エッセイ by Genki (森田 信義)

 800字で何を、どれほど表現できるのかに挑戦してみました。予想外に分量があります。

違憲だけど……という判決

2016年10月17日 22時31分55秒 | Weblog

  七月の参院選挙について、議員一人あたりの有権者数に差があり、投票価値の平等に反しているので憲法違反だとする弁護士グループの訴えを受けた判決が、広島高裁岡山支部で言い渡された。
  この手の裁判は、これまでに何度もあったが、判決は似たようなものであり、裁判というものの限界を感じないわけにはいかない。
 苦しい判決の内容は、「選挙区の単位として都道府県を尊重しようとする態度を基本としているため、合区の導入という工夫はしているが、3倍を超える格差が残り、一票の格差を解消するには足りない状態である」というものである。これは、努力はしたけれども違憲状態を解消したとはいえないという否定的な立場とみて差し支えないであろう。
 ところが、国会は定数是正の取り組みをしており、票の格差は縮小しているので、「憲法違反」とまでは言えない、つまり合憲の範囲内であるというのである。
 この理屈は、よく分からない。簡単に言えば、「違憲状態だけれども合憲」という矛盾を含んだ判決だからである。現在が票の格差を解消するには足りない状況であるのなら、潔く違憲で、選挙は無効とすれば、すっきりするのであるが、そうならないところに、この種の裁判の分かりにくさがある。原告も被告も勝ったのかどうか分からない判決であるとも言えるし、両者とも負けてはいないと受け止めることが不可能ではない。つまり、訳の分からない判断なのである。高度な政治的判断を求める裁判では、裁判で争うのは適切でないという逃げ方もあるようだが、むしろそのような自己否定の方が理解しやすい。
  違憲状態だが違反とは言えないという聞き慣れた判断は、司法権の放棄ではなかろうか。だめなんだけどもまあ認めようという態度は、処生知としてはありえようが、非論理的である。

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