*midnight coffee* ずぼら日記と読書記録

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■ OUT ■ 桐野 夏生

2017-07-14 | 読書感想文

★★★★☆   OUT <講談社文庫>

4人の主婦の性格・背景などがしっかり描き分けられ
一人一人の容姿、家の様子などが手に取るように浮かぶ

死体をバラバラにするところは、適度にサラッと流し
エグさを売りにした本とは一線を画す

4人はどうなっていくのか?
どんな「出口」が待っているのか?
読む手が止まらない!

ただ終盤の絡みは、ある程度予想はしてたけど
いかにもフィクション、な展開に
それまでの堅実な(?)、日常に潜む「非日常」までもが
リアリティを失う感じで残念

ドラマや映画にもなっていて
ラストはそれぞれ違うらしいので、そちらも見てたい


・・・ややネタバレ・・・


4人の主婦のキャラ、心の動きがいい
・誰も信用せず、誰にも心を開かない
 心がポキっと折れてしまった空虚な、でも冷静で強い雅子
・紙オムツを買うお金も無く、介護と仕事に明け暮れ疲れ果て
 工場ではシショーと呼ばれるヨシエ
・ずるくてだらしなさが体型にも出てる、借金地獄の邦子
・美人で良妻賢母のはずがはずみで夫を殺し
 その事実の重さに気付かず、開放感に浮かれる弥生

圧倒的な存在感を放ちながら、何を考えているかわからない雅子
なぜ死体を処理して、弥生を助けようとしたか
その気持ちについては何も書かれてないけど
仕事でも家庭でも挫折し、更に殻にこもった雅子の気持ちは
何となく想像できる

そこに佐竹の過去が描かれ
いつかこの二人はそういう結びつきになるんだろうな
そこに何らかの「出口」・救いがあると思ったんだけど
廃工場のくだりは、雅子版ダイハードのようなやり過ぎ感が
 佐竹の存在はともかく、あの設定、必要だったのかなぁ。。。
 そういう異常性を書きたいなら別の話にして欲しかったな

十文字に関しては、分をわきまえた小心者の小悪党で
自分ではできない事をした雅子を尊敬する的な
彼なりの「かっこいい」に人物像が浮き上がる

気になったのは前半で真相に迫りつつあった刑事が
後半では全く姿を見せず、肩透かしだったこと
前半の勢いでは、この刑事によって雅子達は追い詰められていく
という展開も予想できたんだけど…

いずれにせよ、佐竹と雅子との絡みが
作品を本来の姿から逸らしてしまった感じで残念


それにしても、お弁当工場の夜勤で働く人々 という設定は秀逸
訳あり感・貧困・昼夜逆転生活 のみならず
一つのお弁当ができるまでの流れ、そこで働く厳しさ など
作品の重み、深さを与えると共に知らない世界を見せてくれる

 コンビニ弁当・・・
  これも雅子達みたいな人が、夜勤で作っているのかな?
  などと今まで考えてもみなかった情景が浮かぶ
  お肉が多めに入っているのはないか、探してみようか

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