「将軍様」といえば、某国防委員長が有名ですが、
私の年代で「将軍さま」といえば、
TVアニメ『一休さん』に登場した足利義満(声・キートン山田)です。
今から考えるとシリアスな設定で、一休さんは後小松天皇のご落胤、
すなわち天皇に即位しても不思議ではない人物です。
安国寺の小坊主になりますが、寺社奉行の蜷川新右衛門の監視下に置かれます。
足利義満は、明から「日本国王」に封じられることで、
公家・武家・寺社の三者の頂点に立とうとしたことで知られています。
アニメでは、義満が一休さんにやりこめられるのですが、
天皇の御落胤と、頂点を目指す権力者の知恵比べ。
とんちで勝負する分には、無害ということでしょうか。
それはさておき、藤田達生『謎解き本能寺の変』(講談社現代新書)を読了。
題名通り、本能寺の変の真相を解説したものです。
ここで注目されるのが、最後の将軍・足利義昭。
本書の「陰の主人公」というべき存在です。
教科書では、信長によって京から追放されたことで、
室町幕府は滅亡したと書かれています。
ところが義昭は、毛利家支配下の備後国鞆の浦(広島県福山市)に移り、
毛利輝元を副将軍とする「鞆幕府」に君臨し、信長に対抗していたのです。
「西国公方」足利義昭による反信長の策動と、
織田家の重臣・羽柴秀吉による毛利家切り崩しの調略が交錯する中、
天正十年六月二日、本能寺の変が起こりました。
有力大名の群雄割拠を前提に、「許認可権」と貿易の窓口を独占することで、
「領地を持たず君臨する」足利義昭。
大名を「鉢植」として国替えを繰り返し、全国を直接支配下に置こうとする
「国王にして内裏」織田信長。
天王山の戦いで明智光秀が勝利していれば、
日本は足利義昭の下で、「ゆるやかな連邦国家」になっていたかもしれません。
今も昔も、「将軍様」の策略は侮りがたいものがあります。
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