二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

時間よ止まれ

2013年09月25日 | Blog & Photo
時間よ止まれといっても、どうか矢沢永吉のヒット曲を連想しないで欲しい。
ああいうリズミックなサウンドが描き出して見せる、楽園の出来事みたいな物語性や、トロピカル&セクシーな幻想世界とはほど遠い現実を探して歩いている。

地味でうらぶれているのだ。
急いでいるときは、すっとクルマで通りすぎてしまう。
それらは日本中にばらまかれてある。だんだんと数は少なくなっていくが、丹念に探して歩けば、見つけ出すのはそれほど困難ではない。
なにかって?
そう・・・滅びつつある、昭和という時代のカケラ。
吹き溜まりというのか、よどみというのかわからないけれど、そのあたりでは、時間はほとんど止まったままだ。





わたしのような酔狂な男がやってきて、ときたまカメラを向けて、写真を撮っていく。
その男は、こういう街角を「街角ギャラリー」と名づけ、めずらしい切手でも蒐集するように、蒐集して歩いている。

天候は曇り。気まぐれにパラパラと雨が落ちてくる。
名所や旧跡には金輪際なりっこない。したがって、今後保存されることもない。
遠からず滅亡する運命にある。

どこもかしこも、わたしが生まれ育った郷土の、一枚外側にある風景。
クルマを走らせては、被写体らしきものを見つけると停車し、パチリと写真を撮って、またいってしまう。
ずいぶん熱心にやっている(~o~)



それもこれも、愛おしくわびしい光景ばかり・・・ともいえないかな?
年をとって、くたびれているものが多いのは、フォトグラファーが年をとって、くたびれているからかも知れない(笑)。
若いころから、こういうものに関心があったわけではない。
「時間よ止まれ! しばし・・・待て」
な~んて心のどこかでぶつぶつと呟きながら、へっぴり腰でカメラを構える。
どういうわけか、2台はいつも持ち歩いている。
スイッチがONになると、少々の雨など気にならないといった風情。

観客がだれもいない、小さな街角のギャラリーには、過ぎ去りし昭和の風韻がかすかに流れている。
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