西京極 紫の館

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共喰い  田中慎弥/著  集英社

2013年07月13日 23時04分32秒 | 西京極の本棚
【紹介文】
一つ年上の幼馴染、千種と付き合う十七歳の遠馬は、父と父の女の琴子と暮らしていた。セックスのときに琴子を殴る父と自分は違うと自らに言い聞かせる遠馬だったが、やがて内から沸きあがる衝動に戸惑いつつも、次第にそれを抑えきれなくなくなって  。川辺の田舎町を舞台に起こる、逃げ場のない血と性の物語。大きな話題を呼んだ第146回芥川賞受賞作。

【総合評価】 ☆☆☆★★(満点は☆5つ)
 ドラマ性 ☆☆★★★
  独創性 ☆☆☆★★
 読み易さ ☆☆☆★★

【西京極の読後感想】
「キャッチャー・イン・ザ・ライ」を読んだ直後にコレを読んだので、時代は違えど同じ思春期の少年の物語が、欧米と日本でこうも違うのかと思わせられた。「キャッチャー~」のホールデン少年が世の中に対する鬱屈を外へ外へと吐き出し続けるのとは真逆に、日本の篠垣遠馬少年は鬱屈を内へ内へと溜めこんでいく。僕も日本人なのでどちらかといえば、遠馬の気持ちの方が良く分る。ただ、読んでいると気持ちが重くなるし、しんどい。ラストはロクなことにならないだろうと思っていたら、案の定…。著者の田中慎弥氏は「これは私小説ではなく、完全な創作」と書いているので、そうなんだろうけれど、こういう題材を書こうと思う時点で、この人はかなり鬱屈した想いを少年時代したんだろうなぁと想像してしまう。

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