Apples + Oranges

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ラストサムライ

2005-06-25 12:35:26 | Life
私は今でも少しだけ「電話はある種の暴力だ」と思っている節がある。

勿論、電話は生活の必需品であるし、また持ち前の紳士っぷりゆえに一般的な常識人よりもこなれた電話応対ができると自負してはいるが。

しかし、音楽が生活の3割を占めていた学生時代、電話嫌いの傾向は今とは比べ物にならないほど遥かに強力で、固定電話は「寛ぎの時間を邪魔する生意気な闖入者」以外の何者でもなく、携帯電話なんぞ「地獄よりの使者」かと思うほど嫌っていた。

私は別に大学講師のフランス人のファンではなかったが、彼が授業中にある女生徒のポケベルを指差し、「これは犬の首輪か?」と流れるような優雅な口調で聞いたときには、「フランス人の目にはポケベルのストラップが鎖に見えるのか」と文化の違いに過剰な理解を示したものである。

今日はそんな学生時代の携帯電話にまつわる話をしよう。
学生時代、私は携帯電話を持たず、外出先から友人に連絡する際は主に公衆電話を利用していた。

ある日、私がいつものようにMTVのミュージックビデオを食い入るように眺めていると、友人から家の固定電話に連絡があった。

「今、俺の携帯に電話した?」と尋ねる友人。
「なんで?」と私。

「ああ、たった今着信に『公衆電話』って出てたから。」と当然のように友人は持論を展開する。

仕方なく私は、ハードボイルド風に注意を促すことにした。
「で、お前は今、どこにかけてるの?」

「だから、君の…家…。」

最後まで聞く事なく、私は受話器をフックに戻した。

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