日刊ミヤガワ

作家・表現教育者宮川俊彦によるニッポン唯一、論評専門マガジン。

2月3日 機械

2007年02月03日 | Weblog
日刊ミヤガワ 1129号    2007.2.3
「機械」

 厳密に云えば道具の原則論として「人はその機能の外延上に道具を作る」生き物だ。自己の機能とよく似たものを作り出す。目的地に向かって到達していくというために「歩く」「這う」「走る」そして馬や牛やヤギを使い、更には自動車も汽車も船も飛行機も宇宙船も作り出した。根本は目的地に到達するという意志とそのための自己の機能の活用。その延長の道具的補完。
 「見る」ということの先にメガネも潜望鏡も鏡も望遠鏡も作り出している。畢竟還元すれば自己の機能が鮮明化する。
 それだけのことだし、まだそれしかしていない。魚だってまだ古代と同様の「網」の段階だ。電波の網や光の網などや部分蒸発や磁石漁が開発されてもいいが、まだそこにいる。
 戦争でさえ「殺人」という行為の段階にある。まだ思うほど進化はしていない。むしろそれを拒んでいる感触さえある。本来の哲学を持った科学の表現は多分SFや漫画の世界でしか訴求できないのかもしれない。それほど現実は保守だし停滞している。理由はそれに対応していける社会論や統治支配の論理が進化していないからだ。産業革命は永久だと呑気な連中は云うけれど、だからこそ産業構造のメカニズムで、本来の進化は排除され抑制されている。
 女は子を生む機械。厳密には間違いではない。「機能を有している存在である」という原意だ。いずれ人類の科学は出産の機械を作り出すかもしれない。機械という言葉の範疇を拡大すれば、この発言は妥当だ。代理出産、六十代での出産、双子の増加、最近ボクが問題にしている堕胎・・・。これらの示すところは「子を生む」という機能を有している女の固有性だ。
 一面的ではあるが間違いではない。無論男も出産をもたらす機械ということは云える。
 むしろ還元した乾燥した哲理の表現だ。「人は死ねばゴミになる」と語った検事もいた。
 これが問題発言だという。「不隠当」「不適切」。野党も与党も女性議員たちも指弾している。ここぞとばかりに声を上げる。なるほど政治は言葉だ。言葉の適性チェックをしていく、試験場だ。国会で言葉の是非を議論する。なるほどなるほど。お勉強しているのだ。
 それは絶対規定か。換言の幅を有しているものか。意図的な一面強調の表現か。・・・。実はそんなことはどうでもよくて、指弾しやすい絶好の失態と見て攻撃をしている。要は「女性に対しての侮辱発言」という大枠で括ってのもの。そこに言語表現的な理解をするなどという知的なゆとりはない。
 舌禍として処理したいという政治的な思惑でしかなく、大衆的共感を得られるだろうという憶測でしかない。
 そしてお調子者の議員はノリノリになる。言語の問題としてなど誰も語らない。毎日これだ。
 実に下らぬ。実に低水準だ。確かに云わなくてもいい発言だ。云うなら云うで読まれ方を知って配慮すればいい。あるいは哲学論争になってもいいのに。
 国民はよほど舐められている。こうやって非難すれば国民は支持するときっと計算している。
 議会に見識はなくなった。教養もなくなっている。日々それを追認していくしかない国民。それこそ機械ではないか。

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