虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

 金環日食の実験  (理解の伴わない知識を持っていることの問題点)  2

2012-05-19 10:18:51 | 理科 科学クラブ

金環日食の実験  (理解の伴わない知識を持っていることの問題点) 1

の続きです。

 

                      <月食>をおもちゃで再現



地球緑 太陽赤 月

月食とは、月が地球のかげに入って、見えなくなる現象です。
 
 
 
<日食>
 
                           


日食は、太陽が月にかくされて見えなくなる
現象です。
 
 

前回の記事で、理解の伴わない知識を持っていることの問題点について書きました。

間違った知識を覚えてしまうから悪い、と言いたいわけではないのです。

それなら正確に覚えているか抜き打ちテストをして

正しい知識をインプットしなおしていけばいいのか、というと

そうは思いません。

 

科学というのが、ウンチクを覚えて自慢するためにあるような

クイズ大会で高得点を取るためにあるようなイメージで

子どもに定着してしまうことを恐れているのです。

 

 金環日食についても、大人が子どもを巻き込んで

いっしょに金環日食を楽しむことで、「これをきっかけに宇宙への関心を持ってほしいな」と

考えるのは悪いことではないでしょうが、

あまりにマスコミ主導で、流行として科学に触れることで、

子どもにすると「あっ、それ知ってる!」「えっ知らないの?」と自慢するウンチクのひとつが

増えるだけで終わってしまうんじゃないかなとも危惧しています。

 

次に紹介するのは、虹色教室にザリガニのザリ子ちゃんや やどかり(名無し)たちがいた頃の話です。

これを読んでいただくと伝わるかもしれないのですが、

図鑑や大人に教わった知識で「知ってる!知ってる!」と頭でっかちにしてしまわなければ、

子どもはザリガニややどかりからも、「あっ、大発見!」「どうしてだろう?」「こうしたらこうなったよ」「なぜ?」

「わたしはこうだと思う。この原因はこうじゃない?」「生き物って面白いなぁ。もっともっと生態について知りたい」

と考えるのです。

身近な大人がそうした子どもの科学への興味をちょっとサポートすると、

実験の仕方、実験データーのまとめ方、仮説の立て方、調べ方なども

ひとつひとつ身につけていくのです。

 

教室のザリガニ、「ザリ子ちゃん」という名前で、みんなの人気者です。
今日は、みんなでていねいに観察したり、
簡単な実験をしたりしました。

「ザリ子ちゃんの足とカニの足はどこがちがうでしょう?」と質問すると、
たちまち、「あ、小さい足の先にもハサミがついている」という発見がありました。
よく見ると、はさみの先にのこぎりみたいに、ギザギザがついているのも面白いです。
また、しっぽの外にはうっすら毛のようなものが生えています。
見ると、いろんなところに毛のようなものが生えているのです。

よく観察していると、
顔に2つ穴があいています。
「鼻かな?」と言っていたら、「おしっこするところ」と言ってふざけていた子がいました。
みんなゲラゲラ笑っていたのですが、
後から図鑑で調べると、本当におしっこする穴でした。
顔にあるんですよ。

顔の近くに小さな足があって面白いです。

かわいそうだけど、ちょっとだけ実験。
ひとり一箇所ずつ、触ったらどうなるか気になる場所をきめて、
予測をたててから、ストローの先で触りました。

右の触覚を触ると、反対の触覚が大きく動いて、
うしろずさりします。

背中は鈍感で変化なし。

しっぽに触れると軽くジャンプします。

触れる場所によって、カニのように横歩きするときがあります。

最後に足の動かし方について観察しました。
交互にたくさんの足を動かすのか?
バラバラか?
伸縮させながら斜めにも動くのか?
後ろに動くときの足の運びは?
驚いて後ろに向かってしっぽを丸めてジャンプするときの足の動きは?

今日もとても楽しい時間が過せました。友だち同士、別れをおしみながら
帰って行きました。

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虹色教室に陸やどかり(地上で生活するやどかりです)が来て以来、
たちまち No.1の人気者になりました。

なかなか目的を持った作品を作ろうとしない子も、
やどかりハウス作りや、やどかりの公園作りには大喜びで取り組みます。

たった380円のペットですが、
その頭の良さと、動きの面白さ、生態の不思議に
どの子も目を丸くして驚きます。

やどかりの数倍の高さの囲いを作って閉じ込めると、
仲間のやどかりの背中に乗った後で、貝殻からできる限り身体を出して
グーンと伸びをして、爪を塀に引っかけて登るのです。

また、一度、そこは登れなかったと学習すると、他を探索しはじめ、
次のチャレンジ時には、その記憶を活用して
逃げ出そうとします。

見ている間中、子どもたちは大フィーバー!!
「スゴイ!スゴイ!」
「そうだ!迷路を作ってみたらどうだろう?」
とアイデアが次々浮かびます。

きちんとデーターを取って、生態について
もっとくわしく調べてみたいです。

やどかりは手の平に乗せると、貝からにゅっと出てきて
とても可愛らしいのですが、
手の平の熱で
低温やけどしてしまうそうです。
ヤドカリを飼う方は、気をつけてくださいね。

すごく面白いのはセンサー付きのロボットみたいに、
少し離れた場所で手をかざすだけで、
方向を変えたり、貝のなかにもぐりこんだりすることです。

男の子はもちろん女の子たちにもとっても人気です♪

陸やどかりはとてもおだやかな性質で、子どもたちが遊んでいても
ほとんど危険がない生き物です。
でも、子どもたちが次から次へと触るので、ストレスになっていたんでしょうね。

昨日、小学生の☆ちゃんの手の平を
はさみで挟んで放さなくなりました。
洗濯バサミで小さくつままれたような痛さです。
引っ張っても、頑として放さないので、ドライヤーの熱を吹きかけて
無理矢理放させました。
やどかりは熱に弱いので、熱風からもすぐ逃げ出そうとするのです。

事件が一件落着すると、
小学生の☆ちゃんのお友だちたち○ちゃん、●ちゃんと、
やどかりのハサミでつままれていた本人(☆ちゃん)が、
今回の事件を教室の他の子たちに知らせるべく新聞の速報を出したい
と言い出しました。

『やどかり新聞』

お友だちの○ちゃんが大張り切りで記事を執筆する中、
「手のひらのこの赤くなってるとこの写真を、ここの部分に載せて~」と、
もうすっかり痛さを忘れて、それより一大スクープの被害者として注目をあびることにルンルンになっている☆ちゃんが、キャーキャー言いながら記事を書いていました。
新聞には、消毒薬の広告も載っています。

自分たちのやりたいことをしているとき、
それも自分のこれまで培ってきた能力をしっかり使って面白いことをしているときって、
子どもたちは何て楽しそうにいきいきしているんでしょう!!

この後、算数の問題を解いているとき、
とても驚くことがありました。
教室では、その子にちょうど良い易しい問題もしますが、
その子にとって難しいこれまで解いたことがない新しい概念がたくさん入った難問も解かせています。

まったく手も足も出ない状況で、
何から取り掛かればよいか、
何を糸口に解いていけばいいか探りながら、
それまでの経験を総動員して頭をひねりまくる機会を作っているのです。
教室に幼児から来ている子たちは
そうした問題にとても強くて、
先日もまだ習ったことのない面積に関わる難しい問題をすぐに解いてしまって
驚いたくらいなのですが、
小学生から学習をスタートさせた子たちは
理解力が高いのに頭が固くて、
教えた問題は解けても、見たことのない問題は何をしたら良いのかわからなくなったり、
トンチンカンな考え方をしたりするのです。

それが、
この新聞作りの後で、算数の問題を解いたところ、
難問となると、すぐに「わからん~解き方教えて~」と頼り気味だった○ちゃんが、
初めて見る問題を次々発展させて解いていきました。
えっ?
と驚いたものの、そういえば、このごろ○ちゃんは自分らしさや

個性がはっきり外に溢れてきていて、自発的に行動する姿が多くなってきていたことに思い当たりました。
もともと理解力の高い頭の良い子ですから、
自発性や自分への自信が強まってきたので、
難しい問題も自分で考えればできることがわかってきたのかもしれません。


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