日本カルボナーラ愛好会

日本カルボナーラ愛好会

何故、日本のカルボナーラは生クリームを用いるのか?

2004年05月21日 | Weblog
 本場ローマのカルボナーラでは用いられない生クリームが、国内で見かけるカルボナーラで用いられるのは、「味」に対する意識の違いというよりも、調理方法上の問題、つまり、カルボナーラのもう一つの重要な要素である「卵」が粒上に固まり難くする効果上の問題だと推察される。

 ここでは、「卵」の「全卵」を用いるか、「卵黄」だけを用いるのかの議論は避けたい。まず、温泉玉子を思い出して欲しい。温泉玉子は、卵白がソフトに固まり卵黄がとろけている。これは、卵黄と卵白の凝固点の違いと、凝固性(固まり方(のスピード))の違いをもとに起きる現象である。卵黄の凝固点は65℃、卵白は60℃であり、本来は、卵白の方がより低い温度で固まり始めるのだが、卵白はゆっくり固まる性質がある。一方、卵黄の凝固点は高いのだが、一気に固まるという凝固性がある。

 つまり、卵の凝固点よりも熱くなっているフライパンで調理する場合、または、茹でたてのパスタと絡める際に、この卵黄部分が固まりやすくなるのである。調理温度を下げて凝固をふせぐために生クリームが用いられているのである。

 中には、卵とチーズをパスタと絡める際、フライパンを火から降ろしたり、別のボールに移して調理するなど、卵が凝固しないような調理法が用いられている。

本場のカルボナーラとは?

2004年05月21日 | Weblog
 カルボナーラを語る時、あまりにも多くのスタイルがあり、人それぞれにイメージするカルボナーラが異なるため、カルボナーラの統一見解なるものはない。とくに国内では、カルボナーラに対する解釈が多岐を極めている。また、カルボナーラの起源でも述べたのだが、起源自体に定説がないため、「正しい」とか「真の」とかいう形容詞をつけることができない。そこで、カルボナーラ発祥の地である「ローマ」で多く見受けられるカルボナーラについて紹介したい。尚、便宜上、本場のカルボナーラと称することをご理解頂きたい。

 本場ローマのカルボナーラと、日本でよく見るカルボナーラの違いを端的に言うならば、クリームを使用するかどうかということである。この手のカルボナーラは、前述のカルボナーラの分類の中で、3.チーズ型にカテゴライズされるものである。国内でも時たま遭遇する機会はあるが、私が出会った限りで言うと、圧倒的にこのタイプは少ないのではないかと思う。

 ローマの基本スタイルは、日本でよく使われるベーコンではなく、パンチェッタを使います。パンチェッタとは、豚バラ肉の塩漬けのことですが、イタリアのベーコンと言う人もいますが、その工法に違いがあります。ベーコンは塩漬けの後、燻煙するのですが、一方、パンチェッタは、塩漬けして乾燥させる。つまり、燻煙という行程がないのがパンチェッタであり、「生」というところがポイントだとお考え下さい。(尚、パンチェッタも軽く煙燻する場合もあります。)

 また、ベーコンとパンチェッタの製造工程の違いもさりながら、素材として用いる時に決定的に違うのは、塩気と香りです。専ら、カルボナーラ本来の塩気は、麺を茹でる時の塩と、このパンチェッタが持つ塩気と、チーズの塩気で出すとされています。最近では、輸入食材を取り扱う店も増えてきましたので、パンチェッタが手に入る場合は、是非、パンチェッタでトライしてみて下さい。

 更に、本場のカルボナーラのもう一つの素材が、チーズです。基本的には、パルミジャーノ・レッジャーノ(parmigiano reggiano)を用いるのですが、ペコリーノ・ロマーノ(pecorino romano)を使う場合もあります。尚、チーズについては、チーズ専門のサイトをご覧下さい。

 つまり、本場のカルボナーラは、1.クリームを使わない、2.ベーコンではなくパンチェッタを用いる、3.チーズはパルミジャーノ・レッジャーノ若しくはペコリーノ・ロマーノを用いて作ったパスタだとお考え下さい。

カルボナーラの起源

2004年05月21日 | Weblog
 カルボナーラの起源には諸説があり定説がないというのが定説ではないだろうか。このことをネットで検索してみると、実に、多くの仮説があることに驚く。概ね、主流となっているのが、カルボナーラに用いる黒胡椒を墨(イタリア語で“carbonaio”)に見立てるという説である。ここで改めて、カルボナーラの起源を列挙してみる。

1.炭焼き職人が炭を黒胡椒に見たてた説
2.カルボナリ党(秘密結社・炭焼き職人の組合)が最初説
3.高カロリーのため、炭焼き職人に好まれた説
4.焦げたパンチェッタを墨に見たてた説
5.保存食のベーコンと卵だけで作った説
6.1944年、ローマを訪れた米兵が、配給のベーコンと粉末卵で作った説

 この他にも諸説が存在するのだが、冒頭で述べたように、黒胡椒を墨(carbonaio)に見たてるという説が主流となっているのではないかと思う。尚、ちなみに、当時のイタリアでは、炭焼き職人という仕事が、肉体労働の労働者階級の象徴であり、カルボナリ党という秘密結社が出現するという歴史的背景もあり、これという定説がないという混迷を極める状況が出来たのではないかと推察できる。

カルボナーラの勝手な分類

2004年05月21日 | Weblog
 10年あまりカルボナーラを食べつづけて、大体、いくつかのパターンに分類されるのではないかと思うようになった。食文化は絶えず変化しており、最近では、カフェラテのようにあわ立てた一品もある。そんなカルボナーラを、私流に分類してみた。どうも料理人の人のカルボナーラに対する考え方、表現の違いが感じられるような気がする。

1.スープ型
2.クリーム型
3.チーズ型

 また、同時に、

1.パンチェッタ型
2.ベーコン型

 更に、アスパラやマッシュルームなどのトッピングがあるものや、全卵を使うところ、卵黄のみを使うところなどに分けられる。調理時に、ニンニクを使うかどうかという違いもある。

 本場のカルボナーラ(正確には、本場と言われているローマでこれがカルボナーラだお思われているもの)については後記するが、日本のカルボナーラは、得てして、本場ローマの味と大きくかけ離れた場合が多い。どうも、正確には、カルボナーラ風と呼ぶべきものが多いのが現実である。

※最初の、1.スープ型と2.クリーム型の線引きは極めて難しいが、端的に言うと、クリームの使用量、濃厚さにおいて、クリームパスタの枠以上にスープと呼ぶべきカルボナーラが見受けられるので、敢えて、この違いに線を引いてみました。

私とカルボナーラ

2004年05月21日 | Weblog
 初めてカルボナーラを食べたのはいつだっただろうか。記憶は定かではないが、今から12年前、大学入学のため上京して以降のことである。子供の頃、母が作るパスタは、ミートソースかナポリタンだった。外でパスタを食べることなどあまりなかったし、食べても高校の学食か喫茶店のパスタだったと思う。

 最初にカルボナーラに出会った日の感動は、今でも覚えている。塩気が利いたなかの濃厚なチーズと卵黄が優しく語りかけるあの味に、一瞬で魅了されてしまった。

 以来、パスタを食べる折につけ、只管にカルボナーラを食べ続けた。そんな愛して止まないカルボナーラではあるが、これまた、期待通りの味に出会うことが少ない料理の一つではないかと思う。

 大皿料理の店などで失敗した時などは、気持ち悪くなりながら、頬張ったりもした。もう止めようと思いながらも、やはり、またカルボナーラを注文してしまう。

 白馬に乗った王子様ではないが、至極のカルボナーラに出会うための旅は終わることはない。

日本カルボナーラ愛好会とは?

2004年05月08日 | Weblog
 日本カルボナーラ愛好会(Carbonara Party of Japan=略称 CPJ)とは、カルボナーラを愛する人による、カルボナーラの真髄を追求するためのネット上の集まりです。
 カルボナーラは、シンプルな中にも、素材の味を引き出す高度テクニックと、火加減、及び、調理時間に左右される、パスタ界の「瞬間の芸術品」です。しかし、一方で、カルボナーラほど、老若男女を問わず、ありとあらゆる世代から愛されているにもかかわらず、巷に溢れているパスタの中で、好みの逸品に出会うことが難しいパスタはありません。
 そこで、本会では、カルボナーラを愛する人たちが、カルボナーラを文化的に、且つ、体系的に情報を共有することにより、日本パスタ界におけるカルボナーラの地位向上と、更なる発展を祈念すべく、絶え間ない調査研究を行うことを本懐として、日本カルボナーラ愛好会の発足を宣言します。