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旅行離れ

2012年03月25日 | 気になる事

最近の若者は海外旅行に行かなくなった、という話を聞いていた。

職場の若者と世間話をしながら、自分が過去に経験した旅の話を振ってみた。

実際はどう考えているのか、確かめる良い機会だと思ったからだ。

 

「海外ですか、いいですねえ。羨ましいです。自分も行ってみたいです」

意外と反応がいい。

彼は興味深そうに聞いていた。

外国を旅する話は他者の関心を引くのだろうか、と心配だったので少しホッとした。

 

「実は海外旅行に一度も行った事ないんです。でも仕事も簡単に辞められないし・・・」

 彼にとっての1番の問題は、この不景気で仕事を辞めるリスクだ。

とても常識的で現実的な考えである、と思った。

私は無責任に「若者は旅に出るべきだ」と煽ることはしなかった。

「そうだね・・・特に長期の放浪旅行は、社会復帰できるかのリスクが高いからね」

と無難な反応をした。

 

その後の若者の反応が興味深かった。

「でも・・・もし行けるなら台湾に行ってみたいんです」

「いいね。楽しいと思うよ。でも何故、初めての旅行で台湾なの?」と私は問い返した。

「なんか台湾って、親日的で友好的な雰囲気があるじゃないですか。

ひどい目に遭わずに済むし、 初めての旅行者には優しい国かな、なんて思って」

 

旅行先の台湾についての異論は全くなかった。

しかし「ひどい目」とは一体なにを心配しているのか。気になる台詞だった。

誰かに騙されたくない、といったリスクを負いたくないという意味なのだろうか。

 

100%起きないと断言はできないが、世界のどこを旅していてもTPOさえわきまえれば、

面倒な事は滅多に起きないものだ。

現地の人だって面倒な事に巻き込まれるのは嫌なのだ。

でも、そうした諸々のトラブルすらも旅の醍醐味と捉えるような若者特有の無邪気さ、

無謀さがあってもいいのに、と会話をしながら残念に思った。

 

海外への旅は、刺激的な瞬間の連続だ。

初めて見る景色・食事。非日常を五感で感じる贅沢な時間。

外国語での異文化コミュニケーション。

出会うのは自分とは全く異なる価値観の人間ばかりだ。

そして何より、旅をしていると自分自身が主人公として人生を生きていると実感できる。

「多少のリスクには目をつぶる代償に、日本では得られない経験が持てるんだよ」

私は力説したのだった。

 

「へえ、そうなんですか。なんか日本って周囲の国から嫌われているイメージが

あるんです。それで海外に出るのに恐怖感があったりします」

嫌われている?

恐怖感?

「それは大きな誤解だと思う。海外を旅すると親日的な国がとても多いんだ。

逆にこちらが困惑するくらいだから・・・」

経験に裏打ちされた確信を持って私は答えた。

 

「そうですか。だとすると・・・この否定的なイメージは、どこから来てるんですかね?」

彼は不思議そうな顔で聞いてくる。

「きっと君の持っている『日本人が諸外国に嫌われている』というイメージは、

TVや新聞などのメディアの情報から刷り込まれたもの、だと思うよ」

私は真顔で答えた。

加えて今までの学校教育から受けた影響があると思ったが、それは黙っていた。

 

その情報は・・・ 洪水のように大量に、考える暇がないほどに矢継ぎ早に・・・

毎日。毎日。繰り返されている。

そして頭の中のイメージは、それが真実だとすっかり固定されてしまう。

 

「そうなんですか!?」

「本当だよ。君も海外に出て、生の情報に接したら納得すると思うんだけどなあ」

 

この若者が変わっているとは思わない。

むしろ、ごく一般的な若者だと感じる。

そして、この若者はかつての自分自身だ。

 

この若者が感じているような「日本人が世界で嫌われている感覚」をTVや新聞などの

メディアが、植え付けるような報道や記事を載せるのは何故なのか。

これにより、誰が利益を得ているのか。

 

分断し統治せよ

古代ローマ帝国から連綿と続く植民地支配法だ。

現在の日本はこれを忠実に実践されているように感じる。

日本が近隣諸国と仲良くなっては困る勢力が世の中には存在するのだ。

 

映画マトリックスの世界観と同じだ。

物語の中でモーフィアスは「マトリックスは支配だ」と言っていた。

そして「君は奴隷なのだ」とも。

すべてはシステムに組み込まれている。

従順な羊は甘い夢を貪り続け、それに気づかないままにされているのだ。

 

この若者は赤い錠剤を飲む気があるのだろうか。

青い錠剤を選ぶのではないのか。

こんな深刻な重い話題よりも、もっと軽い楽しい話をしたいだろうな。

 そう思い、私はこの話題を続けるのをやめた。 

 

 

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