『蝉しぐれ』(
藤沢周平著、
文春文庫)を読了。
先日映画を見て、なんだかなぁと思ったことはこのブログにも書いた。
その数日後、人から本を頂き、ではでは原作も読んでみるか…ということで読んでみた次第だ。
前々から薦められてはいたが、実は初・
藤沢周平だ。
まず、率直な感想から。
映画よりいいっ!
特にワクワクする話でもないし、ドキドキする話でもない。
号泣しちまうような大恋愛もない。
でも、ストンと心に落ち着くというか…。
時代小説なのだが、僕は武士の日常に、
現代のサラリーマン社会の普通の生活を見た感じがした。
普通の生活の中に、小説や映画のような波瀾万丈・ドラマチックな出来事はほとんど無い。
だからこそ人はドラマを求め、小説や漫画を読み、映画館や劇場に足を運ぶ。
でも、普通の生活の中にドラマが無いかというと、実はそれは間違いだ。
それぞれにドラマを抱え、一生に一度は大きな局面にぶち当たることもあるだろう。
忘れられない人もいるだろう。
そんな話をとつとつと描く故に、上記のように心に響くのだろう。
嗚吁、なんだか感想を書き切れたような、まだちゃんと整理&表現出来てないような…。
さて、映画を見た時に、なんだかなぁと思ったことについて振り返ってみる。
僕は映画
『蝉しぐれ』を見て、決して悪くはないのに、なんだかなぁと思ったのだが、
原作を読んで、なんとなく原因がわかった気がする。
原作は、色んな切り口で読める。
というか、そもそも、人の生活が何かひとつのことに占められることなんてほとんど無い。
何かを抱えながら、何か事に当たり、狭間で悩むこと、身動きが取れなくなることもある。
原作はそれをそのまま描いているのだが、映画はちょっと違ったと思うのだ。
最近のブームのせいなのか、2時間の物語に切り取る為なのか、
ほぼ「純愛」のみを押し出す切り取り方をしてたように思える。
それはひとつのテーマではあるだろうけれど、それだけではない。
だから、逆にその「純愛」が安っぽくなってしまってた感がするのだ。
もちろん、他の要因もあるとは思うのだが、それが第一だと僕は思った。
と同時にまた、改めて映画化の難しさを感じた。
そんな読了感だ。
※実は午前中には読み終えてたのだが、感想をまとめるのに1日かかりました…(^_^;)