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「パンズ・ラビリンス」  EL LABERINTO DEL FAUNO

実は観る前は少女が主人公で何気に毒気のありそうなファンタジーという予告編から受けた印象から、どこかギリアムの「ローズ・イン・タイドランド」みたいな作品を勝手に想像していた。
ところがどっこい、実際に観てみるとその予想とは大きく異なり、単なるファンジーにとどまらないとてもとても「志」を感じる奥行きのある深い作品だったのだ。

舞台は1944年のスペイン。内戦終結後もフランコ政権の圧政に反発する人々がゲリラ闘争を繰り広げる山間部に母カルメンと共にやって来る父を亡くした少女オフェリア。
そしてそこで繰り広げられるレジスタンスとフランコ軍との激しい戦闘とそれに拮抗するかのように妖精に導かれ同時進行していく少女の中の迷宮での試練。



とにかく驚異的でイマジネーション溢れる迷宮で登場するどこか暗くて心惹きつけられる素晴しい創造物( creature )の数々。
そして残酷非道なシーンでの思わず眼を背けたくなる容赦ないリアルな描写。



そんな表裏一体となった物語の中で強く強く感じるのは、やはりファシズムへの飽くなき抵抗心。
あたかも巨木を枯らせた巨大蛙のごとく、民衆を迫害する独裁者フランコ。
そんなファシストを象徴しオフェリアの義父であるビダル大尉に対する潜入スパイのメルセデスから放たれたとてつもない怒りと憎しみが込められた口への秘められたナイフの一突き。
例えそんなビダルを倒しても、また別の人間が代わりに来ることも承知の上で果てしなく続く闘争に躊躇なく継続を誓うメルセデスの弟の決意表明。
そして何ら疑問持たずに服従することを強要されるも毅然と拒否し、故に銃に倒れる医師の姿。



さまざまな想いが、現実と迷宮の世界を同時に描くことによって切ないほどに伝わってくるこの作品。
再度「痛い」シーンはちょっと勘弁して欲しいけれど、比喩や暗喩があちこちに散らばられていて、多分改めて観る度にさまざまな発見を見つけられそうな、そんな映画的魅力にも満ち溢れた作品だったりもしたのだ。



ともあれ、かつて観たスペイン内戦を時代背景として6歳の少女を主人公に、彼女が体験する現実と空想の交錯した世界を描き出した映画「ミツバチのささやき」をも想起させるその独特の世界観は見応え充分。機会があれば是非劇場での観賞を強くおすすめ!であります。



今日の1曲 “ Pneumonia ” : Bjork
映画のエンディングでも流れるメルセデスが唯一知っている子守唄も大いに印象的でした。
そんな中、この映画を観たビョークが大いに影響を受け、すぐに家に帰って作り上げたというのがこの曲。
正直言ってあまり得意科目の人ではないつもりでしたが、この曲に関しては題名ちょっと気に入ってたりしています。
ちなみに昨年リリースされたアルバム『ヴォルタ (Volta)』に収録。
丸ごと試聴はコチラから
コメント ( 4 ) | Trackback ( 18 )
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コメント
 
 
 
子供の世界 (kira)
2008-01-07 22:07:03
TBありがとうございました☆
今年もTBのみで失礼する事も多いかと思いますが
宜しくお願いします〜♪

この作品は、単純に大人の目で子供の世界をみつめて
観ました。
鬼ごっこ、かくれんぼ。余りにも怖い鬼。
隠れていられないかくれんぼ。
とても切ない一人遊びでした。
 
 
 
◇kira さん (nikidasu)
2008-01-09 22:11:02
こちらこそよろしくお願いします。

例え子供目線の展開であっても、やはり大人目線で見てしまいますね。

とにかくいろんな捉え方が出来る、底知れぬ深さを持った作品でした。
 
 
 
エリセ (kimion20002000)
2008-01-10 01:59:37
TBありがとう。
そうですね。僕も「ミツバチのささやき」のエリセ監督を思い出しました。
10年に1度しか作品を発表しない、寡作の人でしたけどね。
 
 
 
◇ kimion さん (nikidasu)
2008-01-12 14:46:31
寡作の天才、ヴィクトル・エリセ監督の次回作は今まで通りだと
2012年になりそうなんですよね。

それはともかく「ミツバチ〜」と「エル・スール」を改めて
観たくなりました。
 
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