皇居の落書き

東宮家を応援するということを基本的なスタンスとしていますが、東宮派ではありません。

男系固執派は女性皇族を馬鹿にしているのか。

2012-01-14 00:32:26 | 皇室の話(2)
○竹田氏の差別意識
昨年より,皇室に関する話題としては,女性宮家創設ということが,盛んに報じられている。

皇室典範の問題については,このブログでも随分と論じてきたところであり,筆者としても,ずっと注目はしてきたのであるが,ただ,女性宮家創設案については,何か論じる対象としての扱いにくさというものを感じ,何もコメントすることなく,時間が経過してしまった。

論じる対象としての扱いにくさについては,まず,純粋な制度の議論では終わらないということがある。
かつての皇位継承の在り方の議論であれば,男系維持か女性・女系拡大かが主な論点となり,観念的な議論になりがちではあったが,それはそれで,純粋な制度の議論を行うことができたのである。

しかし,現在の女性宮家創設案というものは,悠仁親王殿下までの皇位継承を前提とした上で,悠仁親王殿下が即位される頃には宮家が無くなっている恐れのあることを出発点としており,要するに,現在の皇室の方々の構成に具体的に着目したものとなっているのである。

もちろん,この場合でも,制度の議論という側面はあるのだけれども,現在の皇室の方々の構成への着目ということがあると,誰々のための体制整備というようなニュアンスは,どうしても生じてしまうものである。

率直に言ってしまえば,この議論は,秋篠宮家を将来の皇室の主役として位置付けるための準備という感じがするのである。

ここで,改めて考えてみれば,現在の皇室典範を前提にする限り,今後の皇位継承については,次に皇太子殿下,その次に秋篠宮殿下,その次に悠仁親王殿下となるのであって,その流れでいけば,現在の秋篠宮家が将来の主役になることは当然ということになるのだろうけれども,筆者自身,そこにまだ,若干の違和感を感じてしまう。

その違和感というものは,皇太子殿下から秋篠宮殿下への継承が傍系継承となることに由来しているのかもしれない。

現在の女性宮家創設案は,女性皇族の皇位継承資格には触れないということであるけれども,今後,これは必ず問題になってくるはずである。

そのとき,どうしても,愛子内親王殿下と悠仁親王殿下の,どちらが人気があるかというような問題になってくるであろう。
建前では,それではいけないということになるあろうけれども,皇室典範という法律を改正するに際して,国民の多くが予想し期待する方向と逆の改正を行うことは,政治的に不可能であるはずだからである。

その方向が,将来どうなるかについては,とても難しい。
皇太子御一家は注目の的となる存在感があるが,いろいろと問題を抱えている。
秋篠宮家は順調なようであるけれども,特別なオーラのようなものが無く普通すぎる感じがする。
以上は,もちろん,筆者の勝手な主観であるのだが,本当に難しいと思うのである。

さて,女性宮家創設案について,早速,男系固執派からの批判が展開されているのであるが,そのような言動の中には,保守の名において女性皇族を馬鹿にしているとしか思われないものもある。

特に酷いのが,「Voice」平成24年2月号の「女性宮家は日本を滅ぼす」と題する竹田恒泰氏の記事である。

その中に,以下の記述がある。
----引用開始----
もし女性宮家創設可能となったら,誰が女性皇族の婿として皇族になっても認めるしかない。もしそれが犯罪の経歴をもつ人物や,世間から軽蔑される人物だったらどうするか。まして,外国人だったらどうするのか。それは,将来の金髪の天皇が現れるかもしれないことを意味する。血統が途絶え,そのうえ,どこの血筋かもわからない男性の子が皇位継承権をもつことになる。
----引用終了----

女性皇族の方々は,皇族として生まれ育った方々であり,自らのお立場について十分な御自覚があるであろう。
御結婚相手については,恋愛ということもあるだろうけれども,それでも十分に思慮を尽くされて,相応しいお相手を選ばれるのではないだろうか。
その過程には,御両親ももちろん,加わることになるのではないだろうか。

それに対し,竹田氏の記事では,要するに,女性皇族は放っておくと,「犯罪の経歴をもつ人物」や「世間から軽蔑される人物」,「外国人」のような相手と勝手に結婚してしまいかねないと言っているわけなのである。

制度上は,女性宮家創設可能となれば,女性皇族の結婚には皇室会議の議を経るという過程が加わることが考えられ,そこで「犯罪の経歴をもつ人物」,「世間から軽蔑される人物」,「外国人」は排除されることになるであろうけれども,それ以前に,女性皇族(及びその御両親)が,そのような相手を選ぶわけがないという信頼が,竹田氏には全くないわけなのである。

果たして,そのような人物の尊皇心というものは,一体どのようなものなのであろうか。

竹田氏の記事は,さらに以下のように続いている。
----引用開始----
善良な外国人ならまだよい。外国のスパイだったらどうするのか。かつてイギリス国王エドワード八世が,王位を辞してまで結婚したシンプソン夫人は,ナチスドイツのスパイだった教訓を忘れてはいけない。
もし北朝鮮などの外国が本気でスパイを皇族女子の婿として皇室内部に送り込もうと計画した場合,これを阻止することは難しい。もしどこかの国が現在十歳の男子にスパイ教育を施し,二年後に学習院中等科を受験させたらどうなるか。それだけでそのスパイは愛子内親王殿下の同級生となってしまう。もしそのスパイに殿下と同じ趣味をもたせ,同じ部活に入ったら,そして,もしそのスパイに殿下と同じ学問をさせて,大学で同じゼミをとったら・・・。皇族女子を口説く男性などそういるわけではない。このようにしてスパイは簡単に天皇の娘など皇族女子に近づくことができてしまうのである。
----引用終了----

前段の「シンプソン夫人は,ナチスドイツのスパイだった教訓」というのは,何のことなのであろうか。
確かな根拠のある話なのであろうか。
竹田氏は,皇室との血統の繋がりをうりにしている人物であるが,そういう立場で外国王室を侮辱するようなことは,言って欲しくないものである。

それにしても,スパイだとか何だとかレベルの低さを感じさせる話であるが,「北朝鮮などの外国が本気でスパイを皇族女子の婿として皇室内部に送り込もうと計画した場合,これを阻止することは難しい」というのは,いくら何でもおかしいのでは。
知人の一人として接触というぐらいなら可能性は0ではないだろうけれども,婿となるのは無理であろう。
そのようなことを本当に試みる国が存在するとはなかなか思えないが,試みようとしても間抜けな失敗に終わるのではないだろうか。
竹田氏は,「もしどこかの国が現在十歳の男子にスパイ教育を施し,二年後に学習院中等科を受験させたらどうなるか。それだけでそのスパイは愛子内親王殿下の同級生となってしまう。」と述べる。
しかし,学習院は初等科は共学であるが,中等科からは男子のみの「学習院中等科,高等科」と「女子中・高等科」に分かれており,スパイ男子が「二年後に学習院中等科を受験」して合格しても,愛子内親王殿下の同級生になることはできないのである。
*筆者は,学習院の出身でも関係者でもないので,もし実態として,男子の中等科と女子の中等科とで同級生ということになり,同じ部活に入ったりすることが可能であるなら,ご容赦下さい。

それにしても,何故ここで,「愛子内親王殿下」の名前が出てくるのであるのかが,さっぱり分からない。
愛子内親王殿下は,女性皇族の中でも最も注目度が高いわけであり,スパイが近づくのは最も難しいと思われ,そこからして説得性が全く感じられないわけであるが,それにしても,こういう悪い例のところで具体的なお名前を出すというのは,その方に対して失礼であるという感覚がないのであろうか。

竹田氏は,「皇族女子を口説く男性などそういるわけではない。このようにしてスパイは簡単に天皇の娘など皇族女子に近づくことができてしまうのである。」とも述べているが,これはどういう意味なのであろうか。
女性皇族は男性とあまり縁がないから,簡単に口説けるというような意味なのであろうか。
竹田氏の女性観には,かなり心配なものを感じさせられる。

また,竹田氏の記事として気になるのは,以下の箇所である。
----引用開始----
また,自ら希望するような男性がいたとしたら,それこそ危険であろう。いかなる目的をもって入り込むか知れたものではない。
----引用終了----

----引用開始----
民間男性を婿に迎える覚悟があるなら,旧皇族から婿を取るほうがよほど安心できるに違いない。まして,外国のスパイである可能性はない。
----引用終了----

この二箇所を読み比べて感じるのは,一般国民への差別意識ということである。
まさか,今どき,一定の血統に基づく集団から一般国民への差別意識というものを目の当たりにするとは,思わなかった。

○女性皇族の配偶者として旧宮家の男系男子を提案する意見について
男系固執派の立場から,女性宮家創設を認める条件として,女性皇族が旧宮家の男系男子と結婚することを求める主張がある。

こうなってくると,もう既に制度の議論では完全に無くなっていると思うのであるが,それにしても,皇室を敬う,大切に思うという立場に立つのであれば,ご結婚の相手に口を出すのは慎むべきなのではないかと思う。

また,このような主張を行う人々は,男系継承というものが,皇室という御存在にとって何よりも大事なことであるという考え方のようであるが,それは本当にそうなのであろうか。

本当にそうであるとすれば,そのことを最もよく理解し,守ろうとされるのは,皇室の方々ということになるのではないだろうか。
そして,そうであるならば,皇室の方々は,外部からとやかく言われるまでもなく,旧宮家の男系男子の血統に連なる男子を女性皇族の御結婚の相手として選ばれるのではないだろうか。

仮に,旧宮家の男系男子の血統に連なる男子を選ばなかった場合には,男系継承ということについて,皇室においては,絶対的なものとは認識されていなかったということになるのではないだろうか。
その場合,男系固執派は,皇室の方々に対して,まさか,皇室の歴史・伝統について無知であると批判を展開するのであろうか。

皇室の方々を尊いと思い信頼するのであれば,女性皇族の相手について,制度上,旧宮家の男系男子というような限定は付さずに,そこは自由にお決めいただくということでいいのではないだろうか。
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コラム
キーワード
愛子内親王 学習院中等科 ナチスドイツ イギリス国王 皇位継承権 エドワード
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3 コメント

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そういう動きがあればこそ (モーリ)
2012-01-17 01:03:47
女性宮家創設案によって、男系派の本音が明らかになったということでしょう。
竹田氏には旧宮家男子が婿に入ることによって、旧宮家の復権を実現させたいという焦りが透けて見えます。

明治時代、旧宮家の方々は血筋の遠さから継承者とはされず、特別な配慮で皇室に残っていらした。
敗戦後の混乱期に安定した地位を失い、苦労されお気の毒なことでした。
しかし、過去、子の継承が殆どを占め、天皇との血の近さが重要視されてきた歴史からいっても、600年前に分かれた子孫を天皇にするのは無理があります。
それは、男系派も重々承知していたのでしょう。
当初から、旧宮家男子と女子皇族との縁組を希望する意見は出ていました。

西田様が仰る様に、男系が重要ならご自分から進んで旧宮家の男子を選ばれる筈で、全く失礼な話です。

女性宮家創設は今後の皇室活動を支える皇族を一定数確保する為ということですが。
今後、お子様達が全員成年に達し、公務を行うようになった場合、最も重要な立場になられるのは愛子様です。
単なる人気投票ではなく、偏った歴史観でもなく、皇室にとって何が重要かということを踏まえ、皇位継承を改正すべきという流れに必然的になるのだろうと思います。

旧宮家男子を婿にという意見は竹田氏以外からも出ていますから、お相手選びに対して圧力をかけられない為にも今、女性宮家創設案を通した方が良いでしょう。
よしりん企画の (女系公認派)
2012-01-21 14:32:33
時浦兼さんがツイッターで本ブログを取り上げていました。
内容には全く賛成です。
「長子承継」が一番納得のいく方法では (Unknown)
2012-01-24 00:40:58
西田様、ご無沙汰しております。

昨年の年末から女性宮家創設案がニュースで報道されるようになってきましたね。西田様がこの案を「秋篠宮家を将来の皇室の主役として位置付けるための準備」と指摘されていますが、私も同じことを感じてしまいました。

政府が「今回は女性・女系天皇については議論の対象としない」と言っていることから、まさに「継承権を持たない、単なる公務要員にすぎない女性宮家」が念頭に置かれているように思います。
よく「皇太子様、秋篠宮様、悠仁様までは継承権が決まっている」と言われますが、これは完全な誤解だと思います。あくまで「継承権が確定」しているのは、現皇太子様のみ。秋篠宮様と悠仁様については、「確定」ではないと思うのです。代替わりし、皇太子様が天皇になられれば、皇太子の地位は空席になります。「皇太子」とは、「日嗣の皇子」=継承者。秋篠宮様や悠仁様がこの地位に当たり前のように就くことはできません。そうであるにも関わらず、秋篠宮様や悠仁様が既に継承者として「確定」していると錯覚させるような一連の報道には、心底疑問を感じています。

「悠仁様までは決まっているから」と問題を先送りにするのではなく、もっと端的に「それぞれの宮家を長子相続する」という方法で、いいのではないでしょうか。東宮家=天皇家は愛子様が継ぎ(立太子)、秋篠宮家は眞子様(もし男子優先でいくなら悠仁様)、三笠宮家は彬子様、高円宮家は承子様。この方法が一番分かりやすいし、将来の皇室の安定と存続には最も合理的な方法だと思われます。しかし、どこからもこの案が出てこないのが不思議でたまりません。

そこで、「今回の女性宮家案は三笠宮と高円宮を断絶させ、秋篠宮のみ眞子様、佳子様、悠仁様全員を残し、愛子様には継承権を認めず、単なる一宮家の当主として、悠仁天皇を支える公務要員に貶めるもの」という疑いが湧いてくるのです。最近でこそトーンダウンしましたが、女性宮家のニュースは当初ははっきりと「3人の内親王に宮家を創設する」と報道されていました。私は驚きました。「秋篠宮家だけ3人全員残るの?あまりにも偏りすぎていない?」と。将来、秋篠宮家に皇室を独占・私物化される恐れはないのでしょうか?

この女性宮家案は今年いっぱい使って審議し、来年に改正案を国会に提出するという動きのようですが、女性皇族に継承権を認めるか認めないかでだいぶ揉める恐れがあります。男系男子維持派の安倍議員や竹田氏が必死に反対の意思表示をしているのを見ると、「女性・女系天皇については議論の対象としない」と謳ってはいるものの、女性皇族に継承権を認める考えの人たちが水面下では多いのか?という気もします。

ところで、竹田氏がなぜか女性皇族のお婿さんになる男性に限って「どういう素性の人間が皇室に入るかわからない」と危惧しているようですが、同じことは、男性皇族のお嫁さんになる女性にも言えることだと思います。現に、血筋的にも育ち的にも皇族になるのがふさわしくないと言われていたにも関わらず、先帝の喪中に婚約会見を開き、結婚を強行したようにも見える女性の方が1人、いましたよね?あの方の結婚の経緯には今も大きな疑問符が付くところです。なぜあれほど結婚を焦った(急いだ)のか?と。誰とは言いませんが。

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