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仏教ライフを考える西原祐治のブログです

家族のゆくえは金しだい②

2016年11月24日 | 現代の病理
『家族のゆくえは金しだい』(2016/7/15・信田 さよ子 著)の続きです。結構この本は売れているようです。図書館でも、リクエスト待ちが10人ほどいます。


「愛と絆」だけでは、依存症やDVや虐待やコミュニケーション障害に苦しむ家族と、その個々の構成員を救うことは難しい。「お金という要素を抜きにしては、現代社会に存在する家族の問題を解決することはできない」と訴えています。親が子に与え、子が親に報いるべき「無償の愛」という神話から、もうそろそろ自由になろうとも語る。「家族に作動する権力や支配、資本主義的な現実を直視しなければならない…それを知らなければ私たちはいつまでもそれに支配され続けるしかないだろう。」とのことです。

“本書に登場する多くの息子・娘たちか親を攻撃する裏側には、「親の経済力なくして生きられない」という、自分に対しする憤りや自責が降り積もっている。それを図式化してみよう。親の経済力がないと生きられない→そんな情けない自分が口惜しい、恥ずかしい、なんてダメなんだ→どうしてこんなになってしまったのか→親が○○だったからだ、母親があんな無理解な男と結婚して自分を生んだからだ→親は自分にあやまるべきだ、償うべきだ→自分を一生養うべきだ……。こうして親への攻撃は延々と続くことになる。”ともあります。

お金があるゆえの苦しみ。富裕化の弊害があります。「親がお金があるのに、どうやってお金を出さないでいられるか。これは、貧しい親が子どもに必死で与えることより、はるかに困難なテーマである」ともいう。愛情や子どもの為といった響きの良い言葉に流されてしまうからでしょう。
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