る
後撰より今につたふる息吹かと人を思ひをれば牡丹のゆらぐ
寺よりのかへり道をば夏の夜に廓のさなか来かかりにけり
蕎麦や風ひと夜くすりと書きてある看板の前牡丹のくづる







檜垣の塔


檜垣の井戸

▼備考
 歌集「茘支(レイシ)にがうり」は昭和16年に出版。「蓮台寺」と題するこの10首を含む。
 蓮台寺橋はまだ有料だったのかとか、帰り道に二本木遊郭を通って帰ったとか、「風一夜薬」など当時のうどん屋や蕎麦屋のキャッチフレーズが登場したりとか時代を感じさせる。
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