エッセイ by Genki (森田 信義)

 800字で何を、どれほど表現できるのかに挑戦してみました。予想外に分量があります。

上司

2016年10月15日 22時17分53秒 | Weblog

 稀に尊敬すべき上司に恵まれるということもあるようだが、一般に、上司なる存在は鬱陶しいものである。
  先日、一流企業に入社して間もない女子社員が月間100時間を超えるという厳しい状況に耐えきれずに、自ら命を絶つという不幸な出来事があった。労働基準法では過労死ラインを80時間としているというから、過酷な労働条件であったことは間違いない。
 これを受けてある大学教授が、
 「月当たり残業時間が100時間を越えたくらいで過労死するのは情 けない。会社の業務をこなすというより、自分が請け負った仕事 をプロとして完遂するという強い意識があれば、残業時間など関係ない。」
とブログに書き込み、炎上するという事態に陥った。
  同教授の経歴は華麗であり、アメリカの大学でMBAを取得し、いくつもの民間企業の管理職を経験している。自分自身の経験に基づいて、「100時間の残業に耐えきれないとは情けない」という表現になったのであろう。例によって、「言葉の表現方法が悪かった」という趣旨の謝罪をしているが、これは言語表現の問題ではなく、認識のありようの問題である。
 一方で、擁護論も少なくないようである。確かに、誰もが、残業のことなど気にしていては仕事が終了しないという状況に追い込まれた経験を持っていよう。私も、仕事が済んだのが、午前三時というような過酷な状況を数ヶ月も耐えた経験はある。日本人のがんばりは、残業に耐えるということに通じる部分もあろう。
 しかし、がんばっている人間が命を絶つような逃げ場のないところに追い込む行為は許されない。上司の思い上がりの結果であろう。
  部下の個性、適正を見抜いて的確な指示や激励をする能力を有することが「上司」の必須条件であろう。が、そういう上司は稀だ。

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