虹色教室通信

遊びや工作を通して 子どもを伸ばす方法を紹介します。

発達に凹凸がある子たちの 就学準備クラス (ひらがな・数・遂行機能を鍛える)1

2013-03-04 19:14:06 | 自閉症スペクトラム・学習が気がかりな子

発達に凹凸のある年中さんの★くん、☆くん、●ちゃんと年長さんの◎くんの就学準備クラスの様子です。

 

最初に何をしたいのか話し合う時間に、◎くんが「パソコン作って、マインクラフトするようにしたい」

と言いました。それに●ちゃんも賛同。

 

色画用紙を選ぶ作業をしていると、★くんも「作りたい」と言いだしました。

 

☆くんだけは、「ぼくは作らないよ」と繰り返していたのですが、

他の子らがパソコンの画面用に使う画像を選び始めると、

「ぼくもやりたい」と言いました。

 

パソコン枠の作り方を教えてから、後はそれぞれが自由に作っていました。

一段落ついてから、

自分が書ける文字を書いてパソコンのキーを作ってはどうか提案すると、

みんな一生懸命、文字を書くのに熱中していました。

 

就学準備クラスの子たちは4人とも、遂行機能の弱さを持っています。

 

遂行機能というのは、

「相互に独立した目的的かつ自己完結的行動を連続的に行う能力」とか、

「特定の目的を達成するために、目的を記憶に保持して監視し妨害
を排除する技能」と定義されています。

 

そのため最初の一時間は、それぞれの子がやりたがる工作やゲームについて、

目標や計画を決めて、それを達成するために何をするか判断し、

目標が達成できたか振り返るというという過程を

できるだけ自分で行えるようになるようサポートしています。

 

こうした活動が特に苦手な★くんと☆くんは

途中で気が散ってうろうろしたり、

ひとつひとつ指示を与えてもらわないと

次に何をしたらいいのか、考えることができなくなったりしていました。

 

ふたりとも、ひとつひとつ指示をもらって、

どういう風にするのか教えてもらうと

その通りにできるのです。

 

でも隣の子のしている作業を見れば、

「セロテープで貼ればできる」と一目瞭然でわかるものでも

友だちのしていることをチラッと見て参考にすることができなかったり、

ごく簡単なこともやったことがないことは想像することも考えることもできなかったり

するのです。

 

そうした苦手を克服するのに

料理、工作、ブロック遊びなどの何かを作る活動は最適です。

また友だちとするゲームも、自分たちで何をするか決めて、ゲーム盤をセッティングし、

カードを配り、ゲームのルールを実行りしていったり、

最後に得点計算をして振り返るところまで自分たちでできるように支えていくと、

遂行機能が鍛えられます。

 

ただ、そうした活動は、たださせればいいというものではなく、

興味を引き出し、活動を持続させ、振り返ったり、柔軟に問題を改善したりする

力がつくようなサポートの仕方がとても大事だと思っています。

 

今回、最初は乗り気ではなかった子らも

自分の頭で考えて、アイデアを膨らませ、

最後には文字をていねいに書いて、キーボードを作っていく作業にも

積極的に関われていたのでよかったと思います。

 

子どもたちが能動的に活動に熱中していくように導くには

いろいろコツがあるのですが、

そのひとつを紹介しますね。

 

「先生、どうやってするの?」とたずねてきたら、

「こういう風にするのよ」と手取り足取り教えるのではなく、

「お友だちの作品を見てみたら?」と言って、

他の子のしていることから学ぶことを教えたり、

完成品や実物を見せて、「どうやって作っているんだと思う?」とたずねて、

その子自身に作り方を説明させるのです。

 

わたしの手助けや助言は

常に最低限に控えて、

その代わり、小さな進歩も具体的に言葉にして勇気づけています。

 

「よく気づいたね。その部分にテープを貼ると、裏だから、見栄えがいいわね。

すごいアイデアね。みんなにも教えてあげましょう」という具合に。


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