マルセル・リュビー
こちらを覗いてくださる皆様、有難う御座います。
そして、御久し振りです。
で、こんな殺伐としたタイトルで、申し訳ありません。
リュビーの「ナチ強制・絶滅収容所」、購入しています。マイ本。
私の殺伐としたタイトルが並ぶ本棚に、慎ましく鎮座しております。
色々数々手当たり次第(トホホ)収容所関連本読みましたが、コレが最上。
第一部 歴史の中のナチ強制収容所策
第二部 強制収容所
第三部 絶滅収容所
結論
こんな構成になっています。
著者がフランス人なので、フランス人の被収容者への言及多し。
それと18施設、となっていますが、収容所は当然、無数です。
大きな収容所があり、その衛星的収容所もあり、一時的な収容所もあり。
紹介されている収容所は、大きなものが多く、聞いたことのある名もあります。
トップを切って語られるのは、ベルゲン・ベルゼン。
どの収容所も、地獄なのですが、
このベルゲン・ベルゼンは、地獄の最たるものとして紹介されている。
その理由は・・・終戦間際、
各地の収容所から、歩ける収容者を集めて、放置のままにしておいた、というもの。
エ~ット、収容所って建設当初の位置付けから、変貌し続けます。
このベルゲン・ベルゼンも、収容所の一角に「交換ユダヤ人」ブロックがあった。
コレは、パレスティナのドイツ人との交換という事態に備え
当時の政府が命じて、引き渡すユダヤ人を選抜していた区域のこと。
また「中立収容区」もあり、これは中立国籍をもつユダヤ人用の区域。
またまた1944年3月以降、病気・衰弱・高齢等の理由で労働できなくなった抑留者を
引き受けるという「休養収容所」という面もあった。
まだまだ続くが、やめます。
こんな風に、収容所には、書き切れないほど、多種多様な面がある。
現代の平和な感覚では、理解できない事柄もズラズラ~と書かれている。
さて、終戦間際、各地から抑留者が集めって来る。
連合国に収容所のことが見つからないように、抑留者がドイツ国内に送り込まれてくる。
そうして、ベルゲンベルゼンには、収容力の限界など、たやすく超えた抑留者で溢れ返っている。
食べ物の配給もない。ただ寝転がって、死を待つだけ。
余力のある人々は、食べ物を求めて彷徨う。
感染力の強い病気チフスの蔓延。処置してくれる者など、どこにいるだろう。
有名なアンネ・フランクは姉と共に、ここで死亡している。
亡骸は、他の死亡者と共に、敷地内の穴に埋めらた、という。
アンネの最期の様子を覚えている方々の1人で、
この収容所でアンネと鉄格子越しで会話したという。
彼女は、優遇されている地区に居て、アンネに食料等を鉄格子越に投げたという。
アンネがアウシュヴィッツで亡くなった、と考えている人が多いという。
フランク一家は、隠れ家から一時オランダ国内の中継収容所へ行った。
そこから、オランダからアウシュヴィッツへの最期の列車となる貨車に乗ってアウシュヴィッツへ。
そこから姉と共に「死の行進」を経て、ベルゲン・ベルゼンへ。
ここが、アンネの最期の地となったのだ。
ルイ・マルタン=ショフィエという方の言葉が紹介されている。
『ベルゲン・ベルゼン、恐ろしい名だ
そこに、もはやわずかの労働力も搾り取ることできなくなった
無用者たちが放り込まれたのだ
そして、そこで朽ち果てるまま放置されたのだ』
さてさ絶滅収容所という言葉があり、紹介されている収容所が7つある。
アウシュヴィッツ ベウジェツ ヘウムノ マイダネク ソビブル トレブリンカ
アウシュヴィッツ、よく聞く。
本書からの説明は、真に的を得ている
「アウシュヴヴィ強制収容所は、二重の機能を果たす。
一方で、衰弱死にいたる強制労働を抑留者に課すことを目的とする・・・・
もう一方で、アウシュヴィッツは瞬間的かつ大規模な絶滅行為のための施設を備えている・・・」
アウシュヴィッツは複合体である。
アウシュヴィッツⅠ = 基幹収容所とも呼ばれる、他所同様の強制収容所
アウシュヴィッツⅡ = ビルケナウ。絶滅収容所
アウシュヴィッツⅢ = 強制労働キャンプ
分けると、こういうことらしい。
絶滅収容所からの生還者も、極々わずかながら居られる。
絶滅収容所なのに、生還者? ??
絶滅収容所にも、ドイツ人やその協力者がいる訳で。
彼らの日常生活を世話するものとして、数人が生かされている。
女性なら家事従事。男性なら電気等の技術職。
または素晴らしい花壇のお手入れ役として・・・
殺害された人々の遺体はどうするの?
誰が、どうするの?
これも生かされた人々が、遺体を片付ける。
収容所で順番が異なるらしいが(殺害前が後か、で)
髪を切る、金歯を抜き取る等の作業も行っている。
こうして生き延びたわずかな人々が、地獄を教えてくれたのだ。
・・・・・・・・・・・・・・この辺で、終わります。書ききれないから(正直)
・・・・・・・・・・・・・・家事しなきゃ、だから(正直)
本書は文字ばっかりです。収容所の略図もあり。
結構専門的です。殺伐描写盛りだくさん。
けれども、収容所の体験者の話からは、地獄絵図が浮き彫りになるが
様々な収容所が、例え最初だけでも、どういう意図で作られたのか、
戦争の激化と共に、どう変容していくのか、
一体どうしてこんなものが建ってしまったのか、等が読み取れるかと思います。
その意味では、唯一無二の本だと思います。
興味のある方(居るのか?)は
先ず図書館で探して、借りましょう。
いきなり買っちゃうと・・・・後悔するかも、だから。
アァァ、相変わらず長いわぁ
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