Storia‐異人列伝

歴史に名を残す人物と時間・空間を超えて―すばらしき人たちの物語

ジェニィ ー ポール・ギャリコ 

2014-02-09 23:27:34 | ねこちゃん

 

ジェニィ (新潮文庫)
クリエーター情報なし
新潮社

ポール・ギャリコ『猫語の教科書』のあとは、『ジェニィ』を読んでいた。この小説は、うーん、すばらしい☆☆☆☆☆ 書かれたのは1950年というから、ちょうどぼくの生まれた年だ。もっとはやく読んでいればよかったが、まあ、生きてる間に気づいてよかった。ギャリコ自身も猫がらみの小説のなかで一番のお気に入りだったという。

ジェニィはどこにいってしまったの、最後はどうなってしまうの・・・わからない。アラスジを書く程ヤボなこともないから、ここはジェニィちゃんから、猫の、あの「モミモミ」しぐさについて、猫になってしまったピータ君とともに、教えてもらおう。
 
>>>>『ジェニィ』ポール・ギャリコ/古沢安二郎訳 新潮文庫 より引用
・・・

またあるときピーターは尋ねるのであったーー「ジェニィ、なぜ君は自分が気にいったときとか、楽しい時とか、気が落ちついたときとかに、爪をあんなふうに出したり、引っ込めたりするの?前にもいつか家にいたとき、つまりぼくたちがあの倉庫で暮らしていたとき、君がまるで寝床でもこさえているように、しきりに手を挙げたり、下げたりしているのに気がついたことがあるんだが。ぼくはそんなことはしないね。もっとも、楽しいときはのどを鳴らすけれど・・・」
 ピーターが質問したとき、ジェニィは昇降口のキャンバスのカバーの上に横向きに寝ていたが、やおら顔を上げ、ピータに実に優しい視線を投げてから返事したーー「わかるわ、ピーター。そのこともまた、たとえ姿かたちが猫のようでも、あんたは本当は人間であり、おそらくいつまでもそうだろうと、ということをあたしに教えてくれることの一つなの。でもたぶんあんたにその説明はしてあげられると思うわ。ねえ、ピーター、あたしに何か優しいことを言ってよ」
 そう言われてピーターに考えつくことのできたのは、こういうことばしかなかったーー「おお、ジェニィ、ぼく何から何まで、すっかり猫になれたらいいのに、と思うよーーそうすればもっと君に似てくるかもしらんから・・・」

 ジェニィの顔にいつの間にか、世にも幸福そうな微笑がひろがった。そしてのどをごろごろ鳴らしながら、彼女の白い手は動き出し、まるでパン粉でもこねているように、爪が出たり、はいったりした。
「わかったでしょう?」とジェニィは言う、「楽しいと思うことに関係があるのよ。その原因はあたしたちが子猫で、母猫に乳を飲まされていたころにさかのぼるの。あたしたちははじめのうち、目さえ見えず、ただ触るだけなの。だってはじめて生まれたとき、あたしたちは盲で、目の開くのは数週間経ってからなんですもの。でもあたしたちは触りながら母親の胸に近づき、乳を捜すために、自分たちの体を母親のやわらかい、優しい匂いのする毛の中に埋めてしまうの。そうしているとき、あたしたちは手をそっと上下に動かして、ほしくてたまらない乳がたっぷり出るように手伝うの。たっぷり出ると、あたしたちはのどの奥で、乳が暖かく申し分ないことを感じるの。乳はあたしたちの餓えも渇きもとめてくれるし、あたしたちの心配も欲求もなだめてくれるの。ねえ、ピーター、あたしたちはその瞬間、何とも言えないほど嬉しくて満足なの。とても安心だし、穏やかな気持ちにはなるし、それに・・・そうだわ、まったく仕合せなの。あたしたちは母親といっしょのその瞬間を、決して忘れないの。その気持ちが、それからの先の生涯のあいだ、心に残っているのよ。そしてあとで、大人になってからも長いあいだ、何かのことであたしたちがとても仕合せな気持ちになると、幼いころの、はじめて本当に仕合せだったころを思い出して、あたしたちの手も、足も、爪も、自然にそのころとおなじように、出たりはいったりするのよ。そのことについて説明できることはそれだけ」

ピーターはその話が終わると、しばらく激しい身づくろいをする必要が、自分にあることに気づいた。それがすむと、ジェニィの横たわっているそばに近寄って、彼女の顔の身づくろいをしてやり、やわらかいあごの下と、鼻口部の横に沿ったあたりを、五、六度愛撫してやった。そのことがことばよりもっと多くのことを伝えたはずである。ジェニィは優しくのどをならした。そして彼女の爪はいつもよりせわしなく、出たりはいったりしながら、昇降口のキャンバスのカバーをこねくり回していた。

<<<

ウチの猫。たすけちゃんは、やわらかい毛布などのうえではよく「もみもみ」をしている。玄関前でミャーミャー鳴いていた迷子としてぼくが拾ったのは3ヶ月ぐらいのわんぱく盛りだったから、それまでに十分母親に甘えて育ったのだろう。凛とした性格で抱っこなど嫌いであったが歳とともに膝の上もお気に入りになってきた。かたやハクちゃんは全くモミモミ仕草はしない。交通事故にあい命を落としたノラの母親のそばで鳴いていたらしいのが生後数週間体重500グラム、甘える時間もなかったのだろう・・・きょうは、大雪のあと。車3台を掘り出す(!)のにクタクタとなり、カメラは手元狂って妙なフィルターがかかって白茶のハクちゃんは三毛猫に変身してしまった。ふだんは、女主人にベタベタしている。

 

    

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