『小説すばる』連載中の北方謙三『楊令伝』が
今月号で最終回(第45回)となりました。
以前、『楊令伝』は50回で終了すると予想していましたが、
外れてしまいました。
まずは北方先生、お疲れさまでした。
以下、最終回まで読了していることを前提に
書いていますので、ネタバレにご注意ください。
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いちおう「最終回」なのですが、
昔の「黒冨野」時代のアニメを見ているような
登場人物が次々と死んでいく展開が続きます。
タイトルが『楊令伝』なので、主人公の楊令が死んで(完)なのですが、
ストーリーとしては完結していません。
前作『水滸伝』のラストで梁山泊は壊滅。
三年後に好漢たちが再結集を図るところから
『楊令伝』はスタートします。
楊令は「幻王」として女真族の独立を援助。
女真族は「金」を建国して遼を滅ぼし、
宋の首都開封を攻め落とします。
楊令は梁山泊を再建して頭領となり、
禁軍総帥・童貫を討ち取りました。
宋は長江の南に逃れて南宋を建国。
金は華北の地に傀儡国家「斉」を立てます。
梁山泊は日本からシルクロードまでの交易路を開拓し、
「自由市場」による新しい国の形を模索します。
南宋軍と梁山泊軍が対陣しているさなか、
協力関係にあったはずの金が背後から梁山泊軍を攻撃。
楊令率いる梁山泊軍は金軍と南宋軍を撃破しますが、
楊令は刺客の毒刃のために絶命します。
南宋と金の攻撃を退けた後、
楊令の遺骸を梁山泊へと運ぶ所でラストとなりました。
で、梁山泊は今後どうなるの?
というところで(完)の文字が。
「替天行道」の志を掲げた漢たちの末路は、
まだ描かれていません。
一〇八星の生き残りは、
呉用、史進、李俊、燕青、
項充、孟康、曹正、李立、白勝、顧大嫂、孫二娘。
若い史進でも五十代。年取りましたな…
楊令がいなくなったとして、
代わりに頭領ができる者がいるのか。
呉用、公孫勝、李俊。
それ以外の人間は、誰も頭領とは認めないだろう。
(『楊令伝 十三 青冥の章』77頁)
呉用か李俊が次の頭領のはずなので、
傀儡国家・斉の廃止、金の華北直接支配に伴い、
呉用は梁山泊と共に滅亡、李俊は水軍を率いて自由の海へ、
という展開になるのでしょうか。
続編での完結を待ち望んでいます。
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