みかん日記

省農薬ミカン園の様子や農薬ゼミの活動内容を伝えます。

JAながみね訪問

2010-03-05 21:25:38 | みかん山報告
 2010年2月20日(土)JAながみねの「しもつ営農生活センター」にて土田喜代光さんにお話を伺った。この施設では、購買事業、営農指導、販売が行われており、パートを含め20名の人が働いている。営農生活センターに隣接する「しもつ総合選果場『蔵夢』」の見学も行った。
 ここでは、頂いた資料に書かれている内容については割愛し、それ以外の内容を記す。(資料の内容は、JAながみねのウェブサイトhttp://www.ja-nagamine.or.jp/mikan.htmlでも多くが紹介されているので参照されたい。)

①「蔵出しみかん」は昔から続く販売戦略である。
 訪問当日も蔵出しみかん担当者は東京へキャンペーン中であったが、このような販売努力は近年に始まったことではない。少なくとも30年前から「蔵出しみかん」という言い方と販売戦略はとられており、それ以前にも「貯蔵みかん」という言い方で下津しもつの蔵出しみかんが販売されていたという。早生を出荷する有田との差別化を図るために、みかんを蔵に貯蔵し、年明けの早生がなくなった頃に売るという戦略をとったのが始まり。貯蔵には元々トロ箱が用いられていたが、今は改良され、杉の木箱で屋号が入ったものを用いる。蔵は瓦屋根の土壁が望ましいが、高価なので、最近はトタン屋根も多い。
 下津全域で約1000軒の農家が蔵出しみかんを生産しており、そのうち約350軒が農協を通して出荷している。個選の農家は関西を中心に出荷し、農協からは北海道に3割、関西に4割、その他地域に3割を出荷している。北海道に対しては舞鶴から船便で送り、月曜日に出荷すれば水曜日のセリにかけることができる。下津において、全みかん生産量に占める蔵出しみかんの割合は6割である。


②光センサーの導入で「蔵出しみかん」のブランド力を高めた「雛みかん」
 下津の蔵出しみかんは、「蔵出し」での商標登録は行われていない(「しもつみかん」が地域団体商標に認定されている)。これは、蔵出しみかんの強みが、酸が抜けて甘味が増した点ではなく、みかんが希少になる年明けに出荷する点にあるためだと考えられる。事実、2月に関西で出回っているみかんの8割はJAながみねの「蔵出しみかん」である(おそらく残りも下津の個選農家の蔵出し)。そのため、「蔵出しみかん」は、年内のみかんに比べて出荷価格が安定する という若干のメリットはあるものの、出荷価格を引き上げるほどのブランド力は持っていない。農協出荷の「蔵出しみかん」は、貯蔵方法が仮貯蔵であるもの(つまり蔵ではなくコンテナで貯蔵されているもの)については出荷時期の期限を設けるといった一種の品質管理を行っており、その点では個選の「蔵出しみかん」とは異なる部分もあるが、農協が作ったラベルを個選農家が使用することなどは黙認されている。
 そこで、平成17年度に導入されたのが今回見学した「しもつ総合選果場『蔵夢』」である。糖度、階級(大きさ)、品位(見た目)で42種類に分類する大規模選果システムで、糖度12以上を保証する「雛みかん」ブランドが可能になった。「蔵出しみかん」を出荷できるぎりぎりの3月3日をターゲットに、雛飾りに橘の木があることにヒントを得てブランド化された「雛みかん」は、17年の「蔵夢」導入から5年を経てようやく軌道に乗り始めたところだという。一般の蔵出しみかんの1.5倍の値が付く。


③センサーのために石灰硫黄系防腐剤は廃止、水溶性カルシウム剤を導入
 蔵出しみかんには以前から収穫前に殺菌剤が使われていたが、新しい選果システムの導入により、殺菌剤の種類も変化した。以前使われており、今でも個選の農家の多くが利用している石灰硫黄防腐剤は、新システムのセンサーと相性が悪い。さらに、みかんに白い斑点が残ってしまい、それを嫌う消費者もいる。そのため、農協出荷の蔵出しみかんには、水溶性のカルシウム剤が、季節ごとの腐敗原因の傾向にあわせて3種類使われている。


④選果場見学

みかんが列になってセンサーに入っていく


16条のラインから42個の落し口に選別されていく


雛みかんは箱の角度を少しずつ変えられる機械で丁寧に箱詰めされ、箱詰めされたみかんは各市場へ出荷される。



 今回の訪問で、「蔵出しみかん」は下津で昔から続く販売戦略であり、「蔵出しみかん」だけではブランド価値は小さいことがわかった。そのため、JAながみねでは、経済基盤を活かして光センサーを用いた大規模選果システムを導入し、従来の「蔵出しみかん」のブランド力を高めた「雛みかん」を売り出している。また、光センサーのために石灰硫黄系防腐剤は廃止され、水溶性カルシウム剤が導入された。

 最後に、今回の訪問を受け入れてくださったJAながみねの皆様、丁寧な解説をしてくださった土田さんに感謝の意を表したい。多くのことを知ることができただけでなく、ゼミ員の刺激にもなった。
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1 コメント

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質問 (おがわ)
2010-03-11 00:53:31
お疲れ様です☆
長文報告ありがとう

もし下記の事項が分かれば教えて下さい

■①蔵出しみかん
農協を通して出荷していない650軒の出荷方法は分かりますか?
(個選の農家は関西を中心に出荷とあるが、大手スーパーなどと専属契約しているのか、他のルートがあるのか)

■③水溶性カルシウム剤
「季節ごとの腐敗原因の傾向にあわせて3種類使われている」とのことですが、腐敗原因とそれに合わせた種類というのは教えていただけましたか?

よろしくお願いします

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