日刊ミヤガワ

作家・表現教育者宮川俊彦によるニッポン唯一、論評専門マガジン。

3月14日 テン

2010年03月14日 | Weblog
日刊ミヤガワ2254号 2010/3/14                   

「テン」

万全を期すということが分かっていない。
ちゃんとやってたんだけどなは一人ぐちるものでいい。何を云おうが死んだものは帰らない。万全の上にも万全を期すこと。ありとあらゆるケースを想像すること。そり基本がなってない。
ここまでやりました、など誰に向かって云う言葉かだ、甘い。また仕入れればいいとか、次はちゃんとやろうとか。そんな感覚を苦々しく思う。
トキに対しても人でも、何についてもそうだ。敬虔さや自己への厳しさが希薄になっているのが現代ニッポンだ。
そして何かに頼ろうとする。被害者を装ったりする。狡さだけが目立つ。
しかしテンだったか。なかなかのものだ。どこから侵入したか知らぬが、何やら「いたずらネズミ」を重ねてしまう。
ホラホラ無防備だよと知らせている。テンが襲うことに問題があるのではない。守れないのに問題はある。あるいは純国産でないのをテンは知って攘夷を決行したのかもしれない。
国粋的国産小動物の世界では、一躍ヒーローになったかも。
珍しいから保護する。ならボクらはなんなんだと、この行動で主張している。
それでも悪か。排除されるのか。テンは多分悶々としてこっちの出方を見ているだろう。
人の恣意的保護に対抗して、今後は一斉駆除、撲滅を誓い合っているかもしれない。
一方に目が行き、そっちの論理が全面化することをボクは恐れる。
トキの悲劇は悲しいがテンの行動にも切なさが感じられる。
これでテン悪者論が台頭するのをボクは警戒する。多様な生物の共存。防御の網の中でしか生きられないものは、所詮滅亡の憂き目に遭う。
いつも保護者がいるとは限らない。つきっきりで守るわけにはいかない。
そこは自ら戦うしかない。自己防衛を学ぶしかない。襲われぬ自己を作るしかない。
この保護は正しいか。
もしテンが絶命危惧種ならどうするのだ。
人は身勝手なものだ。好みで動く。
パンダもまた仕入れるとか。保護し過ぎて弱くなっていないか。種を強くする保護ならいい。しかしきっと倫理が邪魔をする。弱いから滅びるのだ。
誰かに強くしてもらうのではない。過去そのためにどれだけの生物が死滅したか。
冷厳な事実を曲げることこそ倫理に反していないか。
日本から愛すべき生物が消え、移入しないとならないとして、それで何だというのだろう。無理をしても駄目なものは駄目。
乏しくなったら日本人は嘆いたらいい。そうしてしまった罪を悔いたとして、何ができるかだ。
飛来するツルも激減だとか。魅力がないから来ないのだ。
日本が生物にも人にも魅力あるなら何もしなくても来る。一体何があるというのだろう。
経済と効率を優先した。その反省は保護下。これは福祉の思想だ。補完でしかない。
近代合理主義の外延だ。
この際だ。遺伝子操作で強い種を作ったらどうか。そして繁殖して今度は希少動物の敵になったら、人は適正数にコントロールするか。
その程度の知恵だ。テンはいい問題提起をしている。
テンに作文を書かせたいと痛切に思った。そっち側の論理が語られていない。

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キーワード
遺伝子操作
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