エントロピーを増やしつつ

ある人には当たり前、ある人には意外なことを、不定期に綴ってゆこうかな。
写真を多用する見栄えの良さはありません。

ケーキを食べればいいでしょ

2016年11月03日 21時34分02秒 | しこうの迷路? しこうの迷宮?
 マリー・アントワネットの有名な言葉に、「パンが無ければ、ケーキを食べればいいじゃない」があります。
 実際には、マリー・アントワネットが言ったのではないそうですし、ルソーの発言が発祥だとか、歴史のことなので、諸説あるようです。
 マリー・アントワネットはフランスの王妃でした。民衆は貧困に苦しんでいました。そこで、冒頭の言葉です。政治的な思惑に拠る捏造なのか、民衆の勘違いや噂話が形を変えたのか、歴史の専門家ではない私には、わかりません。

 愚痴を言うだけで、ストレス発散になることがあります。ストレスは、心身にどんな弊害をもたらすか、個人差が大きいだけに、計り知れません。愚痴を言う相手は、個人的に親しい相手か、愚痴を聞くことを職業としている人、愚痴を聞くボランティアなど、限られた人に限るのが良さそうです。
 学校や職場といったコミュニティで愚痴を言うと、軽んじて受け取られ、安直な解決案をアドバイスされる懸念があります。まるで、「パンを食べられないなら、ケーキを食べればいいでしょ。これで解決する」というように。
 諺の「三人寄れば、文殊の知恵」ということもあり、自分が思い付かなかったアイディアが解決の糸口になることもありますが、ほとんど期待できません。愚痴の理由に最も詳しい本人が、様々な試行をしても解決できなかったのに、ちょっと話を聞いただけの人が解決できることは、期待できません。
 他人にとっては得にならない愚痴でも、本人にとっては悩みであったりします。
「ちゃんと手続きをすれば、下らない損をしなかったのに」「それなら、役所に申告すればいいよ」なんてアドバイスをされたとしても、手続きができない、役所への申告ができない本人にとっては、「それができるんなら、こんな状況にはならない」です。

 出張でしたか、社員旅行でしたか、長距離バスで行くことを希望した人がいました。ところが、列車で行くことを強要されました。
「列車が苦手っていっても、乗り物酔いは、多かれ少なかれ、誰にでもある」と、的外れな解釈。
 そこで、列車に乗れない理由が、電車事故の経験に拠ると告げます。入社時にも話していたのですが、忘れられていたのでしょう。
「事故の経験でトラウマになっていると言っても、気分の問題だろう」「大丈夫だから、事故なんて起こらないから」「一人だけ特別なのは困る」
 結局、列車事故のトラウマに加え、強要されるような人間関係のために、退職しました。
 いつの、どの新聞で読んだのか、私の記憶は曖昧ですが、これが事実なら、価値観の違いは双方を苦しめ、先入観は片方を苦しめるという乖離でしょう。
 周囲の安心も大切ですが、本人の安心が大切なのに。
 的外れな解決策とは、譬えれば、「郵便ポストと癌患者」「電柱とインフルエンザ」「コンビニと交通事故」でしょうか。ある地域で、インフルエンザに罹患する人が、年々増加している。調査の結果、電柱の増加数と一致している。電柱が何本毎に、罹患者は1人の計算になる。
 地域の住民が増えれば電柱も共に増え、インフルエンザ罹患者も増えます。それなのに、「インフルエンザ罹患者数を減らすには、電柱を減らし、電線の地中化を行えば良い」といった解決策です。
 的外れだと指摘に対しても、「電柱の増加数と、インフルエンザ罹患者が、共に増えているのは、事実だ」と返答します。確かに、共に増えているのは事実ですが、電線の地中化は解決策として的外れです。


 特段、会話の技術が高いのではなく、むしろ雑談が苦手な私ですが、私と話すと「心が裸にされる」と言われることがあります。
 パンが食べられないと聞くと、「へぇ、そうなんだ」「ん? アレルギーか何かなの?」という、肯定を前提として、話を続けるためかも知れません。
 音楽のジャンルに、「ノイズ」があります。ノイズ音楽を作っている友人がいます。知り合った頃の私は、ノイズ音楽を知らなかったので、作品を聞かせてもらいました。
 馴染みのある西洋音楽とは異なり、テンポや拍、和音やメロディの呪縛の無い音楽が面白かった。感想を求められたので、思ったことを話しました。
 そんな私に対し、「初めてです。クラシック音楽の人が、ノイズ音楽を正面から聞いて、納得できる感想を言ったのは」という返答。私は「クラシック音楽の人」というより、単に、「クラシック音楽も聞く」だけの人ですが。
 友人の、それまでの経験では、ノイズ音楽は「こんなの、音楽じゃない」「聞く価値も無い」という否定ばかり被って来たそうです。
 音楽の定義は、私が決めたのではありません。「音楽じゃない」のなら、「ああ、そうですか」です。ノイズ音楽は「音楽じゃない」ではなく、「西洋音楽じゃない」と、私は表現します。聞く価値の有無は主観的ですから、一般的な価値の代弁にはできません。
「ノイズ音楽が否定されるんなら、肯定される西洋音楽を作ればいいでしょ」
 ノイズ音楽を好きな人に向かって、ノイズ音楽をやめるようなアドバイスは、私にはできません。大衆向けの作品を撒き餌とする方法もあるが、そんな自分を仮の姿として割り切れるか、大衆向けの技術の取得といった課題がある。そう言うことで、会話は進みます。
 雑談が苦手な私でも、会話が進む理由は、相手が私の言葉を否定せず、解決するアドバイスもしないからなのかも。


【資料】
漫画:
君の手がささやいている
軽部潤子 著
講談社コミックスミミ
講談社

映画:
魔女の宅急便
角野栄子 原作
宮崎駿 脚本・監督

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