田園城郭都市構想 11

2017年01月30日 | 湖と城郭都市

  

1.ハワードの田園都市構想
2.田園都市論の現代的意義
日本型田園都市構想
4.和歌山市都市計画と学園城郭都市
5.近代ニュータウンの系譜
       -理想都市像の変遷-


京田辺市のスケッチ

5-2 ポスト「1968年」の新しい波
            -近代都市を超えて

5-2-1 学術研究都市:「つくば」と
                              「けいはんな」

(2)関西文化学術研究都市

東の筑波と並んでわが国の学術研究都市を代表する関西
文化学術研究都市(以下「学研都市」という。)もまた、
界に類を見ない特徴を備えたサイエンスシティ創造
的な文化・学術・研究の拠点づくりと21世紀のモデル都
市づ
くりをめざす学研都市の構想は、1970年代の後半、
わが国の
学術研究のあり方と近畿圏の新たなビジョンを
検討する動き
のなかから生まれる

1978年9月に発足した関西学術研
究都市調査懇談会(奥
田懇、座長奥田東元京大総長)は、文
化、学術、研究機
能の集積する「新都市構想」を発表。
1970年代後半の世
界は石油危機に続く経済的社会的混乱期
にあり、①また
地球環境問題や②地球資源の問題など人類の未来
に関わ
る課題が次々に提起された危機の時代でもある。

※ 成長の限界、列島改造論、1973年第三次中東戦争、
  オイルショックを経験したわたし(たち)は「地
  化石燃料本位制」→「先端技術本位制」→「環境リ
  スク本位制」をすでに見通していたが、現実は想定
  通り展開している。また、生駒市高山地区はわたし
  出生地であり感慨深い。  

奥田
懇談会に集合した研究者たちは、そうした危機意識
のもとに
わが国が人類的課題を解決する科学技術の研
究開発を積極的
に推進すべきであるとし、そのために関
西の地で、既成の学
術研究組織に代わる新しい学術研究
システムの構築と新しい
都市づくりとを一体的に推進す
ることを提案する。

 

一方、経済界においても、石油危機以降関西の経済的地
盤沈下
(東京一極集中の進行)が顕著になるなかで、従
来の工業主導の地域開発を改め、学術
振興や文化開発に
よって地域振興を図ることの重要性が認識
され始めてい
た。関西経済界は、この構想を「関西復権」に向
けての
中心的プロジェクトとして位置づけ、その推進に積極的
主導的役割を担う。

この動きを受け、国土庁は1981年、近畿における学術研
究機能の強化を図るため、関西リサーチコンプレックス
構想とその中核となる学術研究都市を京阪奈に建設す
るとい
う基本方針を明らかにし、1982年には京阪奈3府
県に広がる
学研都市の基本構想(パイロットプラン)を
発表。さらに
国土庁は1986年6月、「関西文化学術研究
都市建設基本方針」
を策定し、これによってナショナル
プロジェクトとして本都市
の建設をすすめることが方向
づける。1987年6月には「
西文化学術研究都市建設促
進法」が制定され、以後、国の基本
方針の決定、3府県
の建設計画の策定を経て本格的な都市建設
がスタートし、
1993年には当初提言の骨格構想であった文
化学術研究交
流施設けいはんなプラザ、国際高等研究所、奈良
先端科
学技術大学院大学が相次いで開設し、本格的な学術研究

活動が開始される。 



このため学研都市でも2000 年代に企業の研究所の閉鎖・
撤退や経営不振による解散等が相次ぎ、
一方では、学研
都市が産業界の期待に十分応えてい
ない、地域経済への
成果が見えないといった評価も表れる
。その後学研都市
では奈
良先端大「産学間連携推進本部」の設置(2004)
や産学官連
携による「けいはんな新産業創出・交流セン
タ」(2005)
開設など、新産業創出への取り組みが強化、
また、
それまで研究施設のみに限定していた施設の立地
基準を、研
究機能を持つ研究開発型産業にまで拡大する
等、施設立地を
促す措置もとられる。それにより第3ス
テージ(2006~)
には都市内への研究開発型産業の進出
が進む。



Nov. 15, 2006

学研都市は、京都府、大阪府、奈良県の8 市町にまたが
る約15,000haの区域に計画され、文化学術研究施設等を
重点的に整備する地区として12地区の文化学術研究地区
(面積約3,600ha、計画人口約21万人)が位置づけられて
いる。現在(2012年)、都市内には118 の研究施設等が
立地し、研究者約 7,000人、学生約22,000人が活動して
いる。

学研都市の建設は、学会の有志の問題提起、提言に始ま
り経済界の立場からの参画、さらに国や自治体の政策へ
の反映を経てスタートした。そのようなプロセス自体が
他に類例を見ないものである。また学研都市は、国や自
治体の事業ではなく、産学官連携による民活型プロジェ
クト
であることに特徴がある。

都市建設の開始からほぼ10年間(第1ステージ)、関
西文
化学術研究都市では産学官連携による第三セクタ型
の研究
機関や大手企業の中央研究所など約40の研究機関
の立地が
順調に進むが、第2ステージ(1996~)に入る
と研究
機関の立地が全く進まず停滞する。①バブル経済
崩壊後の経済の低迷も背景にあるが、②この時代、企業
の研
究開発戦略が大きく変化し、「脱パーク化」(集約
化では?)と呼ばれる現象が表れたことも見逃せないと
著者の佐藤は指摘する。

関西文化学術研究都市は、着手後30年(第4ステージ)
を迎えたが、関西のイノベーション・センタとしての役
割を発揮しうるかどうかは、今後にかかっていると結ん
でいるが、大きくは、多様化な高度消費社会時代を担う
地方分権促進(脱東京一極集中)と財政・税制・金融・
公共政策の刷新にあるとわたし(たち)は考える。

5-3 ヨーロッパのニュータウン再生
             ENTP
報告書から 

21世紀に入って、ヨーロッパでは第2次世界大戦後に建
設されたニュータウンの再生問題が本格的に議論される
ようになってきた。2001年にはニュータウンの運営にあ
たる自治体のネットワーク組
として、ENTP: European 
New
Towns Platform を設立。ENTP は2005年6月、「ニュ
ータウンの都市再生に向けての特有の課題:トップ8」
と題する調査報告書を公表。ヨーロッパのニュータウン
関係者がニュータウンの都市再生についてどのようなテ
ーマを重視して
いるかが窺えて興味深く。またわが国の
ニュータウン再生にも示唆を与
える。

(1)背景-ニュータウン固有の状況

報告書は始めに、一般の都市とは異なる、ニュータウン
がお
かれ、固有の状況について指摘する。

① ニュータウン固有の都市のライフサイクル

戦後の成長を支えるために建設されたニュータウンは、
その
特有な歴史と成長パターンゆえに、特有な都市再生
の課題に直
面している。1950-70 年代に集中的に建設さ
れたニュータウン
は、その歴史上初めて都市再生の必要
性に迫られている。また、
注意深く計画された計画都市
特有のリジッドな都市構造のも
とで、新たなニーズに対
応することが求められている。

② ニュータウン固有の社会のライフサイクル

空間的な側面のみならず、ニュータウンの社会的側面も
また、
全く特有である。ミドルクラス、子を持つ家族に
特化した建設
当初のニュータウンは、いまや「成熟化」
の時代を迎え、豊か
な多様性を備えた都市に変化しつつ
ある。ニュータウンの都市
再生においては、かつてとは
全く異なる、多様化した住民の幅
広いニーズに対応する
ことが求められている。

                                     この項つづく

【エピソード】

 
 

昨日は、昼から所用があり草津まで車を走らせ、約3時
間ほど話し込み、雨降る中を帰ってきたが、途中、近江
八幡市の八幡山周辺で、携帯電話入りでるとNHK大阪
のものだと名乗る女性が「ブログ掲載している井伊直虎
(?)の記事の出典を尋ねるので、車中につき折り返し
返事すると応じ、帰宅し玉岡さん(小説家の玉岡かおる
?と推察)に電話を入れる、記憶が曖昧なので当該文書
をメール送信してもらえないかと要請し返事待ちとなる。
ブログを読み返すと「彦根藩主と街道」に関するものし
か思いつかいない。因みに、出典は故中島一元彦根市長
の『城と湖のまち彦根』『続・城と湖のまち彦根』の2
冊。(例えば【事例研究:道づくり Ⅰ】216.03.23など)。

【脚注及びリンク】
-----------------------:-------------------------------   

  1. 田園都市 Wikipedia
  2. 日本エシカル推進協議会Japan Ethical Initiative-
    エシカル日本
  3. 明治期廃絶城郭の公園化について ―史跡の保存
    活用の前史として― 佐々木孝文
     2015.06.26
  4. 都市とは何か 都市計画なぜ必要か - 東北大学
    奥村誠  2015.10.15
  5. 和歌山市都市計画マスタープラン 和歌山市
    2017.01.12
  6. 和歌山市立地適正化計画 2016.12.22
  7. 日本型田園都市構想―イギリス田園都市と比較し
    京田辺市を見直す―2001.12.11 西村利也
  8. 田園都市とエソテリシズム 吉村正和 2004.03.05
  9. 田園都市論の現代的意義 中井検裕 家とまちなみ
    45、2003.7.8
  10. 住宅地計画論 1.ハワードの田園都市構想園都市
  11. 都市思想の二人の巨人、ジェイコブズとハワード:
    宮﨑洋司市
  12. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.06 28
  13. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.07 26
  14. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.07 26
  15. 近代ニュータウンの系譜―理想都市像の変遷-、
    佐藤健正、2016.07 03
  16. 平成 28年度 主要事業 彦根市
  17. 都市づくりの基本方針(全体構想) 彦根市
    橋梁長寿命化修繕計画による対策橋梁について
    滋賀県
  18. 彦根市都市計画道路網見直し検討調査
  19. 「まちづくりはひとづくり」をめざし 市民主
    のまち創る-近世城下町彦根市本町地区の2
    例の
    場合-(これからの都市づくりと都市計画
    制度全
    国市長会) 中島一 2005.05.09
  20. 中国城郭都市社会史研究 川勝守 著 汲古書院
  21. 都市計画の世界史、日端康雄 講談社現代新書
  22. ドイツ流 街づくり読本  水島信
  23. 続・ドイツ流 街づくり読本 水島信
  24. 完・ドイツ流 街づくり読本 水島信
  25. 都市計画1 日本の都市計画制度の概要 大谷英一
  26. 都市計画2 都市の歴史と都市計画 大谷英一
  27. 都市計画の理論 系譜と課題 高見沢実編集
  28. 道路をどうするのか 五十嵐敬喜・小川明雄 岩
    波新書
  29. 日本の道路史 武部健一 中公新書
  30. 道のユニバーサルデザイン 鈴木敏 技報堂
  31. 道路が一番わかる 窪田陽一 技術評論社
  32. 「道路」についての国際比較 藤井聡 2010.3.14
  33. 彦根市都市計画道路網見直し指針 
  34. 地域別のまちづくり方針(地域別構想)-彦根市
  35. 彦根市新市民体育センタ整備基本計画 2016.10.31 
  36. 彦根市立図書館|簡易検索
  37. 中心市街地の活性化に関する法律 Wikipedia
  38. 富山市におけるコンパクトなまちづくりの進捗と
    展望 2014.11.26
  39. アウガ Wikipedia
  40. 富山市 人と環境に優しいまち 公式HP
  41. 青森市 都市計画マスタープラン 公式HP
  42. コンパクトシティはなぜ失敗 するのか 富山、
    青森から見る居住の自由 2016.11.08, Yahoo!ニュー
  43. <アウガ>2副市長辞任 青森市政混迷増す 河
    北新聞 2016.01.28
      
      

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