noribo2000のブログ

特定のテーマにこだわらず、意見やアイデアを表明するブログです

オタクマーケティング ~ついに企業の研究所の本領発揮か?~

2005年10月09日 | ビジネス・マーケティング

オタクは遍在する――NRIが示す「5人のオタクたち」

オタクが形作る市場はもはやニッチではなく、非常に大きな市場を形成するのだ、というレポートが先週NRIから発表されました。オタクは日本全国で172万人いて、市場規模は4110億円と試算しています。私は「家庭持ち仮面オタク」というネーミングに笑いました。しかしNRIは何でこんなレポートを出したのだろう、ということが疑問となり、さらに過去にさかのぼって調べたところ、以下のようなレポートが昨年出ていました。先週のレポートは下記のレポートで示された「オタクマーケティング」の現状分析、という意味合いだったのだなと理解しました。

“オタクマーケティング”の時代到来?――NRIに聞く「オタク市場の力」

このレポートによれば、オタクには購買力がありかつ新製品を受け入れる能力が極めて高い、という点が指摘されています。そのようなオタクの声を汲み取りフィードバックしてゆくことで、オタクでない一般大衆に向けた販売戦略を考える、というマーケティング手法も実効性を帯びてきた、ということです。

顧客に『便益』を与えることで『対価』を得るのがマーケティングの基本理念だと思うのですが、実際は何が顧客に魅力的な『便益』であるのかを考えるのが非常に難しいものです。顧客が欲しいというものを作るのは簡単ですが、物質的に豊かになると顧客も満足してしまいなかなか欲しがらないのが普通でしょう。そんな中、人よりも極端にものを欲しがるオタクは、顧客にとっての『便益』とは何かを一緒に考えてくれるサポーターの役割を果たし得るといえると思います。

ただ、オタクの道はなかなか厳しく、「オタクは敏感。オタクでない人が、『オタクはこれでも買うだろう』と安易に作った商品は、反感を買う」「オタク市場に物を売りたければ、オタクになるか、オタクのフリをして決してボロを見せないことが必要」とこのレポートでは指摘しています。

このオタクマーケティング、オタク道に対応できそうなのは、実は企業の研究所ではないかと考えています。企業の研究所には良くも悪くもその道のオタクがゴロゴロいます。しかし彼らの欠点は、全く市場なんか無視しているか、あるいは逆に自分のこだわり技術のみで一気にマス市場を押さえられるという幻想を抱いているか、のどちらかであることが多いことです。

研究所がマス市場に対し事業貢献をするためには、通常の商品開発のプロセスと同様

・市場を見極め、顧客のニーズが何かを考える
・そのニーズを満たす技術を開発し、製品化する。
・当初見極めた市場に対し、製品を販売する。

という進め方をしなければなりません。決して研究者のこだわり技術1つだけで商品がマス市場に受け入れられることはないといっていいでしょう。

しかし、市場には認知すらされていないような新技術を使った先鋭的な商品を開発するには、上記のプロセスは効果的ではなく、企業の研究者によるオタクマーケティング的なアプローチが有効であると考えます。企業の研究者には、まず単なる技術の追求だけではなく、自分と同じ興味趣向をもつ「オタク」に対して製品を販売することを前提に研究するように意識改革をして欲しいものです。こうすることで潜在的なニーズをキャッチアップでき、将来のマス市場に向けた事業貢献に結びつくようになると考えます。


最新の画像もっと見る