西京極 紫の館

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海賊とよばれた男 上・下  百田 尚樹/著  講談社

2014年08月15日 09時10分32秒 | 西京極の本棚
               
【紹介文】
1945年8月15日、敗戦で全てを失った日本で一人の男が立ち上がる。男の名は国岡鐵造。出勤簿もなく、定年もない、異端の石油会社「国岡商店」の店主だ。一代かけて築き上げた会社資産の殆どを失い、借金を負いつつも、店員の一人も馘首せず、再起を図る。石油を武器に世界との新たな戦いが始まる。

【総合評価】 ☆☆☆☆☆(満点は☆5つ)
 ドラマ性 ☆☆☆☆☆
  実用性 ☆☆☆☆★
 読み易さ ☆☆☆☆☆

【西京極の読後感想】
本屋大賞を受賞したベストセラーがついに文庫化された。出光興産の創始者・出光佐三氏をモデルとしながらも、小説の中では“出光”の名は一切出てこない。これは「完全に事実に即したノンフィクションではない。百田尚樹の脚色・演出が施されている」という意志の表れだと思われる。なのでこの小説の中で描かれている世界、昭和史は正確なものではないし、解釈も偏りがあると考えるべきだろう。(それは『永遠の0』も同様である。)
以上を大前提としてもこの小説で描かれた国岡鐵造と国岡商店の社員たちの奮闘は痛快であり、感動的である。内向きには“人間尊重”を旨とし、外向きには“自由経済の原理”と“消費者の利益”を基とした会社運営は、すべてのビジネスマンがかくあるべしというものだ。まず相手を“信じる”ことである。
この小説が人気を博したのは、裏を返せば、現実社会の中ではその“信じる事”が失われつつあるからに他ならない。まず“疑う”世の中になりつつあるからこそ、この小説がウケたのだ。これは作中終盤で新造成った巨大タンカーの船上、鐵造の後継者・東雲忠司と21世紀の日本に思いを巡らすシーンで鐵造が語った「日本人が誇りと自信を持っているかぎり、今以上に素晴らしい国になっておる」という言葉を読んで感じた事である。この小説を面白いと感じる事は、実は怖い事なのかもしれない、と。

終戦の日である8月15日に読了したのにも運命的なものを感じた。

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