傍観者の独り言

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民主党マニフェストの日米FTA修正問題・・・小沢論が正論?

2009-08-10 02:52:05 | 生活の党・小沢一郎

民主党が日米自由貿易協定(FTA)の「締結」から「交渉を促進」へマニフェスト修正を発表したが、小沢一郎代表代行が異議を唱えたとの報道もあり、民主党は改革の根幹の説明不足感があり、メディアによる表層の各論の報道で、農協関係者が騒いでいる側面もありますね。
地域主権についても、橋下知事から民主党の地方分権案は不満と表明され、慌てて、字句追加すると発表し、小沢代表代行から異議を出されたが、民主党のマニフェストは実現を目指す友愛社会?の骨格が説明不足で、目指す友愛社会?を実現すべき各論の政策に重きをおいた構成になっているので、批判されやすいのでしょうね。

朝日新聞の『小沢氏、日米FTAで持論強調「農協、ためにする議論」』を転載すると、

”「「輸入品は国内産より安いだろうが、良質のものも選択できる。市場価格が生産費を下回れば不足分は支払う。消費者にも生産者にもいい」

民主党の小沢一郎代表代行は8日、農業の戸別所得補償制度の導入を前提に、農産物も含む日米自由貿易協定(FTA)締結を目指すべきだとの考えを改めて強調した。鹿児島県肝付町で、かつてともに自民党田中派に属した故二階堂進・元自民党副総裁の墓参後に記者団に語った。

 民主党は前日、農業関係者の反発を受けてマニフェストにあった「締結」の表現を弱めたばかりだが、小沢氏は構わず持論を展開。「農協がわいわい言っているケースもあるそうだが、全くためにする議論だ」と述べ、民主党批判で自民党と歩調を合わせる農協を牽制(けんせい)した
。」”

と小沢代表代行が「農業の戸別所得補償制度の導入を前提に、農産物も含む日米自由貿易協定(FTA)締結を目指すべき」と「その意義」を報道しています。

池田信夫様がブログ『[高校生の経済学] 関税と所得補償』で、小沢代表代行の異議が正論と書いています。一部転載すると、

”「民主党が日米FTAについてマニフェストを修正する方針を決めたことに対して、小沢一郎氏が異議を唱えた。
農業所得補償は「農産物の貿易自由化が進んでも、市場価格が生産費を下回る状況なら不足分は支払うという制度。消費者にとってもいいし、生産者も安心して再生産できる」という彼の議論は、経済学的にも正しい。これをマンキューの教科書の図をウェブで借りて説明しよう。
・・・・・・・・・・・
小沢氏の主張は、きわめて初等的な経済学で証明できるのだ。
彼がFTAで日米の経済関係を緊密化するために農業所得補償を提案したのは、日本の政治家には珍しい戦略的な政策である。それは農業補助金を中間搾取してきた農協を通さないで戸別補償することによって、自民党の最大の集票基盤である農協を破壊するという点でも、自民党を知り尽くした小沢氏らしい。・・・・・
」”

とし、「民主党がマニフェストを修正したら、鳩山氏や菅氏は高校レベルの経済学も理解できないことをみずから証明することになる」と、鳩山氏や菅氏を批判しています。


また、池田信夫様は、先に、ブログ『民主党にとりつく松岡利勝の亡霊』でも、民主党の日米FTAとの締結路線は賢策としていたが、鳩山代表の緩和策については、酷評していました。
転載すると、

”「今週のニューズウィークに書いたが、民主党が日米FTAをマニフェストからはずす方針だという。私は、農業所得補償は子供手当のような単純なバラマキではなく、農業補助金が「農協補助金」になって自民党の政治資金に化けている現状を改め、FTAで農産物市場の開放を進める移行措置として所得を補償する(民主党には珍しい)戦略的な政策だと理解していた。

ところが鳩山代表の「コメをはじめとする重要作物に対し『関税を引き下げられたらたまらない』という農家の思いも強くあると思う。より分かりやすく直していくことが必要かなと思っている」という発言には、こうした戦略がまったく感じられない(これを立案した小沢一郎氏には戦略があったのかもしれないが)。こうなると専業・兼業農家に無差別にばらまく所得補償は、松岡利勝のぶんどったウルグアイ・ラウンドの6兆円と同じだ。

農業を活性化するために必要なのは、非効率な兼業農家を「保護」することではなく、農地法などの規制を撤廃して農業をビジネスとして自立させることだ。そのためには日米・日欧のFTAによって農産物市場を競争的にする必要がある。それはWTOで日本が貿易自由化の「抵抗勢力」になっている状況を変える上でも重要だ。ここで農協の脅しに屈してマニフェストを修正したら、鳩山政権には「既得権をゼロベースで見直す」能力はないと選挙前に白状するようなものである
。」”

と書いていました。

民主党のマニフェストでは、「地域主権」の項目に、「戸別保証制度で農山漁村を再生する」の見出しの項目に、「農畜産物の販売価格と生産量の差額を基本とする「戸別保証制度」を販売農家に実施する」と記述しており、「外交」の項目に、「緊密で対等な日米関係を築く」の見出しでし、「米国との間で自由貿易協定(FTA)を締結し、貿易・投資の自由化を進める」と記述していますね。
説明不足と言われれば、説明不足と感は否めないが、政策的には、整合性があると思いますね。

とはいえ、ゲンダイ的考察日記様が「農村票が民主党離れの危機」で、民主党のマニフェストの「日米FTA締結」の政策に、農家から激しい批判と不安が噴出し、全国農業共同組合中央会(JA全中)が、都内で全国代表者緊急集会を開き、「日米FTA締結」は日本農業を崩壊に導くとし、反対の決議を採択したとあり、その動きは、「都市部の有権者にはたいして関心のない話で、むしろ輸入で食料品が安くなると受け止めているかもしれませんが、農村部には一大事。民主のマニフェストが出てすぐに、北海道などから反対の声が上がり、その声は全国に広がっています」と紹介しています。

当方には、農家への赤字補填するのは政策的に整合性があると思うが、「戸別保証制度」は農業共同組合を抜きで、農業共同組合にとっては、影響力を減退することは事実であり、鋭意、反対するのは自然ですね。
ただ、国民新党の亀井静香代表代行の言うように、日米自由貿易協定(FTA)をめぐる記述を修正することに関し「誰が考えても農産物(の市場開放)はできない。『ぶれた』とみられないよう説明しないといけない」と「主要作物は関税撤廃の例外と、当初から明記すべきだった」との配慮不足は否めないですね。

やはり、40日間という長丁場を意識した、マニフェストの書き方、出し方に、工夫がたりなかったということになりますね。
事前に批判されるのを計算したマニフェストと思えず、追記修正は不安感をもたせますので。とはいえ、何か、世の中でいうマニフェストのあり方、マニフェスト選挙に違和感があります。

当方は、第一次産業は、国の基幹の不可欠な産業と位置づけるべきと考えており、特に、農業については、改革の必要性を痛感していますが、農業の現状をみれば、火急の課題ではあるが、多岐多様な農業形態があり、池田信夫氏の言われる「農業を活性化するために必要なのは、非効率な兼業農家を「保護」することではなく、農地法などの規制を撤廃して農業をビジネスとして自立させることだ。そのためには日米・日欧のFTAによって農産物市場を競争的にする必要がある」は理解はできますが、残存感があります。

農業を画一的に論じられない代物と感じていますので。



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