仏教を楽しむ

仏教ライフを考えるコラムです。浄土真宗本願寺派僧侶

生き方がわからない若者たち

2016年11月26日 | 現代の病理
『変わりゆく思春期の心理と病理―物語れない・生き方がわからない若者たち』( 2007/3 鍋田 恭孝著) を図書館から借りてきました。

著者は、精神科医。。2012年度まで立教大学現代心理学部教授で、思春期専門外来、心身症専門外来、うつ病専門外来を担当。神経症、うつ病、ひきこもり、心身症などの治療研究を行っている人です。

“物語れない”からの連想ですが、以前(28.6.8)『現実を生きるサル 空想を語るヒト―人間と動物をへだてる、たった2つの違い』(2014/12/10・トーマス・ズデンドルフ 著, 寺町朋子翻訳) という本を紹介したことがあります。

“人間と動物をへだてる、たった2つの違い”とは、“過去の出来事を集約して現在、そして未来を考える能力”と、 “心を他者の心と結びつけたいという衝動”です。
“過去の出来事を集約して現在、そして未来を考える能力”とは、過去・現在・未来という物語の中を生きるということです。 その物語を生きるという基本的なことが欠損している。これが若者たちに蔓延しているとなると、これは大きな現代の病理だといえます。

“物語れない”とは、どういうことか、鍋田 恭孝氏は次のように書いています。

 「何か困っているの?」と私か尋.ねる.
 「わからない」と,親に連れてこられた,ひきこもりの17歳の男の子か答える
 「学校か何かでイヤなことでもあったのかな?」
 「なにも」
 「家ではどのように遇ごしているの?」
 「べつに」
 [お母さんはどんな人?]
 [普通]
「お父さんは?」
 「わからない」
 最近の思春期の子ともたちとの臨床では,このような会話になることが多い。彼らは何かを隠しているわけではない,言いたいことを押し込めているわけでもない。…何を同いても,自分にとっての体験を,物語として語ることがむずかしいようだ。(以上)

また、

このような特徴にここ10年来急増している、ひきこもり、摂食障害,境界性人格障害などの問題を抱える若者に共通したものともいえる。(以上)

ともあります。

その著書の中で最近の思春期・青年期の若者の特徴として
1)自分からはたらきかけることがほとんどない。待ちの姿勢が多い。
2)自分の気持ちを曖昧にして、周囲に合わせようとする様子が見られる
3)何かをしはじめても、うまくいかないと、すぐに引き下がる
4)周囲の様子を過敏に気にする
5)関わり方がワンパターンである。しかもパターンが狭い。柔軟性・多様性に欠ける。

と指摘し、


“これらは単にコミュニケーションの障害というよりも、それらを含んだ「自分は何を感じているのか」「自分はどうしたいのか」「どう人と関わればいいのか」「どのように問題解決すれば良いのか」「問題は何なのかすらわからない」状態に陥っているといえよう。一言でいえば「自分そのものがわからない」「生き方そのものがわからなくなってきている」心理状態である”
だという。(続く)
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