李白 の 白髪

「明鏡に映った、頭上一面の秋霜」、この詩情が読めない人達の為に書く。暇潰しに良し、頭の洗濯にも良い。

【 「 国際人」 、有名 だが 無実 】 仁目子

2017-07-13 10:44:09 | Weblog

 ーー cosmopolitan か、それとも、nationalism か ーー

日本人が、国際人になるのは難しい、という声を良く聞く。人によっては、「成れない」とはっきり言い切る。所が、「国際人に成らなければ駄目だ」という声も跡を絶たない。

ウエブに、「国際人とは」の検索を入れると、7、270、000 件の記事があって、その筆頭記事が、下記のような笑い話になっている。

《《 大学の入学式や企業の入社式で「国際人になりなさい」と呼びかける学長や社長が今年もやたら多かった。だけど頻繁に聞かされるわりにイマイチ意味不明なのがこの言葉。英語がペラペラしゃべれれば国際人?帰国子女なら国際人?って単純な話ではなさそう(笑)》》

意味不明の「国際人」に、どうやって成るのか、と笑っている。確に、その通りである。

日本語の「国際人」を英語に直すとinternational man になる、が、そのような英語は無く、ほぼそれに該当する英語であれば、cosmopolitan か citizen of the world になる。

cosmopolitan を英和辞書で見ると、『世界を我が家とする』『国民的偏見などを超越する』と訳しており、citizen of the world は、『世界の住人』と訳しているように、誰とも兄弟のように仲良くつき合える人間像を意味している。日本語の「国際人」の意味と似ている部分もあるが、むしろ、大きく異なる場合が多い。

冒頭に挙げたように、「国際人とは」の記事が 7、270、000 件あるのは、列島に於ける「国際人」の意味解釈が、所謂、十人十色で、cosmopolitan や citizen of the world のようにすっきりしていない事の表れに他ならない。

幾つか要約して、拾って見てみる;

www. Asahi net. より;

《《 つまり、国際人というのは、かつての日本社会では、「オトナ」と呼ばれた人間が、その付き合う範囲を異文化の領域に発展させた人間だと考える 》》

フランス在住、マダムリリーの記事より;

《《 フランス人を例に挙げて述べるとするなら、なぜ我々日本人とは違う人間として捉えるのだろうか?言葉や文化は違えど、人間なのだから一緒のはずだ 日本人、アメリカ人やフランス人(外国人)という括りではなく、地球という同じ星に住む『地球市民』のメンタリティを持つことが「真の国際感覚をもつ人」への必須条件のような気がしてならない 》》

 

留学して考えた事より;

真の国際人とは?真の国際感覚とは?

《《 しばし、国際人のさきがけとして、坂本竜馬が取りざたされることがある。坂本は、来る世界像を遠望し、海援隊たるものを結成して、海外へ出て行く人間たちのモデルとなったからだ。しかしながら、彼の評価すべき点は、彼は自分自身を、世界の中の日本というものを、客観的かつ的確に把握し、行動に移していた点においてである。自分自身が何者かを掴んでいたからこそ、今の彼の知名度があるといっても過言ではない。この彼の姿こそ、我々が「国際人」として見習うことではないだろうか? 》》

 

産経新聞【正論】真の国際人であるための条件とは何か ( 筆者某私大名誉教授)より ;

本文はかなり長文なので引用出来ないが、下記のような三つの見出し主題を見れば、論旨の内容は大体分かる。

(一)   本格的な日本語教育を

(ニ)   爆弾にも不動だった重光葵

(三)   日本人を貶めた占領政策

 

上述の、四つの国際観を分類してみると、次のようになる;

前二つの「国際人」は、「四海皆兄弟」だから、誰ともつき合える人間を、国際人の理想像としているから、cosmopolitan や citizen of the world の概念に近い。

一方、後二つの「国際人」は、日本の「国粋」を守る事が前提条件になっていて、坂本龍馬や重光葵の見習いを勧めているから、cosmopolitan や citizen of the world 以前の概念に属する。

このように、国際人に成らなければ駄目だと言うのに、国際人の意味がすっきりしないのでは成りようもない。だから、ウエブで、『国際人の意味は 何ですか?』という質問をよく目にするし、『意味不明でどうやって国際人になる( 笑 ) 』が筆頭記事になるのは無理も無い。

二十一世紀に、国際人について語るのに、十九世紀、鎖国列島の人物 坂本竜馬を見習うべき、だと言う。何を見習うのだろうか。

今日、『坂本龍馬という人は、司馬遼太郎の小説が出るまでは歴史の中に埋もれていた人物でした。有名であるのは『司馬遼太郎が描いた坂本竜馬』であり『史実の坂本竜馬』ではないのが実態だ』、というのに、なぜ、留学までした頭脳の持ち主が、史実でない坂本竜馬を見習えと言うのか、甚だ理解に苦しむ。

又、産経にしても、本格的な日本語教育を、爆弾にも不動だった重光葵、日本人を貶めた占領政策、を論旨の重点としているが、この三者は、国際人と何の係わりがあるのだろうか。

上述大学名誉教授が唱える『本格的な日本語教育を』の説明の一端を見ると、

《《 実は私も自分の娘を国際人にしようとして努力したことがないわけではなかった。本人の希望や、私の日本の大学への失望感もあり、大学から大学院にかけてはイギリスで教育を受けさせることにした。一応、その甲斐もあって、娘は英語を使い、アメリカの国際企業に勤務し、シンガポールを拠点に活動している。しかし、どうも最近はそのマイナス面が目について仕方がない。

娘はロンドンかパリに家を建てるといっている。つまり娘に会いに行くときには国際線に乗らなければならない 》》

つまり、教授は『国際線に乗る』のを厭がっている。

『爆弾にも不動だった重光葵』について、教授はこう言う。

《《 重光葵が片足を失った理由は、朝鮮独立運動家・尹奉吉が投げた爆弾を身に受けたからだ。そのときは君が代の斉唱中だったので、爆弾が投ぜられたのを知っていながら重光が体を動かさなかったためだとされている。

つまり国歌斉唱というのは戦前の日本人にとっては、それぐらいの、場合によっては「捨て身」であることが必要な重要行為だったわけで、今の日本人なら爆弾を見た途端に歌うのをやめて、さっさと逃げ出すに違いない。だから本来の意味での真の国際人であるためには、単に英語が話せるというようなことだけではなくて、その根底に強い愛国心があって然るべきなのだが、それが忘れられているのが今日の姿であるような気がしてならないのである 》》

つまり、教授は「徹底的な愛国心」を説いている。

最後に 『日本人を貶めた占領政策』の説明。

《《 アメリカの日本に対する占領政策の結果として、戦後の日本人から「誇り」や「品格」を奪い、日本人を「臆病者」や「卑怯者」に貶めた結果によると考えられるからである。私はそういう占領政策に対して今に消えない怒りと憤りを感じているが、同時に日本人については、戦後70年もたった現在、敗戦後遺症からいいかげんに脱却して然るべきだと強く思っている。そうでなければ、あれだけ熾烈に対米戦争を戦ったわれわれの先輩に対して、合わせる顔がないではないか。

大東亜戦争がもし、なかったとしたら、西欧による支配はアジアからアフリカにかけての広範な地域で、そのまま残っていたかもしれない。それを打破したのは日本人の燦たる業績である。われわれはそのことをよく自覚したうえで、今後も国際社会に対処していかなければならないと思う 》》

つまり、教授は、「国粋人」或いは「国粋主義」になる条件を論じているのであって、「国際人」について語っているわけではない。

ブリタニカ国際大百科事典によると、国粋主義とは - 自国の文化的ないし政治的伝統の独自性または優越性を強調し,それを政策や思想の中心的価値と考える思想一般をさすという。通常、英語で Japanese nationalism に訳されているから、日本独特の思想である事が分かる。教授の説明内容がそれを如実に語っている。

世の中、頭デッカチになるほど、話がややこしくなって、分かり難いのは、人びとの良く知るところである。

「オトナ」と呼ばれた人間が、その付き合う範囲を異文化の領域に発展させた人間だと考える。 ( Asahi net )

言葉や文化は違えど、人間なのだから一緒のはずだ。 ( マダムリリ)

などは、凡人の素直な考えを述べたもので、すっきりして分かる、が、留学帰りや教授になると、有らぬ方向にに飛んで行き、何を言わんとするか、見当が付かなくなる。

それが、上述のように、幾つかある程度の事なら未だしも、七百万件以上の記事が、十人十色の「我論」で犇( ひし) めきあっているのでは、善良な百姓、庶民に取っては大変な災難で、どの説が正しいか、分かりようもなく、そして、「国際人」に成りようも無い。それが、列島の現状である。

しかし、頭デカッチでない凡人、例えば、マダムリリーの考えは、率直で、人間性に溢れているから、その方向に向かって歩むのは、まず間違いない、と言える。

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