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投資に重要な指標を紹介したい

大きな経済リスク要因の見当たらない投資環境

2017-10-03 18:50:20 | 日記
低成長ながら2%前後の堅調な成長が期待される先進国経済や、マイナス成長から回復してきた資源新興国のロシア(2016年の対前年比実質GDP成長率はマイナス0.2%、2017年1月~3月期は対前年同期比+0.5%、2017年4月~6月期は対前年同期比+2.5%)、ブラジル(2017年1月~3月期実質GDP成長率は対前年同期比マイナス0.4%だったものが、2017年4月~6月期には+0.3%とプラスに変化)など、低インフレが継続する環境で、世界レベルで着実な成長が期待され、経済的な不安要因は見当たりにくい状況だ。高成長のアジア新興国においても、5%以上の成長であれば、6%台からの成長率減速を不安視する必要はないであろう。緩やかな成長回復の過程で、投資市場に影響を与えるのは需給関係ということになるが、大量のリスク資産売却が想定されるとすれば、オイルマネーの売りということになるだろう。原油価格が下落することによって、国内財政が悪化すれば、運用している資産の一部を売却することで予算充当することが想定されるが、原油先物価格が1バレル当り30ドルを割り込むようなことがなければ、特段の財政需要が発生するとは考えづらい。特に、2%以上の配当利回りが期待される株式を売却するよりは、まず、低利回りの先進国債券の売却を実施するか、低利回りの借り入れによって資金調達することが想定され、相対的に高利回りとなっているリスク資産売却の可能性は低いだろう。

このような投資環境では、高利回り資産や割安資産を中長期に保有し続けることが運用成果に繋がるが、何かリスク要因があるのではないかという不安心理が発生することも多い。経済要因ではない、政治リスクや軍事リスクを取り上げて不安要因と捉え、不安心理が発生しそうな局面で、リスク資産の売却を実施して現金比率を上げる運用が実施されるが、リスクイベントが過ぎれば、リスクオフしたポジションの買戻しが起こる。まさに、不用意に現金比率を高めて運用収益を逸失すれば、運用パフォーマンスが低下し、運用競争で劣後することになる。一方で、不安心理によるリスクオフで割安となった資産に投資すれば、運用パフォーマンスが向上し、運用資産拡大に繋がることになる。結果的として、当面は、極端なリスクオフが発生しづらい投資環境であることを気付かせられるであろう。米国のVIX指数が低位に推移していることも、不用意なリスクオフが、運用成果を悪化させる懸念を反映したものといえそうだ。

北朝鮮に関しては、自国防衛のために原水爆を開発し、ミサイル実験を行っていることを再確認すべきだろう。北朝鮮が日本にミサイルを放てば、それは、侵略攻撃と捉えられ、世界全体からの報復攻撃を受ける可能性が高く、朝鮮民族が未来永劫「負の遺産」を背負うというような軍事選択は想定しづらいだろう。ミサイル実験は、日本の上空を通り過ぎているが、地上から飛行機等が航行できる100キロ程度までが領空と考えられ、それよりも上の宇宙と捉えられる地域は国際法の領空規定がない。まさに、北朝鮮は国際法を侵犯しない方法で高度のミサイル発射実験をしているわけで、無謀というよりは、国際法に抵触しない範囲での実験を慎重に行っている。北朝鮮の軍事緊張問題は一触即発という不安心理よりも、かなり長期化が必至な国際問題と捉えることが重要で、結果的に、北朝鮮軍事緊張の度にリスクオフをすれば、運用成果が劣化するということを投資家は理解し始めるだろう。

衆議院議員解散総選挙については、北朝鮮問題という有事に対応しなければならないという局面では、現政権が有利になりやすいことや、新しい有望な党が現れることでの危機意識から、与党への投票意識が高まることなどを考慮すれば、海外投資家の日本株に対する割安意識は変化しないものと想定されそうだ。20年間超えることのできなかった、日経平均21000円の壁を抜けることが、選挙の結果次第では可能となるだろう。

米国においては、トランプ政権公約の多くは実行されておらず、特に財源の必要な政策には手がついていない。しかしながら、2018年の中間選挙を見据えれば、年末にかけて、法人税減税などの進展も期待される。進んでいなかった減税などの政策が、真剣に議論されるようになれば、米国株への期待感も色あせないだろう。金融政策正常化に舵は切られており、長短金利の低下には歯止めがかかっている。金融規制緩和が年末にかけて顕在化すれば、金融株の上昇も期待され、今まで市場を牽引してきたハイテク株に加えて、米国株式市場の安定化を後押ししそうだ。もちろん、米国金融セクターの安定は、相対的に割安な日本の金融関連株の上昇期待にも繋がることになるであろう。

9月29日に発表された、日本の8月消費者物価指数は対前年同月比で0.7%となった(生鮮食品を除くコア消費者物価指数も0.7%、生鮮食品とエネルギーを除くコア・コア消費者物価指数は0.2%)。原油等エネルギー価格の安定が、消費者物価上昇に影響しているが、インフレ率上昇は、短期実質金利(名目短期金利-インフレ率)を押し下げることになる。日本の短期実質金利低下は、実質金利差拡大から円安要因となり、米国の金融政策正常化進展に加えて、米ドル・円の為替相場は、緩やかな円安傾向が期待されそうだ。更に、軍事緊張や政治不安というリスクオフで、現金化されていた投資資金が、外貨建て資産や株式などのリスク資産に回帰する動きが予想され、緩やかながらリスク資産価格が上昇する展開が期待されるかもしれない。