北ユーラシアの映像を探してみる

世界中からいろいろな動画がアップロードされているYouTube
著作権的にアウトなコンテンツもありますが、多くは素人が撮影した
なんてことのない日常の風景だったりします。
どれだけの数の動画が集まっているかは知りませんが、探せばちらほらと
北ユーラシアの風景もないわけではありません。

スケート
 どこまでも続く鏡面のような氷の上を、これまた長距離用スケート靴で
 気持ちよく滑っていきます。最後のテキストにはドキッとさせられますが。
 というか、氷の厚さ、うすくないですかね、これ。

フィンランド湾
 ペテルブルグはフィンランド湾の氷上で戯れる人たち

寒中水泳
 再びフィンランドから、気温氷点下30度の寒さの中、寒中水泳する人々。
 バナナで釘も打てそうな気温なのに。奥さんらしき人もあきれ顔です・・・

自然公園
 フィンランドをはじめ、スカンディナヴィアは氷期には厚い氷床に覆われて
 表土を思いっきり削られてしまっているので、氷期以前の遺跡というのは
 あらかた残ってはいません。が、そんななかにあって洞窟遺跡だけは
 いくつか残っていたりします。この公園の洞窟遺跡もその一つなのでしょうか。

空中撮影
 気持ちよさそうな冬の空からフィンランド。

受身
 再びフィンランド湾。何も柔道の真似をするこたぁないと思いますが・・・

なかなか自然の中の風景というのはいいのが少ないようですね。
探せばまだまだいいのがあるとは思いますが・・・
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トゥーランドット再考

前回「荒川静香とツラン」の続き:
「トゥーランドット物語の起源」をよく読むと、「Tourandocte、またはPourandocte は
王妃の名前、ササン朝末期の王の一人であるKhosrov Perviz の娘」とあります。
この辺をもう少し追いかけてみましょう。

Khosrov Perviz、即ちホスロー2世パルヴィーズはササン朝ペルシア末期の
590年から628年にかけて在位した王でした。
ササン朝系図

この時期、ササン朝ペルシャはその最後の輝きを見せるかのようにビザンツ帝国に激しい攻勢をかけ
614年にはエルサレムを占領。以降シリア、エジプト、パレスティナを手中に収め、
617年にはついに帝都コンスタンティノープルに迫ります。
こうした情勢下、
この時エルサレムからキリストが磔になったという「真なる十字架」を奪って持ち帰ったという。
サーサーン朝@Wikipedia
といった事件が起きます。

その後情勢は逆転し、ビザンツ帝国に首都クテシフォン付近にまで攻め込まれてしまいます。
混乱の中、クーデターによりホスロー2世は息子のカワード2世により殺され、カワード2世自身も
まもなく病死。ササン朝は混沌の淵に沈みます。
この政治的錯綜状態の中、即位した王の一人がホスロー2世の娘、ボーラーンでした。

女帝ボーラーン

ボーラーンの名がトゥーランドットに変化していく過程は下記に簡潔にまとめられています。

「トゥーランドット」への長い道のり

後世にこうした形で名前が伝えられた必然性についてはよくわかりませんが。

この説が正しければツランとトゥーランドットとは手違いで混同されただけ、
無関係ということになりますね。

それにしてもキリストが張りつけにされたという「真なる十字架」、今どこにあるんでしょうか・・・

#北ユーラシアとは全く関係の無い話になってしまいました・・・
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ツラニズム再考

前回
> それはさておき、同時に取り上げられている「日本はツラン同盟結成を打ち立てよ
> というサイトには驚きましたが・・・(^^;; これについてはまた別途。
の続きです・・・。

対米追従にしろ中国・韓国問題にせよ、まるで世界には欧米と中国+αしかないと
思っているかのような今の日本の外交には不満を持っているので、それ以外の地域にも
目を向けて力を入れていこう、というのには賛成。

#そういえば先日来日したモンゴル国首相には実のある話ができたんでしょうか・・・

ですが書かれているユーラシアの諸事情に関しては、既に過去となってしまったものや
違和感のあるものが目に付きます。
ここではそのうちの代表的なものを取り上げてみることにします。

◆ウラル=アルタイ語族:

まずツランといえば「ウラル・アルタイ語族」ですが、かつてそうした作業仮説が力を持っていた
時期はありますが、今ではほとんど力を失っています。ウラル語族は印欧語族に次いで
比較言語学的な研究成果があがっていますが、アルタイ語族(モンゴル語族、トルコ語族、
ツングース語族) という括りについては成立するかどうか微妙です。

日本語の起源(Wikipedia)」

アルタイ語族という括りですら怪しいのに、ましてやこれらをさらにウラル語族とくっつけて
ウラル・アルタイ語族として一つにまとめるのは無理がありすぎるというわけです。

また、日本語がアルタイ語族に属しているかについても語族の成立そのものが
あやふやである以上「現状では何も判断できない」とするのが良心的というものでしょう。

ただ、言語の問題はおいたとしても北方世界と共通する文化、あるいは草原の世界と
共通する文化的な諸要素が日本においても多数見ることができますので、そうした
面からのアプローチはあってしかるべきであろうと考えます。共通の要素があるからといって
すぐ一つに括ってしまうという短絡的なやり方は避けるべきですが。

考古学的、文化人類学的なアプローチとはまた違って、面白いところでは江差追分のルーツを
西シベリアに求めるなんてはなしもあります。

ふるさと民謡考

江差追分事件

機会があれば取り上げたいと思いますが、要は西はハンガリーからウラル周辺のバシュキール、
西シベリアのハンティやマンシ、東へモンゴルを経て日本の東北・北海道にかけて
1万キロに及ぶ追分ロードが延びていた、というお話です。

話の広がりとしてはまさにツラニズム的ですね。

◆語族と民族:

語族と民族といった括りをごっちゃにしてしまっているのも問題があります。
いうまでもなく語族は言語を分類するものです。言語は「民族」という意識を生み出す
大きな要件の 一つではありますが、語族と民族は本来次元の違う話です。

比較言語学のお手本といえる印欧語族ですが、これに属すインド=イラン系の言葉、例えば
ペルシャ語を話すイラン人と、同じく印欧語族に属す英語を話すアメリカ人、語族的には
同じ分類の言語を話すとはいえ、彼らが「同じ民族である」等と言ったらどうなるでしょうか。

フィンランドではロシアの重圧の中、民族意識の鼓舞のために中央アジアの奥地にまで
学者を派遣して古代トルコ語諸族の痕跡を追い求めていたくらいですから、
「ウラル・アルタイ」という意識は強かったのだろうと思いますが
片思いの相手のトルコ系諸族にそれを言ったところで「???」となるのが
オチでしたでしょう。汎トルコ運動ですら成功しなかったのですから。

戦前のツラニズム運動においてはこの辺りの混同が(意識的に?)なされており、
いわば学術上の作業仮説に過ぎない「ウラル・アルタイ語族」を共同体意識の
基盤に据えようとしていました。

ツラン「民族」という言葉はこうした危うげな概念であり、故に「幻想」だったのです。

まぁそもそも「民族」という共同体意識そのものからして多分に人為的に作り出される
ものですから、そのこと自体は別段とやかくいうようなことではないかも知れません。
結果的に共同幻想として成立してしまえば民族の一丁出来上がりなわけで。

ツングースについて、あるいはシャーマニズムについても言うべきことはありますが
このあたりで。

◆大相撲:
そうそう、もう一つこれだけは。

ツラニズムを主張するにも関わらず、フィン系国家エストニアの把瑠都を取り上げないのは
いかがなものでしょうか(^^;;


◆おまけ:
ハンガリーの戦車、「トゥラン」
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書籍購入

先々週末は父の退院準備ということで駿河台に。
その後、駿河台まできたのだからと当然のように神保町に行ってその手の本を渉猟。
以下、戦利品。

バルト諸族
~琥珀の海の人々~


マリヤ・ジンビュタス
2004年 223ページ

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ユカギールと
ユカギール化したツングース


ウラジーミル・ヨヘリソン
2005年 670ページ

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西シベリアの諸民族
ハンティ、マンシ、セリクープ、ネネツ、エネツ、ンガナサン、ケット


「民族と文化」シリーズ
2005年 805ページ

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◆バルト諸族:
2004年と最近の刊行に、「あれ?Gimbutas先生ってまだご存命なのか?」と
思ったりもしましたが、図版の充実振りと価格の安さ(1800円位)で買い。

バルト海東南岸地方は先史時代から琥珀の一大産地。
紀元前2000年紀には既に地中海方面をはじめ、周辺各地との交易ネットワークが
成立していたと考えられています。ローマとの間の琥珀交易は有名ですね。

バルト諸族というと、今もバルト海沿岸地帯に住んでいるリトアニアやラトビアが
有名ですが、ドイツの東方植民で呑み込まれてしまったプロシア人等の西バルト族、
ルーシの北方進出に呑み込まれてしまった東バルト諸族等、東西に広く分布する
大集団でした。
今でもバルト系の地名が数多く分布しているようです>ロシア

◆ユカギールとユカギール化したツングース
一瞬逆じゃないかと思いましたが・・・>ユカギール化したツングース
ツングース化したユカギールの方が多いような気が。

◆西シベリアの諸民族
西シベリアだけで800ページ超という、この圧倒的なボリューム。
半世紀前に発行されたシベリア民族本の決定版といえる「シベリアの諸民族」を
質・量ともに凌駕することを目指しているのではないかと気迫さえ感じられる本です。
21世紀の定本になるのでしょうか。
多分、このシリーズで東シベリアとかウラル以西の本も出てくるか、
既に出ていると思われますので要調査です。
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