マレーシア マイセカンドホーム  -シニア世代の海外ロングステイ-

マレーシアにロングステイする”マレーシアマイセカンドホームプログラム”の情報と解説のブログ。最新更新 2017年4月

マレーシアマイセカンドホームプログラムの下で会社を設立するための指針

2011年09月11日 | 規定・条件及びその解説

はじめに
マレーシアマイセカンドホームプログラムの本来の趣旨から多少ずれると思えますが、それでもプログラム参加者がマレーシアで会社を起こしてビジネス活動を行える道が設けてあります。これはプログラム発足後に付け加わったものです。

当局がプログラム参加者のいわば起業を認める条項を設けた裏には、各国からの参加者層の幅の拡大を狙ったことだけでなく、一部の参加者または参加希望者から要望が強かったことでしょう。

外国人がマレーシアに来て会社を起こしビジネスを自ら行うことは、十分な自己資金があればとりたてて困難なことではありません。特定の分野と業種を除いて、外国人は数多くの業種と分野に投資または会社を設立できます。もちろん分野と業種毎に設定された投資額の最低基準を満たすことが必要条件です。

従って、マレーシアで会社を起こしてビジネス活動をするのが主たる目的であれば、なにもマレーシアマイセカンドホームプログラムに参加する必要はないはずです。ただし一部の国からの参加者はプログラムに参加しながら起業するという方策も認めてもらいたいようです。イントラアジアが推測するに、日本人参加者または参加希望者の大多数はこの方策のことはほとんど考慮されていない、または興味がないのではないでしょうか。

しかしながら、マレーシアマイセカンドホームプログラム公式サイトには、”会社と投資”という項目が設けてありますので、今回のブログではこの項目を扱います。もとよりこれはマレーシアの株式会社の解説ではありませんので、詳しく知ることはできませんが、マレーシアの株式会社の設立手順と必要条件がある程度おわかりになることでしょう。

以下はいつものようにイントラアジアによる”会社と投資”項目の全訳です。

なお当ブログ内の翻訳文は全てマレーシアマイセカンドホームプログラム公式サイトの基準ページである英語ページを基にして訳しています。翻訳中の単語や表現はイントラアジアが適切だと考える訳語と訳文を使用しています。



【起業する人の会社を登記】

起業される方はまず、会社法1965年に基づいてマレーシア会社委員会(CCM)に会社を登記する必要があります。登記できるのはマレーシアの有限責任会社だけです。

【会社の形態】

会社法1965年はマレーシアの地におけるすべての会社を規定しています。この法律は、人はいかなるビジネス活動をするにも、まずマレーシア会社委員会(SSM)に会社を登記しなければならないと定めています。

Intraasia注:原文のSSM にはなんの説明も付いていませんので、まずわかる人はいないでしょう。SSM とは Suruhanjaya Syarikat Malaysia の略称であり、その公式英語名がCompanies Commission of Malaysia (CCM)です、当ブログでは”マレーシア会社委員会”と訳しておきます。どういうわけか SSM と CCM が混在しています。マレーシア会社委員会はマレーシアにおける会社とビジネスを規範する法定機構です:www.ssm.com.my

この法の下で会社は3種類になります:

・有限責任(株式)会社。この会社における構成者の個人責任は、その構成者が保有する株式の額面価格及びその構成者が取得したまたは取得することに同意した株式数に限られます。

・保証有限責任会社。この会社においては、会社を清算する場合に構成者が会社定款に定められた額まで債務責任を負うことを保証しています。

・無限責任会社。この会社においては、構成者の債務に限度はありません。


【有限責任(株式)会社】

マレーシアにおける最も一般的な会社形態は有限責任株式会社です。この有限責任会社は(株式の)非公開会社と公開株式会社に分かれます。
マレーシアにおける表記:非公開有限責任会社 Sendirian Berhad その省略形は Sdn. Bhd.  公開株式会社 Berhad 省略形は Bhd.

株式資本を持った会社は、会社定款が次の条件を備えている場合は非公開会社として設立できます:

・その株式を譲渡する権利を制限する。

・構成者(株主)の数を50人に制限する。これにはその会社または子会社の雇用下にある被雇用者及びその会社または子会社のかつての被雇用者は含まれません。

・一般人に向けてその会社の株式と債務証書を引き受けるように勧誘することはどのようなものであれ禁止する

・一般人に向けてその会社に金を預けるように勧誘することはどのようなものであれ禁止する。


公開会社を設立することはできます、あるいは会社法1965年の第26条に従って非公開会社を公開会社に転換することもできます。この会社は次の諸条件を満たすことで株式を一般に売り出す(株式公開する)ことができます:

1.証券委員会に目論見書の手続きをしたこと。
2.株式発行日またはそれ以前にマレーシア会社委員会SSMに目論見書の複本を提出したこと。

公開会社は、取引所が定めた必要条件に合致していることを条件に、クアラルンプール証券取引所にその株式の上場を申請することができる。その後の証券発行(例えば、新株引受権やプレミアムの形式での発行、または企業買収から生ずる発行など)はどのようなものでも証券委員会の承認が必要となります。


【資本必要条件】


 会社の株主資金における最低資本投資額は RM 25万であり、その株主資金は払い込み済み資本金と準備金を含みます。そしてこれは、関連分野で現在適用されている政府の政策、規制、指針に従うことが条件になります。


【マレーシアの会社の登記】:-

マレーシアの会社を登記しようとするものは、必要な登記書類と支払い手数料を会社委員会に提出すること。

会社が必要とするのは:

1)最低2人の取締役(取締役と会社発起人が同人物でもかまわない)、及び

2)カンパニーセクレタリーが1人。カンパニーセクレタリーは管轄の省が規定した専門職団体の一員であるかまたは会社委員会から免許を得ていること。

Intraasia注:マレーシアの法定された専門職として活動しているカンパニーセクレタリー company secretary は、英和辞典の訳語に載っている”秘書”でも”総務部長”でも”会社書記”でもありません。日本の英和辞典ではまず説明されていないためわかりにくい存在ですので、カンパニーセクレタリーというカタカナ語にしておきます。カンパニーセクレタリーはその会社の従業員や役職者である必要はまったくありません、むしろ外部の者である場合の方が多いといえるでしょう。

取締役とカンパニーセクレタリーはマレーシアに主体を持つかまたは居住地があること。

【登記の手続き】:-

設立する会社名を申し込む前に、まず会社名検索をしてその会社名が設立登記に用いることができるかどうかを決めなければなりません。その手順を示しますと:

1. 書式13Aを完成させる。

2. 申請する会社名1つに付き手数料 RM 30を払う。その会社名が認められた日から3ヶ月間、その名前がとっておかれます。

3. 3ヶ月以内に次の書類を提出します:

a) 会社定款:

i) 原本に認印をもらうために印紙局の事務所へ行き、設立契約書にはRM 100の印、定款にはRM 100 の印を押してもらいます。

ii) 会社定款には最初に取締役とセクレタリーの名前を挙げます。

iii) 最低2人以上の発起人が立会人の下で会社定款に署名します。

会社定款が次のような場合は株式会社は非公開会社として登記できます:

i) 株式の移譲権を制限する。

ii) 株主の数を制限して50人を超えないようにする。

iii) 一般人に向けて会社の株式または債務証書を引き受けるように誘うことを禁止する。

iv) 一般人に向けて会社に金を預けるまたは一定期間預けるように誘うことを禁止する。

b) 書式48A-取締役または発起人が任命される前に行う法的宣誓。 
取締役または発起人は、破産していない、犯罪で有罪になったことがない、また裁判所によって有罪判決を受けていない旨を宣誓の下で宣言します。 この宣言には次に掲げる権限を持った人の中の誰かの面前で署名する必要があります。

・民事初級裁判所長;
・治安判事;
・法的宣誓法1960年の下で権限を付与された者

c) 書式6 -順守していることの宣言。 
この宣言では、会社法1965年が定める必要条件に全て適合していると述べます。会社の登記を担当し会社定款に名前が挙がっているカンパニーセクレタリーがそれに署名しなければなりません。

d) 書式13Aの原本。

e) 会社名を承認した文書の複写1部。

f) 各取締役とカンパニーセクレタリーの身分証明書の複写各1部。

g) 株式資本の登記料金:

授権株式資本        料金
RM 100,000まで       RM 1,000
RM 100,001 - 50万      RM 3,000
RM 500,001 - 百万     RM 5,000
RM 1,000,001 - 5百万    RM 8,000
RM 5,000,001 - 1千万    RM 10,000
RM 10,000,001 - 2千5百万  RM 20,000
RM 25,000,001 - 5千万    RM 40,000
RM 50,000,001 - 1億     RM 50,000
RM 100,000,001 以上     RM 70,000

Intraasia注:桁数を強調するためにわざと漢数字化しました。

全ての登記用書類が揃うと次の証明書が発行されます:

・書式8-公開会社用の設立証明書

・書式9-非公開会社用の設立証明書


【注記】:

会社には取締役が2人とカンパニーセクレタリーが1人必要です。

取締役 
全ての有限責任会社はマレーシアの普通の居住者である取締役が2人必要です。いくつかの特例を除いて、取締役の1人がカンパニーセクレタリーを兼ねることもできます。

カンパニーセクレタリー 
全ての有限責任会社はカンパニーセクレタリーが最低1人必要です。取締役会がその取締役の1人をカンパニーセクレタリーに選任することもできます。その者は管轄の省が規定した専門職団体の一員であるかまたは会社委員会から免許を得ていなければなりません。会社認可の申請は 書式48B/ 48Cを用いて会社委員会宛にしなければなりません。新規に与えられたまたは更新された認可は、全て3年間有効です。


マレーシアマイセカンドホームプログラム参加者は会社所有権を持った重役の地位につくことができます。

Intraasia注:原文ではownership to the company です。なぜ to 使われているのか? マレーシアマイセカンドホームプログラム公式サイトに珍しくないおかしな英文ですが、これでは意味が通じない。当然会社の所有権という意味のはずです。

マレーシアで会社を登記する指針について詳しいことは、マレーシア会社委員会CCM にお尋ねください:
CCM Headquarters
Level 2 & 10-19, Putra Place,
100 Jalan Putra,
50622 Kuala Lumpur.
Website : www.ssm.gov.my


Intraasia のひとこと

上記で書きましたように、外国人でも非公開の有限責任(株式)会社を設立するのは特に難しくありません。いわゆる2リンギット会社は設立時に資本金2リンギットでできてしまう会社のことです。ただしそういう場合でも外国人が設立するのであれば、会社定款に授権資本をRM 25万とかRM 50万などとして、払込み済み資本金を順次増やしていくのが普通でしょう。

もっと重要なことは、この払込み済み資本金の額です。なぜなら最終的に出入国管理庁Imigresen が投資した外国人に滞在許可証(種類は複数ある)の発行を決めるとき、その外国人の会社の払込み済み資本金額が決定の大きな要因になるからです(唯一の要因ではない)。つまり2リンギット会社のままでは、会社を設立した(投資した)外国人は”ビジネスをするための滞在許可”は得られません。そういう安易な抜け道はないということです。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。