ほぼ不定期日記

散歩ばかりしている男の嘘日記

五島列島の蒲鉾に津軽の可愛いリンゴを添える朝

2017年12月15日 | ぼくモライもん

午前7時に起床する 

相変わらず寒い 

いただいた五島列島のかまぼこに粉ワサビを溶いて添える 古漬けの沢庵は三切れ 

長ねぎと若布の味噌汁と炊きたての秋田小町で喰う 

真ん中のちいさくて可愛いリンゴはふじ 津軽のリンゴ農家の自家用をわけてもらった 


五島の蒲鉾は混じりっ気が無くて東シナ海を泳ぐ魚のすり身そのものの味がする 

ワサビを付けて頬張ればスコン!と鼻のつまりが抜けたかと思ったら 

ふんわりと白身魚独特のおだやかな甘味が口じゅうに広がって・・・ああ!美味い! 

五島列島は未だ訪れていないけれど行った気になってしまうほどに美味い 


ちいさいリンゴを見るとアガサ・クリスティの推理小説に登場するオリヴァ夫人を思い出す 

犯罪小説家であるオリヴァ夫人だがいつも小さなリンゴを齧っているという奇妙な人物設定で 

パーカー・パインの短編に登場したかと思ったらポアロのシリーズではほぼ主役扱いだったり 

単発の「青ざめた馬」でも重要な役回りに配置されていたりするのは まるで・・・ 

手塚治虫の漫画に登場する「ヒゲおやじ」のような作品を越えたキャラクターとして 

混乱しがちな長編漫画のストーリーの狂言回しとしての役割を与えられているのに違いない 

それはまるで初めて訪ねた街で知り合いにばったり出会った時の安堵感に似ているし 

さらに言えばほっと安心させることで読者の推理をミスリードすることもあるはずで 

つまり・・・それは詐欺師の多くが人を油断させるような容貌をしているのと似ている 

それほど人間は他人の見かけに惑わされ易いのだ!などとちいさいリンゴを齧ると 

すがすがしい香りと甘みが広がって「あれ?ちいさいのに?熟してる?」と騙される 

言っているそばから・・・である 

ところでアガサ・クリスティは別名義のメアリ・ウェストマコットとしても作品を残している 

その三部作は母と娘の内面が残酷なまでに描き出されていて 

推理小説では抑えられていた彼女の意地悪さが伸び伸びと発揮されている 

読み応えという部分では他の推理小説をはるかに凌いでいるのだが 

面白さやポピュラリティーという面から考えると 

ポアロものやマープルものに比べればそれほど知られていないのも理解出来る 

どの分野でも最大公約数を考えれば考えるほど味は薄まるのだ 

それは仕方が無いことなのだ 

そして表現者はいつもそれと戦わなければならないのだ 

創作は孤独な作業だ 

だから気の置けない仲間とのひとときが宝石のように輝くのだ 

そろそろ忘年会のシーズンだ 

コメント
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