Mr.トレイルのオーディオ回り道

「音質アップ」を目的として、
システム全体の「基礎的項目の見直し」に、
重点を置いて試行錯誤や実験をしています。

スピーカーの選び方 その3

2016年02月20日 | ピュアオーディオ
40年程前のJBLの高級SPシステムは、38㎝ウーハープラス、2インチスロートドライバー(#375・2440)+ホーン、ホーン型ツィーター(#075・#2405)が一級品だと云われていた。当時米国から取り寄せられたものばかりで、マニアの間ではよく知られていたが、一般の方には「JBL」と云う言葉さえ知られていなかった。現実当時の私も知らなかった。そのうち「ジムランのSP」と云う呼び方を教えてもらった。

上述ユニットを使ったシステムは、当時パラゴンやオリンパス、ソブリンぐらいしか使われていなかった。それよりも古いハーツフィールドはもっと後になって知った。いずれも初任給10万円以下の時代で対ドルレート¥360円/ドルの時代である。やっと買ったJBL L-100でさえ当時の給料の半年分以上だった。

その後、円/ドルの為替が変動相場制に移行し、240円/ドルや160円/ドルの時代がやって来た。当然輸入価格が下がる訳で、自分の持っていたL-100ももっと安価に手に入るようになっていたが、すでに持っていたので価値的に下がったような印象を持ったのを覚えている。

さて本題であるが、その頃持て囃されたホーン型システム(JBLやALTEC・バイタボックス)や箱に特徴のあるオートグラフ等の名機が所狭しとオーディオ店に並んでいた。それが1980年代になると、コーン型+ドーム型のシステムに取って代わられた。それはなぜか? ホーン型システムは「鳴らし方」にテクニックを必要としたのに対し、コーン型+ドーム型のシステムでは、ほとんど調整するところのない状態で、まあまあ聴けたと云う処がある。要するに「イージー」なのである。

中高域にホーン型を使ったシステムとフルレンジユニット、コーン型+ドーム型ユニットを使ったシステム等を、同じ条件にして聴き比べたことが有る。どんなに非常にうまくSP-LE8Tを鳴らしても、音のバランスは素晴らしいの一言だが、こと質感に関して云えば「ホーン型」の質感には到底及ばない。何が違うかと云うと「繊細感・音数・力感・立ち上がり・立下りの俊敏さ(ヌケ・キレ)」のグレードが違うのだ。

ホーン型SPは鳴らし方のテクニックが完成する前に敬遠され、世の中「イージーな方向」に流れ、現在のコーン型+ドーム型のバカチョンモードのSPばかりになって行った。ある一定の処までは良い音なのだが、その先を求めるともう付いて来れない。クウォード等の静電型SPはまた新しいSPの世界を築いてくれた。うまく鳴らしたホーン型SPシステムは、静電型SPに似た音の広がり方をするものだと思う。最近のSPで気に入ったのはクウォードのSPぐらいかな?

SPを選ぶ時に、直ぐに性能の100%近くが出るよりは、経験とテクニックを付けるにつれ、徐々に追随してくれるSPの方が趣味に有っている。そこで問題となるのが「SPユニットの潜在能力」。いくら努力をしても良くならないユニットも有れば、チョッと手を入れてやるだけで「大化け」するものとが有る。JBLのユニットは「大化け」するだけの潜在能力を秘めている。それも古いヴィンテージモノになるほどその傾向が強い様だと感じている。


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