二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

梅佳代と川島小鳥の写真集

2017年03月08日 | 写真集、画集など
(「じいちゃんさま」と「未来ちゃん」。どちらもBOOK OFFで購入)

写真集が好きなので、年間7~8冊は買って愉しんでいる。価格が高いし、マニアというほどではないから、そうそう手許にやってくるわけではない。
見るというより、わたし的なスタンスとしては「写真集を読む」という表現がぴったり♪



■「じいちゃんさま」(リトルモア2008年刊)
梅佳代さんは、これまで写真集を何冊か買ってある。その中で一番好きなのは、
ご自身の祖父をお撮りになった「じいちゃんさま」である。ご出身の能登を撮影してまとめた「のと」も好きだが、まだ手に入れていない。
2007年、写真集『うめめ』で第32回木村伊兵衛写真賞を受賞した。基本は人物スナップ、いわゆる「ぶっちゃけ」写真が多く、梅佳代調といえる作風は、はじめそれほどイイとは思っていなかった。
でも「じいちゃんさま」を見ているうち、遅ればせながら、彼女のファンになることに決めた(^^)/







なんというか、どこにでもいそうな高齢者。
このじいちゃんを、梅佳代さんは、家族の視点から共感をこめて撮影している。
浮かび上がってくるのは、北陸の農村と、そこで足を地につけて生活する家族の日常である。
じいちゃんは、老いた妻と息子たち(・・・たぶん)、孫、ひ孫に囲まれて、じつにシアワセそうなイイ顔をしている。
梅佳代さん一流の「ぶっちゃけ」写真もふくまれている。見る人の心をなんというか、微苦笑に誘い、揉みほぐしてくれるようなカットがたくさんあるし、正統的ともいえる記念写真もある。

民俗学の泰斗柳田國男に「常民」という概念がある。わたしはそのことばを思い出した。
北陸の風土と風韻が、梅佳代さんのまなざしを通してつたわってくる。
おいしいものがある、なつかしい風習が残っている、野良仕事がある、家族が身を寄せ合って生きていく、温かなぬくもりが感じられる。
その中心にいるのが「じいちゃん」である。
じいちゃんさま・・・梅佳代さんは、ご自身の祖父に、最大限の尊敬を捧げているのがわかる。



■「未来ちゃん」(ナナロク社2011年刊)
この写真集は、現在何万部に達しているか知らないけれど、この手の本としてはめずらしくベストセラーとなっているので、どこかで見たという方が多いだろう。
わたしも昨年、前橋市にある「市」というソースカツ丼がうまい食堂に入ったところ「未来ちゃん」が書架にあったので、ランチを食べながら「わお、わーお!」と思いながらじっくり見入ったのを覚えている。







いわゆるグラビアモデルふうの美少女、カワイコチャンには慣れっこになっている。
ところがこの女の子は存在感がまるで違う。異次元の少女といってイイだろう。
撮影地は新潟県の佐渡。
友人の娘さんで、川島小鳥さんは、佐渡へ通ってこの子に密着したのだ。

こういう顔は、都会からは姿を消してしまった。
田舎育ちのわたしは、昔を思い出すと、この手の少女は、身近にいたような気がする。丸顔でおかっぱ頭、りんごのほっぺ(^^)/~~~
「ああ、○○ちゃんね!」
日本の通貨が、ドルに換算して360円だった時代を覚えているだろうか?

田舎にいけば、いまでもこういうすごみのある少女が存在している!
わたしはそんなふうにして衝撃をうけたのだ、多分ね。
川島小鳥が成功したのは、この少女を見出したこと、それにつきるといってイイだろう。
ため息が出るようなすばらしいモデルが、読者の心を激しく攪拌する。
ここにも風土のにおいがしている・・・ムンムンするような存在感にしばし、圧倒される。

この二冊に共通しているのは、フィルムカメラによる作品であること♪
写真の風韻は、そこからもただよっていると、わたしはかんがえる。
梅佳代さんはフィルム時代のEOS5(わたしもかつて愛用した)、川島小鳥さんはニコンF6。
データを拝見していると、梅さんはありふれた標準ズーム、川島さんは35ミリ単焦点レンズだけで撮りきっているようである。

どちらも手許に置いて、何度も見返したくなるすばらしい写真集!
ただひとつ残念なのは「未来ちゃん」の造本に難があること。
背表紙がない(仮綴)といってイイから、見返しているうち、各ページがバラバラになってしまうだろう。
むろん意図的にこういう造本にしたのだとは思うが、賛同しかねる(^^;)
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