虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

機能不全家族について  もう少し 13

2013-11-18 13:06:58 | 日々思うこと 雑感

 

  

この記事の続きにすると、前置きが長くなりますが……まず、熊本の話題から。

 

熊本での一日目は、年中さん、年長さんのお子さんをお持ちの親御さんたちといっしょに

宿泊施設として再利用されている旧校舎で、工作したり、実験したり、算数を学んだりして過ごしました。

工作も実験も算数も熊本っ子たち(他県の子も参加していましたが)に大盛況で、

「もっともっと、やりたい!」という声がうれしかったです。

 

子どもたちが寝た後は、お母さんたちとの雑談タイム。

日中の活動を通してそれぞれの子どもたちの様子から気づいたことをお話したり、

子育ての相談に乗ったりするうちに、夜中の2時を回っていました。

 

特に、親御さんたちが関心を示しておられたのは、

2~3歳という自己中心的な要求の時期に続く

3~4歳にあたる子たちが、

いかに親を必要としているかという話題でした。

 

山梨大学の加藤繁美先生によると、

3~4歳とは、子どもの中に形成された「自我」

(「こうしたい、ああしたい」という要求の世界)

と、「第二の自我」

(社会的存在として自分がどう行動すべきか、知性として認識される

規範的自我、理想的自我)とが、

激しく葛藤する時期。

 

生活の中で起きるトラブルにていねいにつきあいながら、

葛藤する自我がそこから抜け出し、答えを見つけられるように見守ることで、

子どもたちはこの難所を越えていけるのですよね。

 

3、4歳児の心は、

ごっこ遊びの世界に浸ったり、絵本や紙芝居に感情移入したり、

秘密を共有したり、冒険を出かけたり、頭の中で創りだした虚構の世界で

互いに響きあったりしながら、次の段階へと成長していきます。

 

しかし、実際の3、4歳児さんたちは、

家でも集団生活の場でも

トラブルを大人の指示のもとでもみ消されてしまうか、叱られてお終いとなるか、

トラブルさえ起こらないような環境に置かれているのではないでしょうか。

 

大人の安易な対応で、

この時期の子が、自分を律し、自己統制力が育っていくための体験の

ほとんどが奪われているのです。

 

また、かつてのように兄弟姉妹、近所のお兄ちゃんお姉ちゃんといっしょに作っていくような

遊びの世界の豊かさがない現在、

3、4歳の子が自分の要求や好奇心に従って

共感的な世界を拡大していくには、大人の心や言葉や子どもの言動に対するフィードバックが

とても大切になってくる……

そんな話をしたところ、それに対してお母さん方からさまざまな意見や感想、疑問が飛び交いました。

 

たいていの親御さんが、子どもが3歳を過ぎる頃に、「早くひとり遊びをするようになってほしい」

「早く友だちと上手に遊べるようになってほしい」「早く自立してほしい」「賢くなってほしい」

「子どもとふたりで過ごすのが辛い」という

思いに駆り立てられて、親である自分がどのように子どもと関わって行くかという部分を

軽んじてしまうようです。

3、4歳という時期に大人と感情を共有しながら

自分の世界を大きく広げていくことができる子は、とても少ないのかもしれません。

 

子どもにとって必ず通らなくてはならないステップを踏まずに先に進むと、

5、6歳になって本格的に友だち同士で遊ぶ時期になっても、

遊びがワンパターンになりがちで、

考え方にも社会性にも幼さが目立ちやすいです。

 

そんな話題で盛り上がっていた時、

「わたしは親から愛されたり構ってもらったりしたことがないため

子どもにどう向き合っていいのかわからずにきました。

先生がブログで書いておられるような機能不全に陥っている家庭に育ったので、

特に、3歳や4歳の頃は、子どもの相手をするのが苦痛でしょうがなかったのです。

年長のうちの子の遊びが幼く考えることが苦手なのは、それが原因でしょうか。」と

おっしゃる方がおられました。

すると、別の年中さんのお母さんも同様の悩みを口にされました。

  次回に続きます。

 


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
熊本のレッスンありがとうございました (はぴ)
2013-11-19 08:19:26
奈緒美先生。熊本のレッスン、ありがとうございました。
奈緒美先生、リボンクラブのレオ先生ともに、子どもに対する熱い想い、そしてどこまでも広い優しい心と眼差しに深く感動した2日間でした。
子どもが寝静まってからのママたちとの勉強会。
3時近くまで、あんなに熱く語られて、奈緒美先生のパワーに圧倒されっぱなしでした。
一人一人を、すごくしっかり観ていらっしゃり、改めてその洞察力というか。そして、アドバイスもすごくて、なんだか、濃厚すぎる2日間。帰ってから、夢も見ました。

アドバイスやヒントがいっぱいすぎて、頭がパンパンです~。とにかく奈緒美先生のパワーがすごかったなあ。



先生は、風邪のようでしたが、あれから体調はどうですか??少しゆっくりされてくださいね。
あと、今後の2人の子どもさんの話も楽しみです。

先生のお嬢様。やりますねえ~。スゴイなあ~/
さすが先生のお子さんだと実感した次第でした。

また、ぜひ九州でのレッスンがあれば、よろしくおねがいします。
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Unknown (まこ)
2013-11-19 22:09:59
何度かコメントさせていただいています。失礼します。
いつも貴重な記事をありがとうございます。大切に読ませていただいています。

記事の中に「子どもにどう向き合っていいのかわからなかった」とおっしゃってた方のお話、今の私と同じだな、と思いました。

私が機能不全家族に育ったことが影響しているのか3歳の子どもへの躾に困難を感じています。
私は、優柔不断で家庭に波風を立てないよう常に気を配っていた母から叱られたことがないせいか、子どもに「何かをしなさい、やめなさい」と伝えるタイミングと方法がよくわからず、どのように子どもを躾れば良いか、いつも自信がありません。
そして、子どもに叱ったり、怒鳴ったり(本当は怒鳴ってはいけないですよね…)した後、自分と暴力的な父が重なってしまって、激しく落ち込み後悔します。世代間連鎖をしているのではないかと不安になったりします。子どものことを思っての躾なのか、父のようにストレスを子どもにぶつけているのか、自分でも自信がなく混乱しているのです。

自分の中に子育ての見本となるものが両親の姿しかなく、子どもを正しく導くことができていないのではないかと不安に思っています。

一方で、何でも機能不全家族、両親を原因と考えるのは、私の逃げや甘さなのかな、親として一人の自立した大人として、しっかりしなければと思っています。
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機能不全 (しまなみ)
2013-11-19 23:34:02
私自身にも、足りないところはあると思いますが、夫が、機能不全家族なのかな、と思う一年でした。一才の子供の面倒もなかなかみられず、どなりつけたり、はたいたりします。上の子が5歳、まだまだスキンシップも必要な年、テレビなどに気をつける年なのに、自分自身の自由時間が最優先。
かれは、お勉強や躾を急いだお母様と、事業立ち上げで多忙なお父様に育てられ、中学以降は寮生活、内なる子どもがいつも不安と寂しさでうろたえているような人です。甘え方、人への頼み方もわからないようで、暴力や、いじけに流れます。
善悪、行動の規範を教えることは、早期教育的な生活習慣の自立や、うわべの集団行動以上に大事で、その前提に、幼い頃、じっくり快感や発見、安心にひたったかどうかがあるように思います。
幸せや安心を知らないひとは、他人の不幸や迷惑も重く受けとめられないようで。ま、たまにはお母さんだって、途方に暮れたり、感情に任せて怒る事態もありましょう。より危険なのは、逆の、大好きでたまらない、嬉しくてしょうがない、という姿をみせず、子供にも、体験させない家庭かもなあ、と感じています。オトナとしては、過ごしやすい環境、でも、それは、子育てしたといえるかしら。
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