仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

共感力

2016年05月21日 | 日記
昨日の続きです。私が興味をもったのは、 “ヘビを怖がらない実践室で生まれたサルに、他のサルがヘビを怖がるのを遠くからほんのちょっと見ただけで、「百発百中、ヘビへの恐怖を獲得する」“という恐怖への同調です。本から転載してみます。

京都の嵐山に生息するニホンザルの一群が、1973年にアメリカのテキサスの砂漠のなかへ実験的に移植させられたことかあった。かの地には、日本では見られない肉食獣が多数、生息している。コヨーテだ。しかも彼らは夜行性である。ニホンザルは日本列島では、 およそ夜間にいのちをおそわれるという危険性を知らない。
実際のところ移植直後には、何度か命を落としそうになった個体がいたらしい。しかし、彼らは、ほんの数日のあいだにコヨーテの叫び声を覚え、体臭を識別し、接近する気配を敏感に察知するにいたった。…

ふつう学習と呼ばれている過程では、罰や報酬を自らのからだで体験した個体がおのおの独立に、一定の反応を習得する。ところがテキサスへ移植された嵐山のニホンザル群では、ほんの数頭だけかコヨーテにおそわれる危険を味わっただけだった。それにもかかわらず、群れの全員か速やかにコヨーテを恐れるように変化したのだ。コヨーテに生存を危うくされそうになった仲間を目撃したニホンザルは自分自身、決して実体験する状況下に身を置いたわけではない。(以上)

以前、共感力について『まねが育むヒトの心』の記述を紹介したことがあります。以下転載です。

 他者に共感する動物は、ヒトだけではありません。サルやチンパンジー、イルカやラットなども他個体の感情を敏感に察し、反応します。しかし、見落とされがちな大事な点があります。ヒト以外の動物がみせる共感の大半は、他個体の不快な感情、たとえば、恐れ、怒り、成嚇ごとに限定されていることです。他個体の不快さをすばやく感じ取ることができれば、これからわが身に起こる危険を事前に回避することができます。多くの動物が他の個体の不快な感情に敏感なのは、自分白身の生存をかけた重要な意義があったからだと考えられます。
 それに対し、ヒトが共感するのは他人の不快な感情にとどまりません。快の感情、心地よい感情、他人の喜びやうれしさまでをも共有する、特別な共感力をもっています。(以上)

恐れや生命に危機に対する共感力は、多くの動物が持っている本で羽ですが、喜びや悲しみへの共感。これは人間ならではのことであるようです。

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