仁左衛門日記

The Diary of Nizaemon

君が愛したラストシーン

2016年07月21日 | ムービー
『君が愛したラストシーン』(2013年/佐藤吏監督)を見た。
物語は、「交通事故で妻(宮地真緒)を亡くした佐伯浩介(窪塚俊介)は3年経った現在も喪失感から抜け出せず、失意の日々を送っており、仕事にもまったく身が入らなかった。"一緒にいるような気持ちになれるから"と、2人のお気に入りの映画"マイエンジェル"のDVDを1人で見るのが日課になっていた浩介だが、ある日、いつものようにソファーに座って見ていると、劇中の医者(川崎麻世)と同僚の看護師・島崎杏子(朝倉えりか)と会話をしている場面のヒロイン・北条美波(吉井怜)と目が合った。美波が笑顔で"また見てるのね"と言うと突然画面が乱れ、テレビの画面から彼女が飛び出してきて・・・」という内容。
画面から出てきた美波と中に残された2人が「どうやって出たんですか!?」「分かんない‼」「すぐに戻ってこい‼」「いやよ。せっかく出られたのに」などと会話するのが妙に面白い。
(^_^)
彼女はいつも一人で悲しそうに映画を観ている浩介のことが気になって画面の中から出て来たらしく、熱を計ったり脈をとったり、看護師そのものという仕草で、「沢山の患者さんの死を見てきましたけど、元気出さなきゃ駄目ですよ」などと励ますのだが、浩介は「君には分からないよ。君の存在も全部作り物でしょ」と、彼女の言葉には耳を貸そうとしない。
やがて美波という不思議な存在を知ることになった(彼女を演じた)現実の女優・吉田亜希(吉井怜/二役)も、「あの子は人間じゃないのよ。私が演じたんだもの。ただビデオに収まった私よ。エイリアンとかゴーストみたいなものじゃない」と美波の存在を真っ向から否定するのだが、しかし、美波は亜希には到底作ることができない美味しい料理を作ることができ、頑張り屋でもあるし、何より性格が良い。
(^。^)
これは美波という人格を尊重するしかないとも思うのだが、誰にもそう言ってもらえないし、亜希の言葉を聞いて涙を流す美波の姿がどうにも可哀想に思えるのだった。
さて、この美波と亜希を演じた吉井怜(1982年~)という女優さんのことを知らなかったので、少し調べてみると、14歳でデビューした随分キャリアの長い人らしく、自身の闘病生活を綴った『神様、何するの…白血病と闘ったアイドルの手記』(2002年刊)は、『神様、何するの』(2003年/フジテレビ)としてドラマ化されているようなのだが、その際に吉井怜を演じたのは、本作で浩介の妻を演じた宮地真緒とのことらしい。
この『君が愛したラストシーン』はショボく思えるところもいくらかあったのだが、なかなかに面白い作品だった。