【紹介文】
青豆(あおまめ)はスポーツクラブのインストラクターの傍ら、影で殺人を請け負う女。天吾(てんご)は予備校で数学を教えながら、小説家を志す男。まったく接点の無い二人の人生が17歳の女子高生“ふかえり”が書いた小説「空気さなぎ」によって結びつけられ、やがて一つの結末へ動き始める。
【総合評価】 ☆☆☆☆★(満点は☆5つ)
感動度 ☆☆☆☆★
実用度 ☆★★★★
読み易さ ☆☆☆☆☆
【西京極の読後感想】
まるで2種類のジグソーパズルを組み上げていく様な気持ちになる“大人の童話”。作者から与えられるピースをひとつひとつはめ込む内に、2種類だったはずのパズルは一つの世界とテーマを浮き上がらせる。巧緻なストーリー展開は序盤こそとりとめなく感じるがやがて全体イメージが見え始めると一気に加速していく。愛の物語であり、ファンタジーであり、ミステリーでもある。評価が非常に難しい作品であるが、面白い小説である事は間違いない。