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「必死剣 鳥刺し」


うひょー! そのまるで焼き鳥屋みたいな題名に惑わされることなかれ!
久々に時代劇をちゃんと堪能することが出来、「これぞ、映画!」と言いたくなる「しゃれども、しゃべれども」の平山秀幸監督の手によるお馴染み藤沢周平原作の映画化作品。



現代の中間管理職と通じる下級武士の悲哀を描くストーリーそのものは、まさに藤沢ワールド全開。
主人公が死を覚悟した上で義憤に駆られ起こす刃傷沙汰からはじまるオープニングシーンのあと、物語は静かにゆったりと流れていく。

そしてその後、庄内地方の美しい四季の移り変わりとともに描かれていく不条理な権力者からの思惑に翻弄され、過酷な運命を辿っていく主人公の姿に思いを寄せる人も多いはず。



そんな中、それまでの覚悟を秘めた日常から大事な人を思う新たなる望みが生まれた途端、降りかかってくる出来事に対して忠義を尽くさざるを得ない切ない展開。
そして終盤15分間に及ぶ激しく降る雨の中で刃を交えるシーン、トヨエツの鬼気迫る熱演もさることながら、CGに頼ることなく血糊を使っての決してスタイリッシュではないリアリティ溢れる殺陣は、主人公の不器用な生き方と通底し、見てて心グラグラ。

とにかく、そのディテールにこだわった日本伝統の端正な所作の数々、華美ではなく見事なリアリティを持って再現された家屋などの美術、そして豊川悦司はもちろんのこと、どんどん良い顔になってきた吉川晃司、相変わらず飄々とした岸部一徳、そして「ジョゼと虎と魚たち」以来のご贔屓・池脇千鶴、はたまたヒール役の村上淳、関めぐみなど出演陣の頑張りによって、かなり、かなり見応えのある作品に仕上がっているのであります。



決して派手ではないかも知れないけれど、とても丁寧に丁寧に作られたこの作品、そのしみじみとした良さを是非とも感じていただきたいと言うか、とりあえず期待以上の出来上がりに今のところ今月イチ押しなのであります。
機会があれば是非!





今日の1曲 “ 風に向かう花 ” :  alan

映画のエンドクレジットに重なって流れるのが中国四川省カンゼ・チベット族自治州出身の女性歌手アランが歌うこの曲。
ちょいとエイベックスが入っていますが、楽曲のそれなりの良さに加え、チベット民謡独特の高音フェイクの伸びやかな歌声にご注目あれ!

コメント ( 4 ) | Trackback ( 14 )
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コメント
 
 
 
いい映画を観ました。 (えい)
2010-07-11 22:52:16
ぼくもこれは好きです。
絵作りがなんとも東映時代劇調で懐かしく、
それに加えて、
ラストの殺陣は
いいものを作ってやるという気概に満ちている。
映画を観たという感じになりました。
 
 
 
す、すみませぬ。。。 (ツボヤキ)
2010-07-12 04:16:43
あ??!!と曲が変わった途端に
急に居心地が悪くなって。。。
席を立っちましスた。
す、すみませぬ。
狭いヤツでございます。
 
 
 
◇えいさんへ (nikidasu)
2010-07-13 09:53:46
ご賛同ありがとうございます。
前作「やじきた道中 てれすこ」がいささか消化不良だったので
いささか心配していたのですが、期待以上の仕上がりで嬉しくなってしまいました。

ある意味お約束的なラストシーンも、しみじみさせられました。
 
 
 
◇ツボヤキさんへ (nikidasu)
2010-07-13 09:59:55
映画「しあわせのかおり」のエンディングでJUJUの歌が流れたのと同様
決して歌そのものは映画にフィットしていたとは思わなかったのですが、
とりあえずこれもアリかなと思った次第であります。
まあそれはさておき、心シミジミ良い映画でした。
 
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